2018年 本屋大賞 塩田武士著 騙し絵の牙を読みました。
ネタバレ注意です!
いつも本屋大賞を中心に読んでます。
著者の塩田武士さんは「罪の声」で2017年に本屋大賞にノミネートされてます。
こちらは かのグリコ・森永事件を題材に書かれた構想15年の意欲作です。
痛いほど圧倒r的リアリティ、ウィットに富んだ会話の応酬!
大手出版社で雑誌編集長を務め、誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。
ある夜、上司から廃刊を匂わされたことをきっかけに速水は組織に翻弄されていく。すると次第に彼の異常なほどの「周年」が浮かび上がってきて…。斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!
本の帯より
一方今回読んだ「騙し絵の牙」は俳優・タレントの 大泉洋さんに宛書したという
軽妙な会話が楽しめる作品。
クスっと笑える ウィットに富んだ会話が随所に散りばめられていて楽しいです♪
個性的な登場人物たちもいきいきと描かれていて 人間関係も楽しめます。
私は 現在の出版業界が立ち向かう 活字離れや 書籍の電子化 雑誌休館、図書館の功罪
などといった問題をとても興味深く読みました。
社内の派閥争い、老獪で一癖ある編集局長との攻防、会社と労組のにらみ合い。
編集部では 部内の人間関係に気をもみ、大物作家のご機嫌をとり、
売上部数に一喜一憂し 「数字が悪ければ廃刊」と発破をかけられ
家庭は崩壊の一途…
次々と畳み掛けるように起きる問題に 一気に読まされました!
出版やマスコミ関係のことは新聞社勤務をされていた著者ならではの得意分野かも?
どんでん返しがある、と知って どう どんでん返しがあるのだろうか?と
読み進んだら…
どんでん返しは ラストのエピローグにありました。
そういう過去があったのか…
彼の小説への思いも 業界への怒りも。
最後に見事に 華やかなどんでん返し、ある意味 裏切り。
…なんという…
この一冊に いろんな面白さが詰まっていて 心揺さぶられるような感動はないけれど
読み応えのある一冊でした。