亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノート。
それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。
創作なのか、あるいは事実に基づく手記なのか。そして書いたのは誰なのか。
謎のノートは亮介の人生を一変させる驚愕の事実を孕んでいた。
圧倒的な筆力に身も心も絡めとられてしまう究極の恋愛ミステリー!
と、紹介されて
コレを読まずにいられるか?
読んでみました、沼田まほかる著 「ユリゴコロ」
最初は、ノートに綴られた「殺人告白文」が
恐ろしく、 薄気味悪いのですが・・・
最後には驚くような結末が待っていて、
ラストシーン、なんだかほのぼのとした
温かいものに満ちています
何コレ? ん~ 不思議な小説です!
ネタバレあります ご注意ください ↓ [emoji:e-1]
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主人公・亮介が 実家で、父の書斎の押入れから
表紙に「ユリゴコロ」と書かれたノートを見つけた
何か惹かれるものを感じ ページを開いてみると・・・
誰が書いたのか、
そこには 人を殺めた過去の記録が・・・
それは誰かの創作なのか? それとも事実なのか?
謎めいたノートの内容に
一気に読んでしまいたくなるほど 心を鷲づかみにされました!!
何故父が持っているのか 書いたのは父か?死んだ母なのか?
もし内容が事実なら・・・亮介は殺人鬼の子供なのか?
真相を知ろうともがく亮介・・・そして、読者であるワタシ [emoji:e-446]
亮介は ドッグランのできるわんこの喫茶店を営んでいて
そこで働く千絵と婚約までしていたのだが
ある日彼女は失踪してしまう
事件か!?
従業員の那智くんとバツイチの細谷さんに助けられ
「ユリゴコロ」から 過去の自分探しに没頭する亮介
ガンに犯され余命いくばくもない父の口から
亮介の出自とユリゴコロの書き手との関係も語られる
恐ろしくも哀しい家族の過去が明かされた・・・
幼い頃からの 自分の人生の腑に落ちなかった部分が
符合して 言葉を失う亮介
「ユリゴコロ」とは
物心ついた時から 周囲に馴染めず、身の回りの世界に
違和感を抱いていた女の子(亮介の母)が
病院の医師の「(心の)よりどころを持たない」と言う言葉を
聞き違えて覚えた言葉
『私』(ノートの書き手)は、友人の死を目の当たりにした時
初めて 自分の周りの世界が輝き 自分が違和感なくその場に
それ以来 また「あの感覚」を再現したいと思うようになり
その欲求を自分では抑える事ができなかったのです
なんて恐ろしい!
その女の血が自分にも流れていると知った亮介は
千絵(実は結婚していて、夫から暴力を振るわれ逃げてきていた)を
救うため 自分も母のように 千絵の夫を殺ってしまおうとしたが
すんでのところで殺人は未然に防がれた
大量の流血を残して 千絵の夫は忽然と姿を消したからだった
それは 何故か?
最後の謎解きに そう言うことか、と 心にボディブロー [emoji:e-281]
そんな結末が用意されていようとは。
殺人を犯して来た 亮介の母が極悪人に描かれていないのが
不思議な感じです。
あら?いつの間に、あの恐ろしいノートの内容からこういう展開に?
なんだか キツネにつままれたような気分です
でも ほっこり温かい気持ちになるエンディングでした
読後感爽やか!
一読の価値ありです。
沼田まほかる著、第5回ホラーサスペンス大賞を獲得の
「九月が永遠に続けば」も面白そう[emoji:e-77]