happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

「ファントム・ピークス」 読了♪

北林一光著 「ファントム ピークス」を読みました。

先が読めないから、最終ページまでぐいぐいひっぱられる。
私はこういう小説が大好きです!
宮部みゆき氏絶賛           (本書・帯より)

9月11日(日)朝日新聞読書欄の「売れてる本」に紹介されていたこの本。
たまたま 新聞広告で見かけて面白そう・・・と予約してた本だ~

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ホラーかミステリーのように始まって ○○パニック小説になる、と紹介されています。
○○パニックとは? どんなパニックになるのーーー?

ネタバレあります ↓ ご注意ください








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相手が見えない恐怖というものをまたまた体験しました!

「犯人に告ぐ」もそうでしたが、確かに犯人はいる、
それなのに こちらの目には見えない。
いつどこから現れるともしれない薄気味の悪さ。
その恐怖と緊張感が このファントムピークスにもありました。


主人公・三井周平は、妻の杳子(ようこ)と共に、
東京から長野県安曇野に引っ越してきた。
秋のとある日、杳子は一人で山菜を採りに山に入り、そのまま行方不明となってしまった。
季節は移ろい
春、雪解けとともに彼女の頭蓋骨が見つかった。

妻の身の上に何が起こったのか? 
それを知る事が使命だと、一人で妻の足跡を探し回る周平。

妻が失踪してしまった・・・納得のいかない死を受け入れるため
山野を走り回り 必死で手がかりを求める周平が労(いたわ)しいです。


そんな時、渓谷の川沿いでキャンプをしていた2組の男女のうちの女性一人が行方不明に。
続いて、東京から帰省中の母娘も、母だけが一瞬の隙に行方不明になってしまった。


サルの生態系をフィールド調査中の女性・山口凜に、残された3歳の娘だけが保護された。
その幼児・千尋は何らかのショックから心身喪失状態になっていたが 
病院のテレビで観たサーカスの熊に激しく反応、
やはり、熊に襲われたのでは?との推測がなされた。

山口凛が、山に残された熊の足跡から割り出したのは
とてつもなく大きな熊だということ


トラップを仕掛けての、捕獲作戦が敢行された。

周平、凛、ハンターたちは、仕掛けたトラップを見回るさ中、
巨大なヒグマがるトラップの中にいるのを発見。
猟犬の鳴き声に反応したヒグマは、猟犬をかみ殺してしまった
それを見たハンターも恐怖のあまり冷静さを失い結局ヒグマの歯牙にかかってしまった・・・。
残った周平達一行は、大慌てで樹上に逃げ、やっとの思いで難を逃れた。

このくだりは、手に汗にぎる 緊張の連続で・・・息もつけませんでした。

キャンプ場では、新たなヒグマの被害が発生、更なる犠牲者を出した。

現場に駆けつけた周平は、橋の反対側にヒグマを発見した。
周平は、ヒグマを挑発して、おびき寄せ、決着をつけようと
満身の勇気を振り絞って立ち向かった・・。
これ以上の犠牲者を出してはいけない、という思いと共に
我が妻の仇討ちの意味もあったのかも知れませんね。


本州に生息しないはずの羆(ヒグマ)が何故信州に?
山向こうの木曽の「開田高原のクマ牧場」の存在、
そして怪しい親会社の存在が炙りだされ、
ヒグマの逃走の鍵を握っているらしい事が見えてきます。

別の角度から この事件を追っている刑事も登場、
ストーリーに厚みが増し 説得力が加わります。


熊の襲撃シーンは迫真の筆致で読むものの胸に迫る!
もう緊張した~ 

淡々とした語り口調だけに、怖さがじわ~っとボディブローのように効いて来ます。
ふーーーーーーっ 







札幌に住んでいたときに耳にした「苫前の熊嵐」 
本作中で、あの、熊嵐にも触れています

このたび 熊嵐を検索したらwikiに恐ろしい史実が載っていました 
(猟奇的記述・表現があり、ショッキングすぎるので、神経繊細な方は読まない方がbetter)

そして 福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ襲撃事件も、恐ろしいですぅ 
読んだらドキドキして しばらく尾を引きます 


まさに 事実は小説より奇なり
実話だけに 恐ろしい。

本当に身の毛もよだつ事件ですが、この小説は、ここに着想を得たのかな?と思いました。
内容が似通ってる箇所があったりしますので。

これが 獣害パニック、なのですね。