⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

三浦しをん著 「舟を編む」 読了♪

2012年 本屋大賞受賞作
三浦しをん著 「舟を編む」を読みました。

涙が頬をつたうのを止めることができませんでした。

感動~~~!!



玄武書房辞書編集部のまじめが取り柄の馬締(まじめ)と
彼を取り巻く 辞書編纂に携わる人たちの
15年に亘る悲喜こもごもが綴られたお話です。


ネタバレあります、 ご注意ください!


玄武書房辞書編集部の荒木は、若い頃から言葉に興味を持ち、
玄武書房に入社してから 37年もの歳月を辞書編集に捧げてきた。

いよいよ、退職を控え、
玄武書房が、新たに世に出そうとしている辞書「大渡海」を
道半ばのままで辞めるわけにはいかない。
後任には、自分と同じくらい 辞書編纂に情熱を注げる人間が欲しい…

そんな時、部下の西岡から営業課に適任者がいると聞いて引き抜いたのが
まじめだけが取り柄の馬締(まじめ)光也。

彼の持つ、類まれなる辞書編纂への情熱で 「大渡海」を世に出すまでの
15年の悪戦苦闘の日々。

彼と周囲の人たちの温かい交流。

読んでいて、胸が熱くなります。


読み始めは、人間模様を描くのにページが裂かれ
少し散漫な印象です。
惹きつけられるというほどでもなく、少しの間放置してましたが、

また読み始めると 後半感動の連続で、
あーーーーっと言う間に読み終えてしまいました。

そして最後は 感動の熱い涙に濡れるという
超おすすめの一冊です! 


大渡海という名前は、
辞書は、言葉の海を渡る船だ」という思いからつけられたのです。

荒木は言います、
「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。
もっともふさわしい言葉で、正確に思いをだれかに届けるために。」と。


おちゃらけたキャラの西岡の異動を
馬締が「残念です。辞書編集部に絶対に必要なひとなのに」と、
告げるシーン。
西岡は、馬締に対し少し馬鹿にしたり、ライバル意識を持ったりしていたのに
当人からの同情でも慰めでもない、真情からでた言葉に泣きそうになる。
読んでいて、ぐっときます。




辞書編集部に、若い女性・岸辺が配属されてきた。
最初は、やりがいを見出せなかったのだけれど、

言葉の持つ力。
傷つけるためではなく、だれかを守り、だれかに伝え、
だれかとつながりあうための力に自覚的になってから、
自分の心を探り、周囲の人の気持ちや考えを
注意深く汲み取ろうとするようになった。           本文より

言葉の魅力に目覚めます。


人の中にも、人類誕生のころのような海がある。
愛や心が 言葉によってかたどられ、
暗い海から浮かびあがってくる、と三浦さんは表現されています。

ううむ・・・なるほど!


にしても、辞書編纂には、気が遠くなるような
膨大な時間と、細かい作業の積み重ねでできているんだ、と
思い知らされました。
人海戦術で、何度も何度も校正を重ねる編集部。

製紙会社も、辞書用の薄くて、裏映りがなく、
手になじむ紙の開発に邁進しています。

辞書のカバー装丁にも、いろいろな意味が込められ

読者の手に渡るまでの苦労がしのばれます。

この、「舟を編む」の装丁が、
まさに作中に出てくる「大渡海」の装丁なのです。

        c50b26bc.jpg


新刊本の装丁にしては、地味だと思ってたら、そういうことか


このように たくさんの人の手によって生み出された
新しい辞書の 完成パーティの様子に、
また熱いものがこみあげてきて止められませんでした。

有限の時間しか持たない人間が、広く深い言葉の海に
力を合わせて漕ぎ出していく
こわいけど、楽しい。やめたくないと思う。
真理に迫るために、いつまでだってこの舟に乗り続けていたい。 本文より

私自身は何もしていないのに、
達成感が、なみなみと心に満ちてきます。
ただただ、涙。

生きることに不器用な主人公・馬締光也に、好感♪
登場人物の素敵な人間関係にも乾杯!



この作品が映画になるようですね♪

またしても宮崎あおいさんが出演。
主役の馬締は、松田龍平さんだそうです。


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ブログを書くようになってから、
言葉の力」を強く実感しています。

昔から「言霊」という言葉もあるように
言葉には力が宿っているとも思います。

私ごとですが、学生時代国語科でしたので
日本語や言葉が大好きです。

それ故に、この「舟を編む」の馬締の気持ちがよくわかります。

日本語は難しい、それ故にそれを使う私たちは誇らしくもありますね♪

言葉にこだわったら、無限の海に引きずり込まれそうな奥深い日本語
悩ましい、でも楽しい、という…


これからも、このブログで言葉をいじくりまわして遊びたいと思います。



長文失礼いたしました 
最後まで読んでいただきありがとうございます。