風薫る五月! 新緑のきらめきが眩しい!
最高の行楽日和に、家で本を読むワタクシ
インドア、ブラボーーーーっ!
表紙のネコちゃん、可愛すぎ!
「世界から猫が消えたなら」
2013年本屋大賞 8位の作品です。
軽~い筆致で書かれていますが、
人生の真理をさらりと書いてあります
サクサク読んでたら、不意に泣かされる場面もあり…
読後感、爽やかです。
余白が多いので サクッと2時間位で読めちゃいます。
川村元気さんは、あの「電車男」をヒットさせ
その後も告白、悪人、モテキなどでヒットを飛ばしている
映画プロデューサーで、小説は、これがデビューです。
ネタバレあります ご注意ください
余命幾ばくもない、と医師に宣告された主人公の一週間が描かれています。
医師から、余命の宣告を受けて一人暮らしのアパートに帰り着くと
アロハシャツにハーフパンツという出で立ちの悪魔が家に上がり込んでいた。
見た目は、自分。ドッペルゲンガーかっ??と焦る主人公。
何故悪魔が?とか、疑問を挟んではダメ
とにかく、家に帰ったら、軽いノリの悪魔が家に上がり込んでいたのですっ!
で、この悪魔と問答して、人生を考えるというあたり、
「夢をかなえるゾウ」のガネーシャとの問答に似てるな、って思いました。
あちらは神様。こちらの悪魔もかなり軽妙洒脱で、冗談が上手なんです。
その悪魔の
この世から、何かを消す代わりに、
おまえの命を1日伸ばしてやる、という話にのる主人公。
主人公は、自分の命と引き換えにするものを考えます。
で、たった一日の命の為に世界中から時計が消え、携帯が消える。
迷惑。
そこで主人公は、「何かを得るためには 何かを失わなければならない」
っていう母の言葉を思い出すのでした。
ま、ある意味当たり前のことなんですけども。
それにしても、何も寿命を1日伸ばすために世界中を犠牲にしていいのか?とか。
ここも疑問を挟んではいけませんっっ
死というものは、大切な何かを捨てていくこと、という部分で
関西学院大学の藤井美和先生の「死生学」を思い出しました。
人間は致死率100%
その死と同じように、避けられない物がある、それが「生きること」
そこに存在することに意味がある、と
チャップリンが夢枕に立って教えてくれるのです。
後半、生前の母から主人公に当てた手紙が
元彼女から手渡されます。
本当に辛かったり、苦しかったりしていたら渡して、と
言付かっていたものです。
その手紙を読んで、ほろり。泣かされました。
主人公が言います。
「自分に与えられているものや人や時間
当たり前だと思っていたそれらこそが 僕自身をかたどって
僕たらしめているのだということを知りました。」
悪魔が言います。
「ひとつだけ確かなのは、今そのことに気づけたあなたは幸せだということです」
ラスト、「僕」は、
母の死をめぐって、何年も口も利かず、疎遠になっていた父に
会いに行こう、と父への手紙を携えて自転車で坂を上がっていく。
父の住む隣町を見下ろして、坂を下る。
僕が受けたであろう風のように爽やかな読後感でした。
2匹の猫の名前(レタスとキャベツ)は出てくるけれど、
主人公は「僕」で名前は出てないあたりは
「ベルカ、吠えないのか」に似てるみたいですね。
にしても…タイトルの「猫が消えたなら」って???
猫は………一度も消えないんですけどっっっ!?