happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

岩城けい著 「さようならオレンジ」 読了♪

岩城けい著 「さようなら、オレンジ」を読みました 。

新聞や文芸評などでこの作品名をよく目にすると思ったら
第29回太宰治賞受賞作にして
本屋大賞受賞作 2014年 本屋大賞4位


   sayounara.jpg
                 (画像はamazonよりお借りしています)


異郷で言葉が伝わること―― 
それは生きる術を獲得すること。
人間としての尊厳を取り戻すこと。
』 本の帯より

おぉ~~~っ!確かに。

我が家も下の息子が9月から留学するので
ドキッとするフレーズだわ


オーストラリアの田舎町に流れてきたアフリカ難民サリマは、
夫に逃げられ、精肉作業場で働きつつ二人の息子を育てている。
母語の読み書きすらままならない彼女は、
職業訓練学校で英語を学び始める。
そこには、自分の夢をなかばあきらめ
夫に付いて渡豪した日本人女性「ハリネズミ」との出会いが待っていた。

                         本の帯より

力強く異国で生きる女性たちが描かれています。

アフリカ難民のサリマの人生の物語と

大学で英語表現を教えたと思われる「私」の、ジョーンズ先生への
書簡が交互に出てきます。

サリマは、アフリカで、兄弟を戦乱で亡くし
難民としてオーストラリアに渡ってきたけれど
言葉ができないため、夫にも、子供にも馬鹿にされています。
なんとかありついた職業は黙々と食肉を捌き、トレーに並べる仕事でした。

それでも、真面目に働き、働きぶりを認められて街の新聞に載りました。

胸が熱くなります!

サリマは職業訓練学校で、
東洋人の「ハリネズミ」と出会います。
(黒い髪が硬くてハリネズミのようだから、とつけられたアダ名)

彼女は大学を出ていて英語ができるけれど、
夫について渡豪してきたため、自分の生き方を見失っていました・・・

途中から、書簡を書いているのが「サユリ」という日本人女性で

サリマのクラスの「ハリネズミ」の事だとわかってきます。
そして、サユリの友人のニキチが、サリマの事だということも。

二重構造の作品。

そういう仕掛けか!!とわかるまで、??なところも。

サユリは、ジョーンズ先生から勧められて、小説を書いていることがわかります。

この作品の冒頭部分から、サユリの書いた小説だったのです。

ニキチは、息子の学校のプログラムで
母国の事を紹介する機会を得ます。

初めて大勢の子どもたちの前で話すニキチ。
我が子でさえ知らなかった母の母国のこと。
今まで 英語ができない母をないがしろにし、
馬鹿にしていた息子が、母を誇りに思うようになる過程に感動します!

ニキチの一生懸命な姿は
少しずつ周囲に受け入れられ ようやく居場所を見るけることができたのでした。

言葉や文化、風習の違う所で暮らす苦労は多々あると思いますが
言葉が通じた時の喜び
心を交わしあえた満足感は、格別なのでは、と思います。

難民として生き、苦労の連続だったニキチに
もとの職場の上司が、ドライブに誘います。

夕陽にオレンジ色に染まった空を見ながら 幸せを噛みしめるニキチ

じわ~んと温かいものが胸に広がるのでした。


最後に、母語が如何に大切かということが、サユリの言葉として書かれています。

これは、オーストラリア在住20年の著者・岩城けいさんの思いですね♪
やはり 母語内言語になっているから(思考は日本語でするから)
「言葉の持つ力」は、母語にある、ということなのですね。



ちょっと書き足りないので、そのうち追記するかもです。

本は図書館に返してしまっているので(いつものことながら。返却期間ある故)
思い出し書きで失礼しました~