happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

柚木麻子著 ランチのアッコちゃん 読了

2014年 本屋大賞第7位 「ランチのアッコちゃん」を読みました。

         ランチのアッコちゃん

元気が湧く新感覚ビタミン小説、って言われてます♪

4編の短編が収められています

1 ランチのアッコちゃん
2 夜食のアッコちゃん
3 夜の大捜査先生
4 ゆとりのビアガーデン

表題作 ランチのアッコちゃん

アッコちゃんは、主人公の名前ではなく、
主人公 澤田三智子の上司・黒川敦子のアダ名です。

派遣社員の澤田三智子は、遠慮がちでちょっと寂しい女の子。
Yesと言って切り抜けることが 彼女の処世術でした。

ある日の昼休み 三智子がオフィスで一人でいると
日中は外回りで留守がちな上司のアッコ女史が帰ってきました。
ことの成り行きで、食欲のない三智子に代わり
アッコ女史が三智子のお弁当を食べることに。

そこでアッコ女史から 次の一週間、
アッコ女史の行きつけのランチ店と三智子のお弁当を交換しよう、と
提案されました。

もちろん返事はYes

月~金、アッコ女史のいきつけのお店を回ることで
今まで知らなかった アッコ女史の知られざる一面を知ることに。

家と会社の往復、お昼はお弁当持参で
視野の狭かった三智子が
アッコ女史が通う様々なランチのお店に行くことで
様々な人たちとの交流を通して
自分の中の可能性に目覚め
自信を見出していきます。

「つっけんどんな口調にポーカーフェイス」が緊張感を漂わせる
上司・アッコ女史だけど
根っこはすごく温かい人なんですね。

実は、三智子が元気が無いのを知って
わざと、ランチとお弁当を取り替えっこしたんです~♪


毎日お弁当だけで 質素に暮らす三智子に
外の世界を アッコ女史は 言葉ではない手段で
教えてくれたのでした。

三智子の白黒だった世界が パ~ッとカラフルになっていく感じが
読み取れました。

木曜日が、面白いです。
お店じゃなくって・・・すごいサプライズ!
三智子、幸せもの!って思いました。


夜食のアッコちゃん

黒川敦子と澤田三智子のいた
出版社 雲と木社は倒産して

澤田三智子は、別の会社に派遣されていました。
ある日公園でお弁当を広げていると
アッコちゃんが乗ったオレンジ色のワゴン車が
公園に、乱暴に入って急停車して・・・ 第一声
「相変わらずしょぼくれた顔してるわね。まだランチ仲間もできないの?」

ス、スゴイ・・・お言葉でございます。(苦笑)

それでも、彼女の行動力がすごい!!
ワゴン車一台、女一人で夜の東京で
ポトフを売っているのです。

お客様は、ホストに夜の蝶、黒服
はたまた ゲラチェックを終えたばかりの新聞記者

深夜勤務の看護師さん

そして築地市場の人たち。

普通のお店が開いていない時間だからこそ
車一台でどこへでも現れ
温かいポトフを出してくれる アッコ女史の「東京ポトフ」が
お腹も 心も満たしてくれるのですね~♪

一週間アッコ女史のお手伝いをして、
また視野が広がり たくさんのものを得た三智子。

「食べることは生きること・・・。
一杯の温かい飲み物が人と人の心を繋ぐんですねえ」

三智子がしみじみと言うのでした。



三智子とアッコちゃんのお話は二編のみ。

一冊の本にするために同じく「小説推理」に掲載された二編を足したのかな~?


4編目のゆとりのビアガーデンも、

不出来な新入社員と上司のなにげない会話に

人生の真理がこもっているような
読後感爽やかな短編でした。



閉塞感のある毎日でも 
どこかにきっかけを見い出せば
素敵な展開が待っているはず!と希望をもらえる、
そんな元気の出る一冊です!

去る10月15日、待望の続編「3時のアッコちゃん」も発刊されました!
こちらも気になります!