桐野夏生著 「夜また夜の深い夜」を読みました。
タイトルは、
フェデリコ・ガルシア・ロルカ「スペイン警備隊のロマンセ」の一節、と
奥付の手前のページにわざわざ記載されています。
表紙絵が、ダークなスモーキーグリーン地に
黒の単色使いの絵(木炭画)で 見事に陰鬱です。
自分用の記録故 ネタバレあります、ご注意ください。
ナポリのスラム街で母と二人で暮らす舞子 18歳。
第一部は、主人公・舞子が七海という女性に送る手紙を中心に進む
書簡体小説です。
舞子の母は、舞子をアジアのどこかで産み、出生届も出さず
アジア、ヨーロッパを逃げるように 転々として生きています。
何故なのか? 父はどこにいるのか?
母は舞子の疑問に一切応えること無く、
完全秘密主義を貫いています。
絶対に名前を知られてはいけない、と行く先々で名前を変え
友達と親しくなることさえ許されませんでした。
母は、何度となく整形を繰り返し、
ソフィア・ローレンのような顔立ちになっています。w
舞子は イギリスの小学校を卒業してからは、
学校にも通わせてもらえず 友達もなく
狭く汚いスラムのアパートで貧しい暮らしをしています。
パスポートやIDが無いため、まともな職につくことさえままならない二人。
舞子は 思い切って 週刊誌が取り上げていた
テロリストの母と現地人の父を持つ七海という女性に
手紙を書くことを、心の慰めにしていました。
母と娘 二人だけで 他人と交流を持たず異国の地で暮らすことの
息苦しさ 閉塞感。
反抗したくても 逃れたくても 頼れる人は母しかいない。
そして 母を失えば、自分は何人なのかも分からなくなる。
いらだちや 無力感が 手紙の行間にあふれています。
なんという心細い立場なのでしょう。
アイデンティティが揺らいでいます。
手紙の内容から 謎だらけの舞子親子の
様々な状況が明らかになっていくのが面白く
ページを繰る手が止まりませんでした。
舞子はナポリにできた漫画カフェに入り浸り
日本人オーナーのシュンと親しくなります。
このカフェで初めて 同世代の日本人留学生女の子と話したり
シュンに淡い恋心を抱いたり、歳相応の生活を味わい
・・・今まで偏った生活をしてきたことを知って愕然とするのでした
それまで 母のオキテに縛られ育ってきた舞子が初めて
母に反抗して、家出をします。
そんな時に 街角で出会った エリスとアナに助けられ
盗みをしながら 地下室でサバイバル暮らしをします。
エリスの半生は壮絶なものでした。
読むのが辛い・・・読んで想像したくないぐらい。
リベリア出身で 内戦の戦火をくぐり
殺さなければ殺されるような状況の中、
屍を跨いで生き抜いてきたエリス。
両親に捨てられ、ストリートチルドレンの後、施設で育った
モルドバ出身のアナ。
過酷な運命を背負った者同士 寄り添い助けあって生きていきます。
3人の少女が活き活きと描かれています。
日本人にはいないタイプ。^^;
ギャングのアジトなど独特の世界が展開していて 一体どんな結末を迎えるのかと
思いきや・・・
えっ?そこへ落ち着く?みたいなあっけなさ。
以下 ネタバレありますので未読の方 ご注意ください。
母は 日本のカルト教団の教祖の愛人で
多額の資金を持ち逃げして追われていた、と
漫画カフェのシュンが教えてくれました。
実は彼も 教祖の息子で、被害者の会から資金の返還を求められ
金の行方を追っていました。
そして 母と舞子を探していました。
母は、お金を持ち逃げしたのに何故あんなに貧しかったのか?
いつも生活費や日本の雑誌などを持ってくる
タナカとスズキは何者?
シュンに真実を教わり、母への手紙を書いた舞子は、
母へ手紙を届けてもらうよう 監視役だった タナカの家に行くことに。
シュンの車で連れられたそこは、ナポリの高級住宅地。
自分たちは、安アパートで最低の暮らしをしていたというのに・・何故・・・?
シチリアに渡る アナを見送りに桟橋にいた時、
1年以上前に別れたきりになっていた母が
背後から 話しかけてきたのです。「振り向かないで」
あなたも乗船しなさい、向こうで会いましょう、と。
前を見据えたまま、一番聞きたかったことを尋ねます。
大金が入った口座を管理しているのでしょう?と。
母曰く
それは大嘘。 自分は口座名義人のふりをして逃げまわる役回り。
本当の金は日本にあるの。
二十年間逃げおおせたら 二億円もらうことになっていた。
あと、もう少しよ。
そして 舞子の父は・・・タナカだったと知ります。
母は教祖の愛人のふりをして逃げまわる役を
教団に押し付けられたのでした・・・。
謎に包まれていた自分の出自と
母の生活の真実がやっと明らかになったのです。
大悪党の娘だった、と悩んだけれど 父はタナカだった!
喜ぶ舞子。
めでたし、めでたし。
ん?
20年間逃げまわる役をしたから 二億円は舞子一家の物??
隠し財産を「被害者の会」に返すって話しは 一体どうなったの?
シュンを裏切ったの?
自分たちさえ良ければそれでいいの??
不完全燃焼!!!
前半の 異国情緒たっぷりで 謎めいた親子の物語の
行き着く先が、こんなにモヤモヤで終わるなんて
七海への十一通目の手紙。
「私はとても充実した毎日を送っています」
第一部で、秘密主義で自己中心的な人物として描かれた「母」。
何か悪いことをして追われているのかと思わせるほど。
(年端も行かない子供を一人残して 1ヶ月も帰らない事も。 )
最後になって、母は教団から私を守ってくれた、って
いきなり美談になってるのも気持ち悪い。
タナカと名乗っていた父と 母と三人で暮らして
無理矢理めでたしめでたしに持ち込んだ感満載。
どうなの?この結末。
ビミョー for me
母は 日本のカルト教団の教祖の愛人で
多額の資金を持ち逃げして追われていた、と
漫画カフェのシュンが教えてくれました。
実は彼も 教祖の息子で、被害者の会から資金の返還を求められ
金の行方を追っていました。
そして 母と舞子を探していました。
母は、お金を持ち逃げしたのに何故あんなに貧しかったのか?
いつも生活費や日本の雑誌などを持ってくる
タナカとスズキは何者?
シュンに真実を教わり、母への手紙を書いた舞子は、
母へ手紙を届けてもらうよう 監視役だった タナカの家に行くことに。
シュンの車で連れられたそこは、ナポリの高級住宅地。
自分たちは、安アパートで最低の暮らしをしていたというのに・・何故・・・?
シチリアに渡る アナを見送りに桟橋にいた時、
1年以上前に別れたきりになっていた母が
背後から 話しかけてきたのです。「振り向かないで」
あなたも乗船しなさい、向こうで会いましょう、と。
前を見据えたまま、一番聞きたかったことを尋ねます。
大金が入った口座を管理しているのでしょう?と。
母曰く
それは大嘘。 自分は口座名義人のふりをして逃げまわる役回り。
本当の金は日本にあるの。
二十年間逃げおおせたら 二億円もらうことになっていた。
あと、もう少しよ。
そして 舞子の父は・・・タナカだったと知ります。
母は教祖の愛人のふりをして逃げまわる役を
教団に押し付けられたのでした・・・。
謎に包まれていた自分の出自と
母の生活の真実がやっと明らかになったのです。
大悪党の娘だった、と悩んだけれど 父はタナカだった!
喜ぶ舞子。
めでたし、めでたし。
ん?
20年間逃げまわる役をしたから 二億円は舞子一家の物??
隠し財産を「被害者の会」に返すって話しは 一体どうなったの?
シュンを裏切ったの?
自分たちさえ良ければそれでいいの??
不完全燃焼!!!
前半の 異国情緒たっぷりで 謎めいた親子の物語の
行き着く先が、こんなにモヤモヤで終わるなんて
七海への十一通目の手紙。
「私はとても充実した毎日を送っています」
第一部で、秘密主義で自己中心的な人物として描かれた「母」。
何か悪いことをして追われているのかと思わせるほど。
(年端も行かない子供を一人残して 1ヶ月も帰らない事も。 )
最後になって、母は教団から私を守ってくれた、って
いきなり美談になってるのも気持ち悪い。
タナカと名乗っていた父と 母と三人で暮らして
無理矢理めでたしめでたしに持ち込んだ感満載。
どうなの?この結末。
ビミョー for me
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桐野夏生著 「東京島」読みました♪ 2011.9.5
余談ですが。
東野圭吾 「手紙」読みましたが ヘビーなテーマなので
さくっと ブクログのブックレビューにそのうち書こうと思います。
大どんでん返しが面白い!と聞いて読みかけた
「消えた子どもたち」 ぶ、分厚い! 二段組、491ページ。
途中で諦めました orz
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