⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

【本屋大賞】羊と鋼の森に泣きました~~~

本屋大賞2016 宮下奈都著 羊と鋼の森 読みました。

      羊と鋼


amazonの内容紹介 ↓
史上初! 堂々の三冠受賞! 
・2016年 本屋大賞
・2016年 キノベス! 第1位
・2015年 ブランチブックアワード大賞

ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

「才能があるから生きていくんじゃない。

そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、
そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、
この手で探り当てていくしかない。」  (本文より)

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を
温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。


感動!! 


この一冊で何度涙を流したことか。

作品は,ストーリーが面白いというのも大事ですが
どれだけ心に響く言葉があるか、
書き留めておきたいような 自分を勇気づける言葉があるか、
生きるヒントになる言葉があるか、
も大切ですね。

この本の中にはキラリと光る 心に響く文章がたくさん出てきます、

っと思ったら ちゃんと文藝春秋の本の話WEBに
『羊と鋼の森』に感動の声。読者が選んだ「私が好きなこの一文」
っていうコーナーがありました♪ やっぱり~
書き留めておきたい文章がいっぱいですものね!


この本の主人公・外村(とむら)は自分に自信が持てず 
時に生きづらさを感じている 誠実な調律師の青年。

羊とは ピアノの中のハンマーに巻いてある羊毛のこと
鋼とは ピアノの弦のこと
森とは ピアノ内部に並んだチューニングピンのこと


高校の体育館で初めて見た調律の仕事
そこで出会った調律師・板鳥との出会いが 主人公の運命を変えました
自分も調律師になる、と決意します。

クラシックを聞いたことも ピアノを弾いたこともない少年が
高校卒業と同時に故郷を離れて 調律の専門学校に進み調律師に。
卒業後は 板鳥のいる江藤楽器に職を得ます。

そこでさまざまな人に出会い、成長していく物語。

訪問先のお宅でうまく調律できずに失意を抱えて
事務所に戻ってきた新米の外村に
板鳥さんは「お祝いに」と自分の愛用の
チューニングハンマーをプレゼントしてくれるのでした
何のお祝いか?といぶかる外村に
「きっとここから始まるんですよ。お祝いしてもいいでしょう。」と。
調律の世界への第一歩を踏み出す外村へのエールだったんです。
こんな挫折は これからもある、その第一歩だよと教えてくれたんですね。


にしても…調律の世界とはかくも深いものだったとは…

調律とは ピアノのキーの通りのヘルツにきっちり
弦をチューニングするお仕事だと思っていたのですが・・・
ピアノの音色を作る
弾き手に合わせて 弾き手の要望を取り入れて
硬い音 柔らかい音 

いろんな条件を考えて
弾き手が一番気持ちいいと思える音を作るのも仕事なんですね~

ラの音は440ヘルツに決められているそうです。

時代とともに音が高くなっている傾向にあって、
日本は戦前435ヘルツ
モーツァルトの時代のヨーロッパなら422ヘルツぐらいだったのが
今は442ヘルツに合わすこともあるそうです。 
最近 オーケストラの基準音となるオーボエのラが444ヘルツで
これに合わせる傾向にあるピアノがあれば
モーツァルトの頃と半音近くなっているそうです
赤ちゃんの産声も世界共通で440ヘルツなのだそうです。面白いですね
トリビアコーナーでした!

外村が尊敬する板鳥は 海外の一流ピアニストからも指名される腕前。

山の中の辺鄙な集落で生まれ育ち経済的余裕のない家庭に育ち
いろんなものを諦めてきた外村には想像もつかない世界です。

「つらくはなかった。はじめから望んでいないものをいくら取りこぼしてもつらくはない。
ほんとうにつらいのは、そこにあるのに、望んでいるのに、自分の手には入らないことだ。」
そんな彼が初めてピアノに触れた時の気持ち。
声をあげそうになるほど感動した、その気持があればあきらめない
今ならそうはっきり言える。

おぉ、成長しましたね♪

ピアノが好き、音楽が好きってのは、すべての基本だよ、と社長がいいます。
仕事を愛せるかどうかは その対象を愛せるかどうか。
世の中 皆が皆 好きな仕事につけるわけではないですけど…。

職場の先輩 柳は 外村の一番親しくしている調律師、
普段は明るく優しく 話術も巧みで客受けもいい。
そんな柳にも 生きることさえつらい過去があったようです。

外からはわからない 悩みや、つらい過去や苦しい現状を
誰しも大なり小なり抱えているものだと知ります。 

それでもゆっくりと乗り越えたからこそ
笑える今日があるんですね~。

祖母がアブナイとの知らせを受けて故郷に帰った外村。
祖母からも母からも可愛がられていた2歳年下の弟を…
羨み、妬んでいました。

ずっと強がって 聞き分けのいい兄を演じ弟を遠ざけてきた外村は
弟の横顔に 優しさを見て
心の中のわだかまりが氷解していくのを感じたのです。
祖母を失ったという共通の哀しみをわかちあい
抱き合ったふたり…  
外村の故郷に居場所が出来た瞬間でした。泣く~~

ちょっと意地悪な先輩・秋野さんは ピアニスト志望からの転向。
彼は 板鳥さんの緻密な調律で自分のピアノに限界を感じた、という
ある意味挫折感を抱えた人。
それでもその腕前は一流で ピアニストを目指してた彼だから言える
辛辣だけれど 真実な言葉。

いろんなタイプの人たちとの濃い時間が
外村を成長させていきます。

ピアノの調律のお客さん、ふたごの高校生姉妹との交流が
じんわり温かいです。
ふたごの姉・和音のピアノ演奏を愛し
和音への淡い恋心を抱きます。

ピアニストになる、と誓った和音が弾くピアノの
調律師になりたい、
コンサートチューナーになりたい、と
この時初めて外村は強く思ったのでした。

和音のピアノ演奏をバックに
調律師の先輩・柳さんの結婚式が
華やかに和やかに進むのでした。

派手な事件も起きず 淡々と綴られる調律師の日常の中に
泣きポイントがいくつもあって さすが、本屋大賞!と納得でした!!

おすすめです!

==== 夏休み、帰省中の息子もこの本を読みました。
私がオススメしたからです♪

がっ!! ga-n_20160113215234a6a.gif

息子にはちっとも面白くなかったらしく、

登場人物のキャラが薄すぎて引き込まれない、だの

仕事の話ばっかり、全然心に響いてこない、って! ga-n_20160113215234a6a.gif


本屋大賞だよ、三冠だよ!っていうと

のせられてんじゃないの~? 
とまで!! 

読書メーター見に行ったら
★ひとつ ★ふたつも散見されます。

大体が調律に詳しい方。
こんなんではない!とお怒りの向きも。
内容に嘘くささを感じたら、もう気持ちが離れて、読めませんよね。

この作品が大賞を取ったことにも疑問を呈する方も‥
何かしらの 商業的意図を感じる、と。
深読みhappyも真っ青の 深読み。

映画化に向けて 水面下で話が進んでたりするのでしょうか?

その時には「本屋大賞受賞!」って書けますものね。

いやなに、私は大感動した口ですから。
感動できる言葉に出会えたから、よかったです♪