happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

「星に願いを、そして手を。」 読了♪

第29回小説すばる新人賞受賞作品

星に願いを、そして手を。」を読みました。


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著者は2000年生まれの高校生。
小説すばる新人賞 最年少記録更新!

将棋の藤井聡太四段もすごいけど 
文学界にもすごい若者がいました♪

まだ 人生経験の浅い著者が よくぞここまで、と、驚きました。


[emoji:e-1]ネタバレあります、ご注意ください。



人生を生き抜くのに勇気をもらえる言葉が散りばめられていて
16歳の高校生に教えられる、っていうね、びっくり体験 ^^

くすっと笑わせるセリフの応酬が楽しい!!
あるある!こういう会話、と 思うから するするっと話が入ってきます。

中学生の頃、宇宙を夢見ていた4人の少年少女は いつしか夢を諦めて生きていました。
そんなある日 かつて 4人の心の拠り所であり
思い出の場所でもある 科学館(プラネタリウム)の館長が亡くなりました。

久しぶりに葬儀で再会した4人に ある謎が突きつけられました…

間もなく閉館することになったプラネタリウムの資料館の資料を整理している時に
タイトルのないミステリーファイルが出てきたのです。
全文英語 高度な数式。それは宇宙に関するものだったのですが
これは 亡き館長が書いたものなのか?

そして、これは何を意味するのか?

爽やかな青春群像に謎解きの面白さも加わって 一気読み!

4人の仲間のうち 祐人と理奈の視点で語られています。

中学の頃 宇宙を夢見た4人は 同じ高校に進んだけれど
やがて 夢を諦めて現実に飲み込まれていった3人。

そんな中 理奈だけが ずっと夢を追い続けて大学院にまで進んだのですが…


夏の大三角 カシオペア座 祐人と理奈
星はずっと手を伸ばし続けていたからきれいだった。
理奈は宇宙に憧れてずっと星空にあこがれて
今はもうこの空を眺めても、もう何が輝いていたか分からなくなった。

                              本文より引用

夢を諦めてしまった祐人に失望した理奈だったけれど
がむしゃらに夢を追いかけていた理奈自身もまた
夢を見失いかけていました。

あの時諦めたよね。

図星だった。
理奈はまっすぐ夢を見ていた、夢というのは、ふわふわした、素敵なものなんかじゃない。
もっと熾烈で容赦のないものだと 僕は理奈を見て思った。
大変なことばかりでそれが報われる保障なんてどこにもない。
それでいて、いつまでもつきまとう。忘れられるのならそれはきっと夢じゃない 

                     本文より引用

夢、というのは 甘い響きだけれど
それを実現するのは 甘いものじゃない。
そうやって 夢の実現のために必死になって向き合っていても
努力が必ず報われるとは限らない。
「諦めなければ夢は必ず叶う」…その言葉は 
たまたま夢が叶ったラッキーな人が言うキレイゴト。

その言葉を聞くと 「夢が叶わなかった人は 努力不足」、と言っているようで
少し嫌な気持ちになります。

世の中、諦めざるを得ない状況になることのほうが多いからです。

祐人の会社の後輩の言葉が いい♪

人は選ぶんです。 自分には抱えきれないから 道を決めて捨てるんです。
いろいろな可能性に折り合いをつけて俺らは進んで行く必要があるんです。
だから そうやって悩んで悩んでたどり着いたのが今なら 
僕はその方を信じてみてもいいと思います。

                   本文より引用

そうなのよ、そうなのよ、夢を追い続けるのにも限界があるのよ。
そして 自分ではどうしようもない状況に陥ることもある
どこかで 折り合いをつけながら 人は生きています。

今、これでいい、と信じるものは救われる!


自分を肯定して生きていきませう!!



町の人たちから愛された プラネタリウムの最後の日…

祐人たち ごく一部の人のために プラネタリウムが上映されます。

読後感爽やかな作品でした♪