⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

柚月裕子著 「慈雨」を読みました♪

慈雨

新聞広告に
本の雑誌が選ぶ 2016年度ベスト10 第1位の文字が踊っています。
落涙必至の衝撃作、ついに文庫化
ということで 最近「慈雨」の新聞広告をよく目にするので 読んでみることにしました。

警察官を定年退職した神場智則は、妻の香代子とお遍路の旅に出た。42年の警察官人生を振り返る旅の途中で、神場は幼女殺害事件の発生を知り、動揺する。
16年前、自らも捜査に加わり、犯人逮捕に至った事件と酷似していたのだ。神場の心に深い傷と悔恨を残した、あの事件に――。
かつての部下を通して捜査に関わり始めた神場は、消せない過去と向き合い始める。
組織への忠誠、正義への信念……様々な思いの狭間で葛藤する元警察官が真実を追う、日本推理作家協会賞受賞作家渾身の長編ミステリー!

評価の高い作品で期待してました。

泣きポイントを探して どこだどこだ、と追いかけて 330ページ一気読み。

先日 「とめどなく囁く」446ページを一気読みしたばかりでちょっと疲れました。


ネタバレありますご注意ください。

神場は退官したばかりの警察官。
四国八十八ヶ所を夫婦で巡っていた時 耳にした幼女殺害事件。「愛里菜ちゃん殺害事件」

神場は16年前に自分が携わった「純子ちゃん殺人事件」で 
一人の男を冤罪で収監したかもしれない、という疑念にとらわれて続けていました。

真犯人は他にいる、ずっとそう思っていたところへ 状況酷似の事件が発生。
痴漢、婦女暴行などは 再犯率が高く この事件の犯人が16年前の犯人では?と
警察官を辞めても 捜査したい思いに突き動かされ 娘の恋人でもある部下の緒方を通して事件に関わって行きます。

正義の味方、警察官として 自分がしたこと、というより なし得なかったことに
責めさいなまれていたからこそ 警察官をやめてすぐに 四国八十八ヶ所巡礼の旅に出たのでした。

若かりし日に寒村の駐在に行くことになったときも ひねくれずくさらず
正しいことをしていれば いつか皆が認めてくれる、と信じて 愚直なまでに頑張りました。

心を閉ざした村人たちがダム建設のことで仲間割れしたいたときも 神場の行いで
長年のわだかまりが解けたのでした。ここも胸熱シーン。

神場の警察官である前に人としての奥深さが描かれていきます。

ラストは 神場の機転で 犯人逮捕に至ります。

犯人を追い詰めるくだりは息が詰まるような緊迫感でした。

先輩警察官の妻は事故で 警察官は殉職、残された一人娘を引き取って育てた主人公の神場夫婦。
血のつながってない 幸知と 神場の後輩警察官・緒方がお付き合いをしているのを快く思わない神場。
頑なに反対する神場が 緒方の事を認めて結婚を許すくだりは泣けます。
 

四国八十八ヶ所 夫婦2人旅は 道路の状態や お寺とお寺の距離や時間、周辺の景色、
お寺の様子などが細かく書かれていて 八十八箇所を回ったことがある方なら より一層興味深く読めると思います。

読み応えのある本でした。

次は 本屋大賞2019の 「火のないところに煙は」が手元に届きましたので これから読みます。