本屋大賞ノミネート作品は 感動作が多いので大好きです!
大賞受賞の「そしてバトンは渡された」と2位の「ひと」、9位の「火のないところに煙は」は読了しました。
今日読み終えたのは 8位の「ひとつむぎの手」です!
BOOK データベースには…
大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば…。さらに、赤石が論文データを捏造したと告発する怪文書が出回り、祐介は「犯人探し」を命じられる。個性的な研修医達の指導をし、告発の真相を探るなか、怪文書が巻き起こした騒動は、やがて予想もしなかった事態へと発展していく―。
病院モノか…としばらく置いてたのですが 読み始めたら 面白すぎてあっという間に読み終わってしまいました。
大学病院の中の勢力争いは「白い巨塔」を彷彿させますが(読んでません、ドラマ観ただけです)
勢力抗争うずまく病院の中で 朴訥に患者と医療のために働く平良祐介はちょっと分が悪いのです。
お人好しのため、忙しい中 研修医一人を担当するのも大変なのに 3人もの研修医をまとめて面倒見て欲しい、と頼まれ 受けてしまいます。それは 鼻先に心臓外科の修行をするなら最適といわれている 富士第一病院への出向をぶらさげられたから。
研修医が 祐介のいる心臓外科に来てくれることになったら、という条件付きでした。
祐介は若い研修医に 心臓外科のハードな実態を見せたら 入局しなくなると思いわざと早く帰らせようとして
いきなり 溝ができてしまいます。
手術に入った時も 右手中指に痛みが走り 手が震えたのを見られて馬鹿にされてしまうのでした。
救急に酔っ払い患者が運び込まれると連絡がきて搬送されてきた時も 研修医が処置をしたものの容態悪化。
祐介が 交通事故で肋骨が粉砕していることを見つけて適切な処置をして 患者は助かりました。
祐介は 意地悪な医局長から 軽んじられたり 手術でも第一助手、第二助手などの重要なポジションには立たせてもらえず
損な役回りばかりをしていましたが
研修医たちは ちゃんと祐介の働きを見ていました。
だから 1ヶ月の研修が終わったあと、希望の医局は心臓外科、と3人が3人ともキツイ仕事なのを承知で希望したのです。
「私たちは平良先生のような医師になりたくて、この心臓外科に入局したんです。先生は素晴らしいドクターです。」
涙腺崩壊~~~!!
それまでにも 頑張っても報われない徒労感や 赤石教授の甥でオペの技術に長けた針谷への嫉妬や 研修医の前で馬鹿にされる屈辱感など 辛いことがたくさんありましたが
それでも 祐介の患者を思う心や 最善の医療を望む姿勢などが 研修医や 周囲の人たちの心を溶かしていくのでした…
心臓に悪性腫瘍ができて亡くなってしまった絵里香ちゃんの登場する「第三章 追憶の傷痕」も号泣でした。
自分の命を削って 重篤な患者の容態を見守り 命をつなぐ心臓外科医の実態。
本当に頭が下がります。
タイトル ひとつむぎの手、というのは 心臓外科医が 詰まった心臓の血管をバイパス血管と繋いで 人を生かすから
「ひとを紡ぐ」という文中の言葉からきています。
オペシーンや医療専門用語もたくさん出てきて説得力がありますが それもそのはず 著者の知念実希人さんは東京慈恵会医科大学卒、
2004年から医師として勤務されていたそうです。そのような経験が 作品に厚みをもたせているのですね~!
感動作というのは 心の琴線にふれるような、書き留めておきたいようなフレーズがいっぱいありますが
この作品にもまた 素敵な言葉がたくさんでてきて 胸を熱くしてくれました。
通勤電車で読むと 泣くかもしれないので 自宅でゆっくりと読むのが良さそうです。
おすすめです!!