中山七里さんの作品は、以前、映画にもなった「護られなかった者たちへ」を読みました。
中山七里さんは、「どんでん返しの帝王」の異名をとるミステリー作家さん。
今回は、「死にゆく者の祈り」を読みました。
どんなどんでん返しが待ち受けているのか、ワクワクしながら^^
Amazon評価 ★4.1
⚠ ネタバレあります、ご注意ください。
教誨とは、「教えさとすこと」。 刑事施設においては、被収容者(受刑者、被告人、被疑者、死刑確定者など刑事施 設に収容されるすべての人)の徳性の育成や精神的救済を目的として行われる活動である。
龍谷大学 New Letter 2018/10/18
主人公の僧侶・顕真は「教誨師」、受刑者に教誨を行う聖職者(ここでは、真宗のお坊さん)です。
珍しい題材です。
ある日、顕真が受け持った教誨の講義を聞く受刑者の中に、学生時代、山で自分の危険も顧みず、顕真の命を救ってくれた友人・関根要一を見つけました。
彼は殺人を犯し、死刑が確定しているといいます…
五章+エピローグからなっています
- 教誨師の祈り
- 囚人のいのり
- 救われたものの祈り
- 隠れたものの祈り
- 裁かれるものの祈り
- エピローグ
教誨師は、死を目前に控えた死刑囚(受刑者含む)に教誨を行い、その死を見届けるという大変な役目を担っています。
明治5年に監獄教誨が真宗大谷派によって始まり真宗大谷派、浄土真宗本願寺派が続きました。
仏教の教誨師の場合は僧侶が志願して、総本山に許可されたものだけがなれるそうです。
関根には、鼻に独特のあざがあり、見間違えるはずはない、なぜ彼がここにいるのか?
納得がいかない顕真。
彼は無実ではないのか?
無実を証明するために教誨師の越権行動と知りながら、旧友の為に奔走します。
公園で男女二人組を刺殺した容疑で逮捕されている関根。
あっさり、近くの警察に自首したため、あまり細かく検証されないうちに立件されてしまったようです。
むしろ、関根は、誰かの罪をかぶっているのではないのか、という疑念も出て来ます。
当時、関根を取り調べた警部はもう退職していましたが、幸いにも書記を務めていた文屋刑事がいて、顕真の話を聞いてくれました。
自分も納得いってない、ひょっとしたら、自分は無実の人間を刑務所に送ったかも知れないという後悔があり、共に再度事件を洗い直すことに。
教誨師・顕真と、死刑囚・関根要一が山岳サークルで命の瀬戸際に立った登攀とその後。
それぞれの過去を紐解いていくと見えてくる事件のもうひとつの影。
それにしても、さすがどんでん返しの帝王、死刑執行寸前に…
エピローグ含め残り10ページで、出ました、大どんでん返し
面白かった!
まあ、一僧侶の思いを受け止めてくれる当時の担当刑事や、事件の関係書類を郵送するように検察庁に掛け合ってくれる融通の利く所長などが協力してくれたからこその再審請求。
ちょっと都合が良すぎるのですが、畳み掛けるような展開で読まされました。