年末から読み始めた 今村翔吾著「羽州ぼろ鳶組 火喰鳥」ようやく読了しました。
年末年始は忙しくて、久しぶりに家族も揃うとあって、読書する気にもなれず、図書館に延長してようやく読めました。
読み進むにつれ、面白さが増してきて、最後一気に読めました。
キャラが立っている登場人物と鯔背な火消しに読まされました
主人公は、火消しならその名を知らないものはないほどに有名な「火喰鳥」との二つ名を持つ火消しの源吾。
ある火事場でトラウマになってから しばらくは現場を離れていたものの、過去の手柄を知っているものから もう一度火消しになってほしいと頼まれて…
火を見て足がすくんでしまう己の心との戦い、仲間との友情、頭としての活躍、恋女房・深雪のことなど 登場人物が面白いのもさることながら、
火事は江戸の華、と呼ばれるほど 火事が多く、火事は凄惨な現場であると同時に なにかしら江戸の人の心を高揚させるものであったのかな、と思いました。
江戸に出没する「狐」という札を置いて去る火付け(放火犯)。
あろうことか 源吾が下手人では?と嫌疑をかけられたり、彼の人柄を見込んだ人物が助け舟を出してくれたり、とドラマがあり、楽しめました。
アップテンポに繰り広げられる火事場の描写
満足な消火設備のなかった江戸時代、火消しの主な仕事は風を読み、類焼を防ぐために風下の建物を壊すのが仕事だったようです。
源吾は、仲間に入れた天文方の青年や 引退を決意した関取に助けられながら活躍します。
江戸を逃げ惑う人たち、次々に江戸の町名がでてきて慌ただしく走り回る火消したち。脳内で映像化するのも忙しい。
見てきたかのように、火消しの様子を活写されていて、躍動感にあふれていました。
ボロは着てても心は錦~♪
羽州戸沢藩の財政は厳しく、予算は少ない。消耗の激しい道具の修理代、購入にお金がかかり、火消しを雇うにもお金がかかるから、火消しの半纏にまで予算が回らないから 皆あて布をしたりしてボロい半纏を着てるため、
ぼろ鳶(鳶は火消しのこと)、と呼ばれていました。
火消しの本分は、火事場で消火にあたり、町民の安全を確保すること。どんなに馬鹿にされようと、命を救うことを第一に奔走する姿が やがて人々の感謝と称賛を得るようになります。
顔はコワイが心根は優しい 源吾と 力持ちの関取、風を見る天文方、屋根から屋根へと飛べる軽業師、そして 剣術の達人の仲間が小気味いい働きをしています。
妻の深雪は、しっかりもので 源吾を陰ながら支えています。
シリーズで大人気
シリーズ化されて、続きを読む楽しみができました。
以前、髙田郁著「みをつくし料理帖」シリーズを読んでいました。
シリーズが進むに連れそれぞれの登場人物のキャラも濃くなり、それぞれ登場人物にもドラマがあり…と楽しみも広がります。
ぼちぼち読んでいこうと思います。