⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

【2024年本屋大賞|10位】小川哲著「君が手にするはずだった黄金について」

小川哲さんの作品を読むのは「君のクイズ」に続き2作目。

 

2024年本屋大賞10位の作品です。

図書館で予約していたのですが、人気の本なのか、なかなか回ってきませんでした。

 

 

「僕」は作家自身? 6編からなる短編集

Amazon★4.2 ★5=51%  2023年10月18日発売

 

  • プロローグ
  • 三月十日
  • 小説家の鏡
  • 君が手にするはずだった黄金について
  • 偽物
  • 受賞エッセイ

…の6編からなる短編小説です。

 

一人称で書かれていて「僕」というのは著者自身かな、と思わせる書き方でした。

 

プロローグ

1つ目の作品なのでプロローグかと思ったら「プロローグ」というタイトルの章だった、という作者の遊び心。

大学院生の「僕」は就職活動のエントリーシートの「あなたの人生を円グラフで表現してください」で止まる。

何も書けない自分。

書けるのは、いや書きたいのは小説だった。

就職しようとしたのは、恋人との結婚のためであり、自分の人生のためではなかったことに気づきます。

かくして「僕」は小説家になったのです。

 

三月十日

4ヶ月前に読んだ本で、この章は、「僕」が震災の前日のことを何も覚えていない、という内容だった…ぐらいの薄い印象で

何も覚えてないです… 🙇🏻‍♀️

小説家の鏡

高校時代の友人・西垣から、妻の恵理香が小説家になりたい、会社を辞め、執筆に専念したいと言っている、と相談を持ち掛けられました。

妻は青山のオーラリーディングの女性にそそのかされているのでは?と言うのです。

「僕」はオーラリーディングの女性がイカサマ占い師かどうかを確認すべく、自分も乗り込むのですが…本当に、「僕」にもビビッとなる不思議な瞬間が訪れました。

彼女のリーディングは本当だったのだ…。

 

君が手にするはずだった黄金について

表題作、一番面白かったです。

 

負けず嫌いで口ではエラソーな片桐は「僕」の高校の同級生。

昔から痛いヤツだった…

東大に行って起業すると豪語していものの、いつの間にか大風呂敷は畳まれていたと思いきや、

「ギリギリ先生」という名前で売る、有料の投資ブログで稼ぎ、ポンジにも手を染めていました。

パリッとしたスーツを身に着け、いかにも金回りの良さそうな雰囲気を醸し出していた片桐。

六本木のタワマンに住み、派手な生活を見せびらかしても、水面下では自転車操業。

片桐のブログは有料ブログの会員投資家から訴えられ…炎上。

 

片桐が本音を漏らします、お金が欲しいわけじゃない。

才能が欲しい、才能という名の黄金をつかみたい。

そんな思いで勝ち目のない詐欺を続けていたなんて…哀れ。

 

分相応の暮らしをしていたら、犯罪に手を染めることもなかったのに。

自分を大きく見せようと張り切りすぎて滑ってしまう、イソップの寓話のようなお話でした。

 

偽物

新幹線のグリーン車で偶然再会した漫画家のババリュージも自分を大きく見せたいタイプの男。

「ESブックス最高広報責任者」…最高経営責任者ではないところが超アヤシイw

そもそもそんな会社が存在するのかもわからない。

一緒にいた編集者の轟木は、偽物のロレックスを巻いていたババリュージを「やばいヤツ」と、見抜きます。

前にババリュージに「僕」の作品を丸パクリされたことを思い出した…

 

自分を過大評価してもらいたいから、肩書も嘘、ロレックスも偽物。

わざわざ「偽物」のブランド品を持つことがとても恥ずかしいことに思います。

 

買えないなら普通の品のいい無名の時計でもいいのに…。

かえってカッコ悪いわ。

そして…盗作は犯罪です。 

 

受賞エッセイ

「僕」は山本周五郎賞最終候補の報せを受けた。

僕のもとに不思議な電話がかかって来ました。

見知らぬ番号からの電話に折り返すと、「どちらの小川さまですか?」 え?そちらからかけてきたでしょう?

 

僕はどちらの小川なのだろう。そもそも僕は何者なのだろう?

 

やはり「僕」は小川さんだったのですね^^

Wikipediaで経歴を見れば、作品中のあれこれが符合します。

 

そして。小川さんらしい(東京大学)、哲学者的な独り言。

そもそも僕は何者なのだろう?

 

この問いかけは、第一章「プロローグ」で登場する哲学者・クリプキの「名前は固定指示子」の話と通じるものがありました…。

 

参加しています、クリックしていただけたら嬉しいです♪

     ↓