2023年の本屋大賞の候補作(7位)の夕木春央著『方舟』、読了。
あ、「読了」って言う言い方、気持ち悪い、って言う人がいるらしいですね。
読み終えたことを簡潔にいいたい時は、読了、でいいと思うんですが。
さて〜
この作品は、2023年の本屋大賞の候補作でしたが、図書館に予約したのが2024年で、ようやく回ってきました。
数々の賞を受賞、一気読み必至の面白さ!!
Amazon★4.3 ★5=61% 2022年9月8日発売
極限状況での謎解きを楽しんだ読者に驚きの〈真相〉が襲いかかる。
友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。
いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。
生贄には、その犯人がなるべきだ。――犯人以外の全員が、そう思った。
引用元:講談社HP
「週刊文春ミステリーベスト10」&「MRC(メフィストリーダーズクラブ)大賞2022」堂々ダブル受賞!
その他ミステリーランキングにも続々ランクイン!
本格ミステリ・ベスト10 2023 国内ランキング(原書房) 第2位
このミステリーがすごい! 2023年版 国内編(宝島社) 第4位
ミステリが読みたい! 2023年版 国内篇(早川書房) 第6位
ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 小説部門(KADOKAWA) 第7位
そして、本屋大賞2022年 7位です。
もう、緊張感がすごい!
息詰まる展開で、先へ先へと興味が止まらない〜〜〜!!
学生時代の友人たちと山へ遊びにいった柊一。
日が暮れてきて、
友人の裕哉が以前見つけたという、地下にある建築物に行ってみると…
そこは3層の地下建築物で、地下1階、地下2階には、食堂や機械室、発電機などが備わっていて、各フロアに20室ほどの個室がありました。
地下3階は水没していて、様子はわからず。
男女7人の仲間に、新たにきのこ狩りで道に迷った、という一家3人が合流して10人になりました。
一夜を明かして、明るくなったら帰ろう、と誰もが思っていたところ、
大地震発生!!
出口への通路が巨大な岩で塞がれてしまいました!
クローズドサークルの誕生。
どうやって脱出する?
そんな時に、裕哉の死体が発見されました。
後ろ手に縛られているので、他殺だとわかります。
誰が?
何のために?
犯人は9人の中の誰か。
緊張感が走ります。
閉塞感、疑心暗鬼…息詰まる展開。
殺人に「次」はあるのか??
あるとすれば、誰なのか?
さらなる密室殺人が…
地下の建築物は、「方舟(はこぶね)」と言うらしい。
平面見取り図に、そう書いてありました。
賞味期限が切れた方舟に残っていた缶詰を食べながら、成すすべもなくただ時間がすぎるのを待つ人達。
もともと地下3階は水没していたけれど、地震の影響で水かさを増しているようです。
このままでは、9人全員が溺死してしまいます。
そんな時、第2の殺人が起きます。
1回目と違い、2回目はみんな用心していたはずなのに何故?
殺されたのは、さやかでした。
犯人の動機がわからず、次は自分かも?と皆が不安に陥ります。
犯人は平然とこの生存者の中に混じって、残り物の缶詰を食べている。
一体だれなんだろう…??
きのこ狩りの一家のお父さんが意を決して、冷たい水中に潜って、犯人を待ち伏せていたところを、剪定バサミを振り下ろされて絶命。
冷酷な、悪魔のような犯人。
アガサ・クリスティー著『そして誰もいなくなった』という作品がありますが
こちらの殺人は3人でストップ。
7人は生き残っていました。
が…
焦りと絶望
ロープを巻き付けた大岩が通路を塞いでいて、それを地下3階に落とせば道は拓ける。
けれど、巻き上げ機を操作する部屋に入った人は閉じ込められてしまいます。
地上に出た人が救援を連れて戻ってくる頃には、水没しているでしょう。
密室殺人の犯人探しと、水没までのタイムリミットと言う二重の苦しみを味わう柊一たち。
誰かが犠牲になって、巻き上げ機を操作して巨岩をどかさなければ絶対に外に出ることはできないのです。
誰か1人を生贄にしなければこの「方舟」から脱出することはできない。
誰が生贄になるのか?
それはもちろん殺人を犯した人物であるべきだ。
出典:「方舟」72ページ
地下3階からひたひたと水位があがって、もう地下2階も股下のあたりまで水深があります。
ここで溺死するのか?
理路整然と謎解き、伏線回収、お見事、そして大どんでん返し!
主人公・柊一の3歳年上の従兄弟、翔太郎は終始沈着冷静でした。
ここでは探偵のような役割。
みんなを集めて、謎解きを展開しました。
ラストの50ページは圧巻です!
ひとり、またひとり、と候補から外れて残ったのは…
⚠️ここから重大なネタバレあります。(どんでん返しの詳細は伏せました)
麻衣でした。
彼女は、全く反論もなくすべてを認めました。
そして、自分が巻き上げ機で岩を落として通路を通れるようにするのが最良の道、と巻き上げ機のある部屋へと向かいました。
複雑な思いで見送る6人の男女。
殺人犯の麻衣が犠牲になるのは当然なのか…?
柊一の元に、犠牲者となる麻衣から着信あり。
Wi-Fiがなくても使えるトランシーバーアプリでした。
彼女は、最後だから、本当のことを教えてあげる、と話し初めた内容は…
立場大逆転!!
思わずえ〜〜と声が出そうになりました。
これ以上の大どんでん返しがあるでしょうか??
ここまで、緊張感を持って読んできて、最後の最後に奈落の底に読者を落とす著者。
すごいわ…
面白かった〜!!
この作品が、多くの賞を受賞しているのも納得です!!
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