happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【青山美智子】『木曜日にはココアを』|人間関係が見事につながる連作短編集

 

温かくて優しい気持ちになれる、青山美智子さんの著書

友人おすすめの一冊。

Amazon ★4.4 (★5 62%)

 

Amazonでは1124個の評価が付いていて高評価。

 

211ページに12のお話が収められている連作短編集

木曜日にはココアを   Brown/Tokyo

きまじめな卵焼き            Yellow/Tokyo

のびゆくわれら                    Pink/Tokyo         

聖者の直進                           Blue/Tokyo

めぐりあい                           Red/Sydney

半世紀ロマンス                    Grey/Sydney             

カウントダウン     Green/Sydney

ラルフさんの一番良き日    Orange/Sydney

帰ってきた魔女                   Turquoise/Sydney

あなたに出会わなければ    Black/Sydney

トリコロールの約束   Purple/Sydney

恋文                                      White/Tokyo

 

それぞれの章の登場人物が見事につながってそうだったのか…と、わかって、脳みそがアハ体験。

 

やさしくて温かい物語でした。

 

多くの高評価の中、★2をつけている方のレビューを読んだら、浅い、とか、背景の描きこみが足りない、とか中にはすべて女性視点で書かれていて視野狭窄、絵本レベルとまで。

 

厳しい〜 orz

 

211ページに12編入れたら、211÷12≒18、1作あたり18ページ。

 

そんな短い物語に背景を細かく描き込めないし、

この連作短編集はそもそも女性視点の話であって、それぞれのストーリーがゆる〜く皆がつながっているのを楽しみ、温かさに癒やされる本ですので。

 

読む時に、短編集を選んだ時点で深い物語を求めるのは、違うのでは?と、著者の肩を持ってしまいました^^;

 

⚠️ネタバレあります、ご注意ください

 

 

 

 

 

 

 

 

東京とシドニーをつなぐ2人の女性の物語

勤務先のチェーンレストランが経営不振でリストラになった僕。

たまたま「マーブル・カフェ」というカフェに入ると、マスターが壁に求人広告を貼っていて、即座に応募したら、そのまま店ごと任されてしまいました。

毎週木曜日の3時にやって来て、ココアを頼む女性が気になっていて、密かに「ココアさん」と名付けて見守っていました…

ココアさんは、いつも、薄い便箋に英語でお手紙を書いていました。

 

「きまじめな卵焼き」で登場する、拓海が通う幼稚園の先生、えな先生、ベテランの泰子先生、泰子先生の友達の理沙、えな先生の従姉のマコちゃん

マコちゃんがシドニーに留学していた時のホストファミリーのマリー

理沙の新婚旅行先でであった老夫婦、その娘ヒロコ、ヒロコの友人のアツコ、その友人のグレイス、シンディ…

 

大勢の登場人物がパズルがピタリとハマるようにつながっていきます。

 

どのお話も優しさにあふれていて…本来生きていれば感じるはずの苦しさも、生きづらさも、ファンタジー風味でドロドロせず、サラッと語られています。

 

辛口評の方は、そのあたりが物足りなかったのだろう、と想像してます。

 

マーブル・カフェをきりもりする「僕」が毎週木曜午後3にやってくる女性を「ココアさん」と名付けて淡い想いを寄せていたように、

 

午後3時の彼女も、「マーブル・カフェ」のウェイターさんに密かに「ココアさん」と名付けて通っていたのでした。

 

ずっと思いを打ち明けず通ってきたマーブル・カフェの片隅の席から、一歩踏み出そう、そう決意した 木曜午後3時の彼女、マコは、シドニーの友達へのエアメールではなく、ラブレターをしたためて、そっと「ココアさん」にお手紙を差し出しました 完

 

どちらも、「ココアさん」と名付けていた、というのもミソ^^

 

読んでいて、絆が一本、また一本とつながっていくのが楽しくて。

 

肩のこらない、ほっこり小説でした!

 

大学卒業後、2年間シドニーの日系新聞社で記者として勤務されていた経験が生かされています。

 

そう言えば…『赤と青とエスキース』もオーストラリアのメルボルンへ留学していた女性のお話でした…^^