happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【原田マハ】丘の上の賢人 旅屋おかえり|ラストは感動だったが賢人の「設定」に鼻白む

『旅屋おかえり』のタイトルで期待したけれど…

Amazon ★4.1 ★5=45%

 

2012年4月にWEB文芸『レンザブロー』に連載されていたものを単行本化された『旅屋おかえり』を以前読みました。

心に残る言葉が随所に散りばめられ、感動の熱い涙が止まらない…素敵な本でした。

 

単行本化する際に、書籍に収録されなかったのが、文庫本になった『丘の上の賢人』です。

 

主人公のおかえりこと丘えりかが依頼人に代わってあちこちを旅するお話。

そこに収録されなかったのが、『丘の上の賢人』。

 

おかえりが、依頼人から観てほしいと言われたYou Tubeの映像には、丘の上にじっと座って動かな粗末な身なりの中年男性が膝を抱えて座っているのが映っていました。

 

男性の後ろに若者が立ったと思ったら、その男性の背中を蹴飛ばしました。

丘の斜面をゴロゴロと転がり、途中で止まると若者たちの群れが無防備な男性をサッカーボールのように蹴り回して笑っている、男性は蹴られるがままになっていました。

 

若者たちが去ると、男性は、また元の丘の上に戻って両膝を抱えてじっと動かずにいるのです。

 

依頼人はこの男性に会いに行ってほしい、とおかえりに頼みます。

 

もう、このYou Tubeに登場する男性の状況がありえなさすぎて、一気に読む気がなくなりました。

最後まで読みましたけど^^

 

大のオトナが、蹴られてゴロゴロ丘の斜面を転がるでしょうか?

サッカーボールのように、蹴られるがままになっていたら大怪我するか命を落とすかもしれないのに、ちょっと訳わからないんですけど…

 

荷物は持ってないのかしら? どうやって家から丘の上に来たのでしょう?

朝から晩まで季節を問わず座っているの?

食事は? トイレは?? いろいろ謎だらけ!

 

北海道のモエレ沼公園の丘の上に座り続ける男性を撮影したYou Tubeのタイトルは、

「The Fool on the Hill」、ビートルズの曲名で 丘の上の馬鹿

 

でも、おかえりが、旅して、いろんな人のお話を聴いて、彼の人となりや、依頼人とのいきさつをを知って、

この男性は、Fool なんかじゃない、と 本のタイトルは丘の上の「賢人」に。

 

おかえりが、成功するまではふるさとの土を踏まない、と誓って 北海道に行く仕事は断っていたのに、受けてしまいました。

 

そこから先の話は面白かったのですが、

丘の上の男性の話が非現実的で物語の中に入り込めませんでした。

 

ストーリーテラーの原田マハさんの筆力で、最後に感動に持ち込まれましたが、大感動した、単行本の『旅屋おかえり』をこの作品で上書きされたのが少し残念。

 

前作が素晴らしいだけに、見劣り(読み劣り?)しました。

 

単行本化で弾かれた本作

『旅屋おかえり』に入れるにはボリュームがありすぎたのかもしれません。

 

『丘の上の賢人』は、文庫本で153ページ、これだけでは薄すぎると判断されたのか、

エッセイの「旅すれば乳濃いし」も収録、

ついでに、おかえりの高校時代のエピソードを漫画にして収録。

 

無理やり出版に持ち込んだ臭が…

 

出版社が無理やり出したのね?と思ったことは以前も何回かあって、

たとえば柚木麻子著『3時のアッコちゃん』

こちらも、もともと連載されていたお話に、書き下ろしの、テイストの違う短編2編を加えて「3時のアッコちゃん」として出版されたので、期待したほどではなかったです。

 

出版社が作家さん焚き付けて、無理やり書かせたのでは?と思うような、著者の筆が全然走ってない作品もありました。

 

付け足しのお話は余程クオリティが高くないと「蛇足」になってしまうわ、というのがワタクシの感想で、

Amazon のサイトには、たくさんの感動の感想が上がっていますので、そちらの方が主流だと思います。

 

まぁ…★5の割合が半数に満たない45%ということでお察しですが。

 

あまり参考にならない感想で申し訳ないです…

 

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