先日、お出かけの時に電車で読む本が無いけど、図書館に予約した本はどれもまだまだ届きそうにない~っていうことで、紀伊國屋書店の文庫本売り場をぐるぐるして、ようやくこの1冊に決めました。
文庫本コーナーに平置きになっていた、葉室麟著 潮騒はるか
以前、新聞の広告欄で見つけて、気になっていた作品でした。
葉室麟さんの本は、「蜩ノ記」と、「散り椿」しか読んだことがないのですが、どちらも愚直なまでに、義を貫く男が感動的に描かれていて好きな作品でした。
こちらの本は、タイトルからして、軽やかな感じ。表紙をめくると、字も大きいので読みやすそう、と購入。
なにか物足りない、感動ポイントがわからない…
読了してから あとがきを読んで知ったのですが(遅いw)、「潮騒はるか」は、「風かおる」という小説の続編のようです。
鍼灸医の菜摘や弟・誠之助、誠之助を慕う男装の千沙など、登場人物が同じらしいです。
たまたま、前に読んだ2冊が、藩の不正を暴くために 己を犠牲にしてまで信念を貫く 骨のある男を描いていて胸アツだったんですが。
今回は、主人公・菜摘は女性で、鍼灸医という、江戸末期にしても珍しい、医療に携わる女性。
ですが、鍼灸医としての仕事が描かれている場面はあまり見受けられないし、
千沙の姉の佐奈が、福岡から長崎まで逃げてきた、というのも、逃げるなら 駕籠など使えないし当時なら徒歩でしょう。身ごもっているのに?? 140キロの道のりを草履で歩く??
設定からして 無理があって入り込めず。
登場人物も多く、散漫な印象でした。
葉室麟さんは、何を描きたかったのか?
佐奈の夫の死の謎解きというミステリーな部分もありますが 主人公・菜摘の働きも脇役とあまりかわらず。
緒方洪庵の名が出たり、シーボルトの娘のイネが登場したりもしますが、それで物語の厚みが増すわけでもなく。
一番、葉室麟さんらしい描き方をされているのが 困っている人を見たら、助けずにはおれないという 尊皇攘夷派の武士・平野次郎。
メインキャストではありませんが、いい味を出しています。
やはり、葉室麟さんは、武士を描くと その武士が生き生きと輝きだしますね。
「潮騒はるか」は、作者名を伏せて原稿を渡されたら、よもや葉室麟さんの著だとは思わないです。
ちょっとがっかりした作品でした。
今、知念実希人著「仮面病棟」を読んでいます。
一気読み必至の面白さ。
すいすい読めそうです。
知念実希人さんの本屋大賞ノミネート作、「ひとつむぎの手」を読んで大感動! 心温まるミステリーで着実にファンを増やしておられる感じがします。
感想は、近日中にUPできたらいいな~♪