happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

高殿円著 「政略結婚」を読みました

以前 ブロともさんから オススメ頂いた
高殿円著「上流階級」を読みました。 
神戸~阪神間あたりが描かれていてとても興味深く 楽しく読みました。

同じく 高殿円著「政略結婚」、朝日新聞読書欄で紹介されていました。

幕末から昭和までの時代を3人の女性と1枚の九谷焼の大皿に託して描いた大河ロマン。

記事より


f:id:kokoro-aozora:20190916164821j:plain

やはり 舞台でもドラマでも小説でも 短いとその分感動が薄いです。

人物の描き込みができないから 説明文が多くなってしまい感動が薄くなってしまってます。

この作品は 表紙のイラストでもわかるように 
江戸末期・明治大正・昭和の それぞれの時代に生きた3人の女性の物語。

第一章 てんさいの君
第二章 プリンセス・クタニ
第三章 華族女優

すごく忙しかったので 全部読めないかもしれないから 読めるところだけ読んで
返却しよう、と思って 一番興味深いタイトルの
「華族女優」から読み始め 結局 全部読んでしまいました。^^;

私が政略結婚、と聞いて思い浮かべるのは
まず、ハプスブルク家。
政略結婚を繰り返し ヨーロッパに領土を広げていきました。

マリーアントワネットは フランスのルイ16世に嫁ぎましたね。

それと 大河ドラマを欠かさず観て 小説も読んだ 篤姫
薩摩藩から江戸に上り 将軍家定との政略結婚。
後ろで糸を引いていたのは 島津公。

昔は結婚は当事者の意思など関係なく決められたので 大変な思いをされたことでしょう…

家から 個へと時代が下るに連れて 生き方の自由度が高まっていくのがわかり面白いです。


第一章 てんさいの君の てんさいとは 野菜の甜菜です。

加賀大聖寺藩前田家の藩主の娘の勇(いさ)は18歳で分家の前田利極(としなが)に嫁ぎます。
故郷を離れ 江戸にある前田藩の屋敷での日々が描かれています。
跡取りが結婚の前に若くして亡くなる、ということが続き
養子をさがしたり 側室を選んだり…お家存続のために奔走する勇。

それでも 利極は 側室を取らず 勇に心を寄せてくれて
甘い殿様 それで てんさいの君と。

勇が持ってきた 九谷焼の青手の大皿に 
甜菜の絵が描かれていたからでもありました。

あまりにも今の常識とは違う 江戸の結婚、お家事情が描かれていて
興味深く読みました。

第二章 プリンセス・クタニ

加賀藩の分家 小松藩の末裔の万里子は明治時代にして
海外で生まれ育ったために 両親と帰国してみて
激しいカルチャーショックを受けます。
厳格な祖母に行動を制約されて、息苦しい日々を過ごしていました。
いいなづけが アメリカで働いていると知り これ幸いと渡米、
サンフランシスコ万博で ロンドン在住時に身に着けた英語力で活躍します。
その万博で 九谷焼を紹介し ビジネスウーマンとしての才能を開花させました。

いいなづけとの結婚を反故にして 
アメリカで九谷焼の輸入をしている 友人の兄と結婚。
帰国して 九谷焼の窯を二人で訪れた時に
プリンセスクタニ!と故郷の人たちから 迎えられるシーンは胸熱でした♪

それにしても ちょっと出来過ぎな感じはしましたが…
そんなに ポンポンと調子よく運ぶかな?という 胡散臭さは感じましたけど
読まされました。

第三章 華族女優

これ、政略結婚と何の関係もない気がするのですが…

華族とか伯爵とか ヅカファンが喜びそうな言葉がいっぱいでてきまして
丁度 はいからさんが通るも読んでて どっちがどっちの華族ネタだったか…笑

これは 深草伯爵家の誇り高き母と娘の物語。

かつては 優遇されていた伯爵家にも 経済恐慌後生活が厳しくなり
花音子が住んでいた 瀟洒な洋館(白樺の館と呼んでいた)を手放すことになってしまいます。

花音子は 学習院に通う傍ら 母とともに新宿のラヴィアンローズという
劇場の舞台で歌い、時には 脚上げ(ラインダンスのような)もしていました。

花音子には もう母のように 伯爵家の誇りなどなく
自由に自分の好きなように生きる姿が描かれています。

3つの時代 それぞれを生きた女性像を読んで
時代の流れとともに 女性の生き方の変化も分かって面白かったです。

 

今、自由に生きることは当たり前ですが(世界には宗教上、政治的な事情で自由がない国もありますが)、

家柄や階級制度が 女性の自由を奪っていた時代を体感できて 現在の自由のありがたみをひしひしと感じました。

すごくオススメ、という本ではないですが サラッと楽しめました。