⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

【原田ひ香】東京ロンダリング|人とのつながりが温かい

好きな女流作家さんは、原田マハさん、伊吹有喜さんです。

 

先日、手元に読む本がなくなったので、図書館で「原田マハ」さんの本を探していました。

ふと横をみると原田宗典さん、原田ひ香さんの作品も並んでいて…

そう言えば、原田ひ香さんの作品は「口福のレシピ」しか読んでなかったわ、と原田ひ香さんで探していて見つけたのがこちら ↓

 

東京ロンダリング(=浄化)、何を浄化するのでしょうか?

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内田りさ子、32歳。わけあって離婚。戻るべき家を失い、事故物件に住むことを仕事にした彼女。失意の底、孤独で無気力な毎日を過ごしていた―。移り住む先々で人と出会い、衝突しながら、彼女は何を取り戻したのか。東京再生、人生再生の物語。

BOOKデータベースより引用

面白かったです。あっという間に…1日(4、5時間)で読めました 。

 

マネーロンダリング、学歴ロンダリング、とはよく聞く言葉です。

資金洗浄、とか訳されたりしますが、浄化という意味です。

 

主人公のりさ子は自らの不貞行為で、家を出る羽目になりました。

自分の貯金も、夫に渡していたためにほとんどお金もない状態で不動産屋に駆け込んだものの、どの物件もりさ子には手が出ないのでした。

そんな時、不動産屋がこっそりと持ちかけてきたのが、事故物件に住むと言う仕事。

これなら、家賃は不要の上に日当5000円もでるという好条件。

ただし、いつもにこやかに、でも決して深入りをしない、近所の人に印象を残さないで生活する、ということでした。

 

他殺自殺、病死、孤独死。

家の中で人が死んだ物件は他人に貸す時には説明しなくてはならず、借りてがつかないけれど、一旦誰かが住めば二人目からは不動産屋の説明義務がなくなるのだそう。

 

東京ロンダリングは、事故物件ロンダリングでした。

 

誰も済まなくなると、大家さんが困るし、東京の貴重な賃貸物件が減ってしまうのももったいない、広い目で観れば、人助けだ、東京を助けるのだ、と説明され

身の回りのものを入れたバッグひとつで渡り歩くことに。

 

2軒目の物件は、谷中のアパート「乙女アパート」、大家の真鍋夫人も住んでいます。

 

人と関わらず、他人の印象に残らない生き方を、と思っていたのに よくお弁当を買いに行く近くの定食屋「富士屋」と大家の真鍋さんが仲良しで、

谷中という土地柄もあり、人間関係の渦に巻き込まれていくりさ子。

 

空気のように生きようと、荷物もバッグひとつで事故物件を渡り歩けるようにしていたのに富士屋の親子と懇意になってしまいます。

 

次の物件は東京駅前の超高級マンション 賃貸料月額104万円の物件。

硬いセキュリティで護られているところにも富士屋の息子・亮は出前を持ってきて…

りさ子の心だけじゃなく 胃袋にもアプローチ♪

 

少しずつ距離を縮めてくる亮が温かくて、じんわりします。

 

すこし人間関係に疲れていて、人と深く関わりたくない、と思っていたりさ子の心を谷中の真鍋夫人や、亮親子が溶かしていくのです。

 

りさ子と同業者の菅さんのピンチも救って、読後感が爽やかな本でした。

 

事故物件洗浄と言っても、幽霊やオカルト的な話ではなくて人との絆を結んでいくお話で良かったです。

 

リアルな会話が物語に引き込んでくれました。

 

原田ひ香さんがこの著書の5年後に新たな視点で書かれた 失踪.com(失踪ドットコム)も読もうと思っています。