⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

【月村了衛】『ガンルージュ』読了|手に汗握る展開に引き込まれて…一気読み

初めて読んだ月村了衛さんの作品は『土漠の花』でした。

 

手に汗握る展開、映画のラストシーンのような鮮やかな最終章。

読むのが楽しい一冊でした

 

あれからだいぶ年月が経ちましたが、先日『脱北航路』を読んで、やはり月村了衛さんの息をも吐かせぬ展開、楽しいな、と感じました。

潜水艦とうことで、海面下の息詰まる攻防戦、読まされました。

 

たまたま図書館で『ガンルージュ』に出会ったので読んでみました。

⚠️ネタバレありますご注意ください

 

 

 

 

第二の金大中事件が群馬県の山中の別荘で起きます。

 

韓国の大物政治家が別荘に潜伏していたが、政敵に連れ出される際、たまたま通りがかった中学生の祐太朗と麻衣も巻き添えで同行するはめに。

 

元公安の祐太朗の母・律子と、祐太朗の担任・渋矢美晴がタッグを組んで大活躍!!

この設定が面白い!

 

祐太朗の母・律子は13年前のとある事件で、警察とは確執があります。

冷静沈着、頭の切れる女性。

いっぽうの美晴は…ぶっとんだキャラ設定。

スポーツ界の東大、日体大出身にして元インディーズバンドの人気ボーカル、今は群馬県で体育教師。

教師らしからぬ言動でしょっちゅうPTAの吊し上げを食らっています。

 

『脱北航路』では、上の命令には絶対服従で、そのために人命が脅かされようと、動くことも出来ない、そのもどかしさが描かれていました。

 

『ガンルージュ』でも、現場に近い者がこれはまずい、と思っても、上が「待機」と言えば動くことも許されない歯がゆさが描かれています。

 

『脱北航路』では、拉致された中学生を見殺しにした後悔を忘れた日はなかった、と、同じ轍を踏んで後悔しないよう、上の命令に従わず人命第一で救助にあたろう、とする姿が描かれ胸熱でした。

 

『ガンルージュ』でも、13年前の後悔が警察の高見沢警視長を動かしました。

 

それにしても、山中での銃撃戦、手に汗を握る展開は、月村了衛さんの真骨頂!

日体大卒の渋矢美晴先生が、弾丸を金属バットで打ち返すシーンには笑っちゃいましたが、胸の空く思い♪

 

脳内で慌ただしく登場人物が動いて、映画を観ているようですごく楽しい読書タイムでした。

 

早く続きを読みたくて、うずうずしてしまうぐらいの面白さでした。

 

それにしても…警察発表というのは、捜査上、秘匿すべきことがあるのはわかりますが、政治家などが絡んで、真実はどこまで語られているのかな?と疑念をもってしまいました。

 

律子が韓国人工作員のリーダー・キルと13年ぶりに対決するシーンは圧巻で、読まされます。

 

律子がこれだけ人を殺したら、死刑は免れないのでは?とも思いますし、いろいろと荒唐無稽な設定もありますが、娯楽小説として展開を楽しみました。