happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【近藤史恵】ヴァン・ショーをあなたに 読了

ビストロ パ・マルのシリーズ第二弾! ヴァン・ショーをあなたに

ブロともさんオススメの近藤史恵さんの作品。ビストロ パ・マルを舞台に三舟シェフの勘が冴え渡って疑問、難問を解決?? タルトタタンの夢に続く、シリーズ、第二弾。

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読んだ内容をすぐに忘れるので、内容を記録してます。ネタバレありますので 内容を知りたくない方は、ここでUターンお願いします。

 

 

収録作品 7作

錆びないスキレット

シーズニングをしているのに錆びたスキレット。お客さんの家のスキレットは、シーズニングしても錆びるのはなぜか? シーズニングをして油膜を作ったスキレットは洗わないものなのに それを知らない息子さんがスキレットを洗剤で洗ってしまったから。

息子が重いスキレットを落としてしまったときに 下にいた飼い猫に当たり、亡くなってしまった。親が知らないうちにこっそり亡骸を処理して、スキレットを洗ってしまったんですね…

家にスキレットがあると、また猫が亡くなるかも、と 息子さんはこっそり猫を逃していた、というお話。

この ↓ 文章にやられました

アスパラガス、グリーンピース、春キャベツ、そらまめ。そんな春にしか食べられない野菜を絶妙の火加減で甘みが出るように火を通して、ワインビネガーを入れて煮込む。酸っぱくなりそうだが、それほどでもなく、爽やかな酸味が野菜の甘味と調和して、春らしい一皿になっている。最後に、バターを少し入れて火を強め、はしばみ色に焦がして風味をつけるのがコツである。

本文より

あぁ~今すぐ、作りたくなります!!

憂さ晴らしのピストゥ

乳製品がダメ、ベジタリアンだと言う客から予約が入りました…バターやクリームをふんだんに使うフランス料理店でこのリクエストは厳しい!

三舟シェフの腕の見せどころです!

プロバンス名物のバジルペースト、ピストゥを使ったスープオピストゥは野菜メインのスープです。

ピストゥは、バジルとにんにくをオリーブオイルで滑らかなペースト状にしたものなのですが、

フランス料理店、ル・ヴァンテアンの入るビルのオーナーのお嬢さんが前述のベジタリアン。

オーナーの娘だから、とワガママを押し付けてくるので ヴァンテアンのシェフは、ピストゥをオリーブオイルではなく、豚の背脂を使う「伝統的な作り方のピストゥ」を出したというのです。

三舟のビストロ パ・マルでも食べた、と聞いて 慌ててやってきたヴァンテアンのシェフは 内情を知って伝えなかった三舟にお礼を言いに来たのです。

ベジタリアンに動物性脂肪でピストゥを作ったのです。「伝統的な」と説明しても フランス料理に造詣の深くないの女たちには、どうせわからなだろう、と使ったんですね。

 それを聞いて 料理人としてのプライドはないのか、自分で踏みにじっていいのか、と呆れていいました。

普段ワガママを受け入れているので そんな小さなことで憂さ晴らしをしたヴァンテアンのシェフでした。

 

ブーランジェリーのメロンパン

ア・ポワ・ルージュというパン屋さんが近くに開店するといいます。 

女友達同士2人で立ち上げる新店。

パンとなにか一緒に食べられる簡単なメニューのアドバイスを、とパ・マルにやってきました。

ア・ポワ・ルージュのすぐ近くには、昔からのパン屋さん、ブランがあったのですが、客層はかぶらないから大丈夫だろうとオープンの運びになりました。

 

そのうちの一人が開店前に失踪…

実は彼女、近くのブランの娘さんだったんです、古臭いパン屋をしている実家が恥ずかしかったけれど、やっぱり自分ちのパンが最高だったことに気づいて…今風のおしゃれなパン屋さんもいいけれど みんなに馴染みのある昔ながらのパン屋のパンも、出したいですよね。

 

アポアルージュだと意味不明だけれど 前に「ブラン」を付けると、「ブランアポアルージュ」になり、それなら意味が通じる、とフランス語がわかる三舟シェフ。 

実家のパン屋のひさしに描かれていたのが赤の水玉模様だったから…だったんです。

 

マドモワゼル・ブイヤベースにご用心

パ・マルに何度となくブイヤベースを食べに来る女性がいました。

残したブイヤベースを持ち帰れないか、とまで言うので お断りした上で、なぜか、と聞くと

雑誌にも紹介されるフランス料理店、シェ ミナの女性のシェフで、ブイヤベースの味を盗みに来てたことがわかります。

とっつきの悪い三舟が 教えてあげてもいい、と譲ると 彼女は、自分のブイヤベースを味見して欲しい、と。彼女が持ってきたのは、ブイヤベースではなく、スープ・ド・ポワソンでした。

ビストロとは違い もうすこし上品なフレンチレストランのシェミナでは ブイヤベースより スープ・ド・ポワソン。

それを指示したのは オーナーの男性、(彼女に求婚していた)ということがわかりました。

が、彼女、いきなり三舟シェフに思いを打ち明けるんです、好きです、と。ちょっと唐突でした!

天秤にかけられたこと嫌って 三舟は突き放しましたが、お店のスタッフから シェフは、絶対、シェミナのシェフを好きだったよね、と噂されて…三舟シェフのなかなか描かれない一面が描かれていました。

氷姫

片思いの男性の恋がようやく成就して、一緒に暮らし始めて3年。

ある日彼女は置き手紙を置いて出ていってしまいました。

彼女の行き先は以前付き合っていた男性のもと。その男性は、軽薄な男で彼女と婚約中に かっとなって人を刺殺して服役していたのです。

なぜ彼が出所したことがわかったのか。

彼女は、かき氷が大好きで自分のかき氷機を持っていましたが かき氷機専用の製氷皿をひとつ失くした、と言っていたのです。

ある日刑務所を出所した男が彼女のものだ、と氷が入ったままの製氷皿を持ってきたのです。

その氷は、普通の氷と違い透明で 片思いだった男性の冷蔵庫では決してできない氷だった。彼女は氷を見て、元婚約者が出所してやって来たことを悟った、という 氷が謎解きのヒントになっているお話。

天空の泉

恋人が出ていってしまった、と、フランスを傷心旅行中の日本人女性。

その人がオススメのトリュフオムレツが美味しい店に行くと…一人で旅をしていた若かりし日の三舟シェフと出会い、話を聞いてもらうことに。

「星の王子さま」を置いていった恋人の意図するところを三舟ならどう解釈するのか、と聞く女性。

三舟のフランス語の力で、女性が来たのは フランスからではないことも言い当て 本を置いていったのは相手ではなく、その女性自身だったことも解き明かします。

 

近藤史恵さんのビストロ パ・マルのシリーズは 推理小説の創元社文庫から出版されていますが 推理が冴える三舟シェフですが 殺人などのドロドロしたものではないのが 異色ですね。

 

お料理の表現も巧みで トロトロの卵とトリュフの香りを想像するのも楽しいです。

 

ヴァン・ショーをあなたに

表題作。ヴァン・ショーはホットワインにスパイスやフルーツを加えたもの。

ドミトリーのベッドで高熱で唸る日本人青年サダール。本当はサダハル、というのだけれど フランス人はh(エイチ)を発音しないので サダール、と呼ばれています。

そこへ現れたのはフランスで修行旅行中の三舟シェフ。何も食べられない、と言う青年に、手持ちの鰹節とパックに入ったお味噌で ドミトリー(安宿)のキッチンを借りてお味噌汁を作ると青年はたちまち元気に。

お世話係のルウルウが 元気になったサダールと三舟をクリスマスマーケットに案内してくれて オススメのヴァン・ショー売りのおばあさんのところに連れて行ってくれます。

内緒のレシピで、いつも大人気。ところがこの度は様子が違う。赤ワインではなく、白ワインで煮込んであって、聞くと、もうヴァン・ショーを作るのはやめる、というのです。

その理由は、娘の夫がヴァン・ショーを窓の外に捨てていることがわかったから。

 

三舟は、娘の夫が日本人だということを当てて、ヴァン・ショーを捨てた理由を推理します。

納得したヴァン・ショー売りのおばあさんは、お礼に誰にも教えた事がなかった大切なヴァン・ショーのレシピを三舟シェフにこっそり教えたのでした…

 

ほっこりする短編集

謎に包まれたw 三舟シェフのフランスの修行時代のお話も登場しましたし、三舟シェフがちょっと心を動かされた女性(シェミナのシェフ)も登場して 面白くなってきました。

 

登場人物の目線が温かく、こんなビストロがあったら常連さんになりたいわ、って思う、ビストロ パ・マルのシリーズ。

フランス語の薀蓄や、お料理の知識も語られて読むのも楽しく勉強になります。

お料理の表現が巧みで 脳内で再現したり想像するのがすごく楽しいです!!

オススメです!