今年9月に宝塚星組で上演される「柳生忍法帖」の原作本
時代小説の中でも、読もうと思わないジャンルの本でした。
剣豪の話より、江戸の人情物の方が好きなんです。
それなのに、読み始めたら、スピーディな展開に読まされて、先が気になり読むのを止められない~! と2日で読めました^^
柳生「忍法」帖、というタイトルからして、忍者??
というのが第一印象。
Wikipediaを読めば、剣豪・柳生十兵衛が、会津騒動で藩主・加藤明成の元から出奔した家臣の妻・娘の敵討ちを助けるお話、とわかりました。
⚠ネタバレあります、ご注意下さい。
ストーリー
会津七本槍のやりたい放題
会津藩主・加藤明成の横暴が熾烈を極め、進言も虚しいとしった 前藩主からの家老・堀主水は、家来達を連れて出奔しました。
女達は、鎌倉の尼寺・東慶寺に預け、男たちは高野山へと逃げ延びました。
明成は怒って、高野山から堀一族を引きずり出し江戸へと呼び戻します。
一行は途中、鎌倉の東慶寺に寄って、最後の別れをさせてやろうという七本槍の情け?をありがたく受け入れたのですが…
男子禁制の尼寺に力で押し入り、会津藩の女性たちを父や夫に合わせるという名目で呼び出し 彼らの前でなぶり殺しにしたのでした。
この場面は、恐ろしいバイオレンスシーンで、読むのが辛かったです。
読む=脳内で映像を作り出す、それが 今まで想像もしたことのないような殺戮現場で恐ろしい…
でも、最初にこのシーンがあるからこそ、読者は、加藤明成憎し、七本槍憎しで、生き残った堀主水の娘たちや、武術・兵法を教えるためにやってきた柳生十兵衛に肩入れしながら読めます。
加藤明成の子飼いの武術集団・七本槍の7人の武術は、剣だけでなく、長槍や、獰猛な秋田犬、髪の毛を編んで作った霞網で一網打尽にしたり、鎖鎌を使う者も。
真っ向勝負すれば歯が立たないどころか、たちどころに殺されてしまう強敵相手に、女たちが復讐できるように、と十兵衛は、ピンチには助けるものの手出しは一切しないのでした。
十兵衛は、人気のキャラクター
7人の女性たちに、剣術指南、のみならず、青竹の上を走らせたり、木々の間を反動をつけて飛び回ったり、と軽業師のようなことも教えます。(忍術なのでしょうか?)
鎖鎌の鉄斎を亡き者にし、お鳥は長槍の孫兵衛を倒し、犬使いの丈之進をも・・・。
十兵衛は、武家の男たちとは違った野性味あふれる性格。
子供っぽいところがあるかと思えば、男気もある。
行動力と慎重さをあわせもち、ユーモアのセンスもある。
「惚れてしまうやろ~」な剣豪。かっこよすぎます。
こんなヒーロー、ぜひとも宝塚で上演しなくちゃ!!ってなるのも頷けます!
加藤明成の「花地獄」が、怖すぎる…
若い女を吉原で買っては、屋敷の中の土蔵(花地獄と呼ばれていた)に監禁し、書くのも恐ろしいやりたい放題で、最後は殺して捨ててしまうのです。
加藤明成の敷地に入ったら、二度と生きては戻れないのです。死体すらあがらない。
蔵の地下に捨場があり、そこはもう屍が堆積して…(ry
虎穴に入らずんば虎子を得ず。
十兵衛とお圭が、祝言をあげる夫婦になりすましてわざとさらわれ、「花地獄」に入ります。
一旦、ふたりとも「死の穴」に落とされたものの、這い上がって、今度は七本槍たちを穴に落とし、捕らわれた女達を逃してあげたのでした。
大立ち回りで、アクションシーンの連続で、息吐く間もないジェットコースターノベル。
この先、どうなる?? どうなる?とページを繰る手が止まらず、寸暇を惜しんで読んでたらあっというまでした。
蛇の目の落書き
加藤明成の蔵の壁に何者かが描いた 二重丸二段、上3つ、下4つ。
「蛇の目は七つ」の添え書きもありました。
蛇の目は、加藤家の家紋。
七つ、というのは七本槍のことなのでしょう。
鉄斎、孫兵衛が殺された時に また「蛇の目は五つ」、丸が5つ描かれていて。
これが、一つずつ減っていく=七本槍のメンバーが殺されていく…と七本槍にとって、次は自分か?と 恐怖に苛まれたことでしょう。
下巻のクライマックスが楽しみ!
Wikipediaにも、ラスト 大団円のようなので、どう決着をつけるのか楽しみです!
まだ、七本槍の親玉? 芦名銅伯も、その娘のおゆらも登場してないので、十兵衛とどう絡んでいくか…
まだまだ波乱の展開が待ち受けているのでしょうね。
勧善懲悪の胸のすくストーリーだと思うので 下巻が届くのが楽しみです。