happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【凪良ゆう】『汝、星のごとく』泣かされた|久々に…宝物のような作品

メディアで話題の『汝、星のごとく』に出会えてよかった

Amazon ★4.5 ★5=74%

 

【2023年本屋大賞】ノミネート
【第168回直木賞候補作】
【第44回吉川英治文学新人賞候補作】
【2022王様のブランチBOOK大賞】
【キノベス!2023 第1位】
【第10回高校生直木賞候補作】

【ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 第3位】
【今月の絶対はずさない! プラチナ本 選出(「ダ・ヴィンチ」12月号)】
【第2回 本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞 ノミネート】
【未来屋小説大賞 第2位】
【ミヤボン2022 大賞受賞】
【Apple Books 2022年 今年のベストブック(フィクション部門)】

数々の賞にノミネートされ、候補作となり、ランクインも多数なのもうなづけます。

 

もう、素晴らしいよ、凪良ゆうさん!!

 

プロットがいい!

心理描写が巧い!

比喩や言葉選びがいい!

 

登場人物それぞれの「生き様」がリアルに伝わってきて、苦しいほど。

 

暁海と櫂、14年の物語、読まされました

⚠️ネタバレあります、ご注意ください

 

 

 

 

 

 

 

 

主人公の暁海(あきみ)は、愛媛・松島市から船に乗っていく離島に住んでいます。

暁海の母は、父が帰って来なくなって、心を病んだため、自分よりも母を大切に、波風がたたないように慎重にくらしています。

 

高校で同じクラスの青埜櫂は、京都から来た転校生

唯一の家族の母は、息子よりも自分の恋愛中心の自己中で、櫂はいろんなことを我慢して生きています。

 

似たような境遇の二人が惹かれ合うのに時間はかかりませんでした…

 

母子家庭の櫂の家のことも、夫に逃げられた暁海の家のことも、二人が付き合っていることもあっという間に知れ渡ってしまうのでした。

 

こんな島から出たいと思っても、母に行かないでと言われれば残らざるをえない暁海。

勤務先はブラックな職場でも、家計を支える暁海は、辞めることができない。

 

ビーズ作家の主宰する刺繍教室でビーズ刺しゅうに魅せられた暁海は、母に内緒でビーズをさして心のスキマを埋めています。

 

櫂は、コロコロと交際相手を替える母親との生活から気持ちをそらすために漫画を描くのに没頭していました。

その時間だけが、周りの煩わしさを忘れ自分らしくいられたから。

 

漫画が認められ、東京で大当たりした櫂と
母と島と心折れる職場に縛り付けられている暁海。

二人の体の距離も心の距離も離れていくけれど、細い細い糸で結ばれていて…こんなに相手を思い会える人に出会えたら…

 

辛く苦しいことを共有する覚悟をもって付き合うのは、

相手の人生を、肩の荷物を半分持ってあげられるかどうか。

 

彼の、彼女の後ろにある、毒親、嫉妬深く鬱な親をひっくるめて背負っていく。

 

プロローグがみごとにエピローグにつながって、そういう事か、と腑に落ちますし(うすうす感づいてますが)、ラストの展開に泣かずには居られません。

 

北原先生、とは何者か。

高校の先生で、学生時代からなにかとお世話になっている暁海は…

 

北原先生のポリシーである、「やりたいことを優先する」生き方を知って、なぜ今まであんなに思い込みに囚われ、苦しんでいたのか、と今更ながら感じた暁海でした。

 

この作品の中には、ネグレクトの親(青埜櫂の母)、自分の言う通りにしないと機嫌の悪い母(井上暁海)、未成年の性被害、ネット炎上、いろいろな問題が織り込まれていて、グイグイと引き込んでくれます。

 

父の不倫相手の瞳子さんは、母から父を奪った相手ではあるけれど、瞳子さんの人柄に魅せられて、父が家に帰らないのも理解できるし、

瞳子さんは、我が子のように暁海を心配し、暁海も心を開いています。

 

東京で大成功した櫂には遅れを取ってしまったけれど

暁海は、ビーズ刺しゅうで賞を取り、立派にプロとして独り立ちしました。

 

天秤のように、暁海の生活に余裕ができたときには、櫂の命の炎が消えかかっていて…

 

なんて運命だ、と呪いたくなるような、もどかしさも手伝ってますます読書が熱を帯びていきます。

 

エピローグが秀逸、ヤラれる!

エピローグにたどり着く頃には、もうすっかり暁海の人生を生きたような、軽い疲れを感じていました。

 

櫂亡き後、暁海の下に届けられた一冊の本。

 

櫂に、生前とにかく文章を書くように、ずっと支え続けてくれた出版社の二階堂絵理からでした、暁海は櫂と二階堂の関係を知らないけれど。

 

本は、島の、目の前に広がる夕景と似たような表紙、空と海の間にポツンと光る星。

 

この本の中で、時々暁海と櫂の会話に登場する夕星(ゆうづつ)=宵の明星でした。

 

その本のタイトルは…

 

 (TOT) ダー 

 

今、この文章を書いていても泣けてきました…

 

おススメです!!