Amazonの関連商品として紹介されていた本です。
著者の成田名璃子さんは、全く知らない作家さんでしたが、Amazonでは、高評価。
図書館で借りて呼んでみました。
心温まるお話、ラスト感涙。
Amazon ★4.3 ★5=54%
東京の下町の商店街のはずれにある「すみっこごはん」という共同キッチンのあるスペースで繰り広げられる人間ドラマ。
とってもほっこりして読んでいて、想像するのが楽しい作品でした。
続いて第2弾、第3弾…と出版され、第5弾で完結したようです。
2巻以降はサブタイトルが付いています。
雷親父とオムライス 2016年
親子丼に愛を込めて 2017年
楓の味噌汁 2018年
レシピノートは永遠に 2020年
心温まる連作短編集
商店街の脇道に佇む古ぼけた一軒屋は、年齢も職業も異なる人々が集い、手作りの料理を共に食べる“共同台所”だった。イジメに悩む女子高生、婚活に励むOL、人生を見失ったタイ人、妻への秘密を抱えたアラ還。ワケありの人々が巻き起こすドラマを通して明らかになる“すみっこごはん”の秘密とは!?美味しい家庭料理と人々の温かな交流が心をときほぐす連作小説!
「BOOK」データベースより
- いい味だしてる女の子 イジメに悩む女子高生
- 婚活ハンバーグ 婚活に励むOL
- 団欒の肉じゃが 人生を見失ったタイ人留学生
- アラ還おやじのパスタ 妻への秘密を抱えたアラ還公務員
- 楓のレシピノート
の5編の連作短編集です。
以下ネタバレあります、ご注意ください
いい味だしてる女の子
おじいちゃんと二人暮らしの女の子、沢渡楓。
楓が生まれる前に、母は夫と離婚し、まだ幼い楓を置いて亡くなってしまいました。
両親の顔をしらない寂しさを抱えながら生きています。
高校では楓をLINEグループで仲間はずれにする女の子たち。
幼馴染の純也が、ときどき助けてくれるのでホッとします^^
友達と約束がある、食べて帰る、とおじいちゃんに啖呵を切って飛び出したものの行くあてもなくフラフラしている時に見つけた「すみっこごはん」。
温かく迎え入れられて、おいしいごはんを食べて、
「すみっこごはん」のルールを教わります。
お料理はほとんど出来なかった楓が、「すみっこごはん」に伝わるレシピノートを頼りに、周囲の人たちのサポートも受けながら丁寧にお出汁を取ることを覚えていきます。
婚活ハンバーグ
結婚は、相手の胃袋を掴むのが大切、とりあえず、カレーとハンバーグ、と女子力の高い同僚から聞いた奈央。
同僚から結婚が決まった、と打ち明けられ、すみっこごはんに出入りしているおばさんの田上さんからも婚活特集の載った雑誌を渡されて…婚活なんて向いてないのに…
そうぼやくと、ミュージシャンの一斗さんから、言霊ってあるからマイナスの言葉は言わないほうがいいとアドバイスされます。
婚活サイトに登録して、男性と会うことになったのだから
せめてハンバーグは作れるようにならないと!
すみっこごはんのレシピノートを見て レシピの注意に忠実に作ったハンバーグはとても美味しかった!
丁寧に作ったごはんは心にエネルギーを届けてくれて、前向きに考えられるようになりました。
「私を、どんな未来に、連れて行ってあげよう」(P188 より)
元カレと別れたことで自信をなくし、「婚活」という言葉にがんじがらめになっていた奈央が自分の力で羽ばたこうとしている姿が眩しい♪
団欒の肉じゃが
タイ出身のジェップはタイ政府の援助を受けて日本に留学に来ています。
午前に授業を受け、午後からはコンビニでバイト。
ホストファミリーは、夫婦仲の悪いお父さん、お母さん、高校生の啓馬とその妹の4人家族。
啓馬は、元ワルだけれど、絵が上手で、美大進学を夢見ています。
彼のスケッチブックを見たジェップには、まっすぐに好きなことに打ち込める啓馬が眩しい。
ジェップは、故郷にいる妹とおばあちゃんへの仕送りのために、日本語習得とバイトで心身をすり減らしているというのに…
タイからの一通のハガキ、そこには、実家のある場所に道路が通るから立ち退き料をもらった、もう心配ない、との知らせ。
ジェップの心を支えていたものがグラグラ揺れました。
すみっこごはんの常連のガラの悪いオジサン、柿本がジェップを居酒屋に誘ってくれて、
団欒だ、といって肉じゃがを勧めてくれました…そして柄の悪い、口の悪い柿本が、人生なんてからっぽだ、それでいい、とジェップの不安を肯定してくれて…
答えがみつからなくても、明日が見えてくることに希望を見出したジェップでした。
アラ還おやじのパスタ
すみっこごはんの常連、いつも紳士的で落ち着いた風情、役所勤めの丸山さんの楽しみは、ゆうたんのブログをチェックすることでした。
これだけは、誰にも知られたくない…と密かな楽しみになっていて、更新時間になるとソワソワしてしまうぐらい。
実はゆうたん、…とここから先は、ネタバレしないほうが面白いし、最終章、いろいろな人の人生が絡み合って胸アツなのです。
そうだったのか〜、というのが二重三重に仕掛けてあって、成田さん、お見事!です。
伏線を見事に回収して、なるほど!です^^
WOWOWで2017年にドラマ化も放送中止
ドラマ化されていたとは!この小説は面白い人間ドラマが描かれているのでドラマ化もうなづけます。
NHK朝ドラ「ちむどんどん」で主演を務めた黒島結菜さんが主演で撮影がすすんでいたようです。
が! 子役(当時6歳)も深夜まで撮影していたとして、テレビ局が謝罪して放送中止になってしまいました。
役者さんたちはせっかく撮影したのに放送されず、残念だったでしょうね…
もう一度、仕切り直して、ドラマ、もしくは映画化も観てみたいです。