⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

【本屋大賞2023|4位】【直木賞候補】呉勝浩著『爆弾』|警察を翻弄する容疑者の真意を追って一気読み!

2022年上半期 第167回直木三十五賞 候補作

2023年 第20回本屋大賞 4位

「このミステリーがすごい! 2023年版」1位

「ミステリが読みたい 2023年版」1位

 

呉勝浩著『爆弾』を読みました。

 

息を吐かさぬ展開、先が気になって一気読み!

Amazon★4.1  ★5=49%  2022年4月20日発売

 

第167回 直木三十五賞受賞作・候補作

受賞    窪美澄  『夜に星を放つ』

候補    

河﨑秋子『絞め殺しの樹』

呉勝浩   『爆弾』

永井紗耶子『女人入眼』

深緑野分  『スタッフロール』

第167回直木賞の候補作が発表されたのは、2022年6月17日。

候補の5作に読みたい!と強く思う作品がない!

結局、ノミネートの1年半後の2024年の1月にようやく「爆弾」を読む決心をしました ^^; 

図書館に貸出予約をして、1年余り、ようやく届きました。

 

『爆弾』は、直木賞にも本屋大賞にもノミネートされ、ミステリー界隈では第1位も取っている作品。

 

なのに、Amazonでは、★4.1と評価はやや低め、更に★5の割合が半数にも達していない、というのはどうなの??と食指が動かなかったのですが、読んでみて納得する部分もありました。

 

些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。

引用元:講談社BOOK倶楽部

 

確かにノンストップ・ミステリー!

 

テロか否か、単独犯か複数犯か、

スズキタゴサクとは何ものなのか??

 

先が気になって、ページを繰る手が止まらない!!

 

犯人探しではなく、犯人との会話から真実を読み取るミステリー

酒店で暴行を働いた酔っぱらいが捕まった。

犯人はスズキタゴサク、と名乗る風采の上がらない男。

 

名前からして胡散臭いし身元も割れない。

警察からの大事な質問には「忘れた」の一点張り。

のらりくらりとかわすスズキは…見かけによらず頭がいいのか?

 

そんなスズキは爆破予言を口にしました。

半信半疑の刑事たちでしたが、爆発は本当に起きてしまいました。

「ここから三度、次は一時間後に爆発します。」

本当ならば、絶対に爆発を阻止しなければならず、警察は爆破地点のヒントをもらうためにスズキの話術に巻き込まれていき…

 

ここから一気にお話が展開していきます。

 

スズキは、自分を卑下していて自己肯定感の低い男。

刑事に対して言葉使いも丁寧ですが、なにか裏がありそう。

 

黙秘を貫く被疑者もいる中、スズキは饒舌で、刑事との会話を楽しんでいるかのようです。

 

会話の中に、世の中の様々な価値観が登場します。

時に挑発的な内容も。

「命は平等って、ほんとうですか?」などと聞いてくるスズキ。

読んでいて、己の倫理観を試されている気になります。

 

それを読む読者は、その通り、と思ったり、それは違うだろう、と思ったり、

自分の考え方をジャッジしながら読み進めることになります。

 

また、スズキと刑事との腹のさぐりあいのような会話が面白く、頭脳戦の様相を呈してきて引き込まれました。

 

それが、最初は面白かったのですが、とにかく会話が長い…

 

原稿用紙780枚だそうですが、会話を抜いたらかなりスリムになるでしょうね。

 

途中から、会話を追いかけるのが苦痛になってきました ^^;

 

こんなことも評価を下げている一因なのかな、と思いました。

 

キャラが立つ、刑事、警察関係者

等々力(とどろき)     最初にスズキを取り調べた野方署の刑事

鶴久(つるく)       等々力の上司、野方署の課長

類家(るいけ)       切れモノの若手刑事

伊勢(いせ)        供述調書を打ち込む作業をしている警官

矢吹(やぶき)       熱血漢の警官、出世欲あり

倖田沙良(こうだ さら)   矢吹の同僚の婦人警官、沼袋交番勤務

清家(清家)        警視庁からやってきた刑事

長谷部有孔(はせべゆうこう)かつて野方署にいた刑事、とあることにより自死

 

登場人物それぞれのストーリーも描かれ、

刑事、警察関係者同士でも、厳格な上下関係に端を発する苛立ちや、手柄を欲する欲、「自分だけが」とコソコソとやり取りをしたり…とそれぞれの人間臭さを楽しめました。

 

ラストの展開は早すぎて^^;

ストーリーに破綻はないし、なるほど・・なんですが

最後に大急ぎで風呂敷畳んだ感を少し感じました。

 

会話にページ割きすぎ?

 

はいはい、ほぉ〜〜、なるほど、と読みすすめて疑問に思うところはなかったけれど

きちんと頭の中でつながったかどうか…。

 

説明して、と言われてもそれが合っているか自信がない、けど繰り返し読むのはもうしんどい、425ページ。      

 

2025年1月21日、映画化発表

山田裕貴 主演、永井聡 監督で映画化する、と今年の1月21日に発表されました。

ワーナー・ブラザース映画配給で2025年に公開されるそうです。

 

キャラが立っているので、それぞれの役者さんがお役にハマると気持ちいいですね。

ハラハラドキドキ、手に汗握る展開になりそうです。

 

長い会話を読まずに進むので、映画の方が楽しめるかも。

 

キャストは…

類家  …山田裕貴

倖田沙良…伊藤沙莉

等々力 …染谷将太

清家  …渡部篤郎  

そして5人目

スズキタゴサク

 

えっ?? 誰?? 誰が演じるのでしょうか、第二の主役と言ってもいいタゴサクを。

直前まで公表されないのですね。

 

「黒い苔を生やしたようないがぐり頭。その下で、広いおでこがてかっている。太い眉、無精髭がめだつ二重顎。頬はぷっくり張りがある。」出典:「爆弾」P8

「ひと目見たときから虫唾が走った。

たるんだ頬、ビール腹、気の抜けた愛想笑い。」出典:「爆弾」P30

 

これをスクリーンで表現できる俳優さん、適任はどなた?? ^^;

 

3月に撮影終了するようです、どんな作品になるのでしょうか…

 

▼外部リンク

wwws.warnerbros.co.jp

 

 

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