⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

現代ならではの怖さ「スマホを落としただけなのに」

「このミステリーがすごい!」大賞で最終選考に残ったものの 惜しくも落選になった作品

大賞は逃したものの、宝島社の編集部推薦で 宝島文庫から刊行されました。

 

スマホを落として 悪い輩の手に渡ってしまったら、どんな風に悪用されるのかが描かれています。

スマホ、フェイスブック、パスコード…セキュリティの甘さを突く犯罪者。現代人に警鐘鳴らす作品です。私も読みながら 自分は大丈夫だろうか?と自問しながら読んでいました。

 

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怖さにも色々ありますが…

怖い、と言うと 幽霊やお化けなどの霊界系の怖さ、殺人、暴力などで人の命を脅かされる怖さが一般的ですが この作品の怖さは 自分自身の個人情報がweb上にばら撒かれて プライバシーが侵される怖さです。

 

ネタバレあります

昔にはなかった恐怖です。

スマホを落としたことにより そのスマホに電話をかけて来た女性との会話でスマホの持ち主が判明し、着信で表示された女性の名前もわかりました。その二点を手がかりにフェイスブックを検索して 持ち主の基本データから誕生日が明らかに。試しに 誕生日を数字4桁で入力すると…スマホのロックは あっさり解除されたのでした。

 

そして 一度開いてしまったスマホ(PCも)は、大量の個人情報が面白いように観ることができ、犯人はすべての情報を自分のPCにコピーして…パスコード、フェイスブックのパスワードを変更したのでした。

なりすましの恐怖

オレオレ詐欺も息子になりすまして 親のお金を巻き上げる手口ですが、犯人はフェイエスブックでつながる友人の中に ほとんど使っていない人物を探し出して 同じ名前でもうひとつアカウントを作ります。

そしてこまめにコメントをして信用させておいて彼女を監視していました。しかし…なりすましていたのは、被害者である麻美もまた…

警察の毒島刑事と加賀屋刑事は丹念に犯人を追っていきますが 別人になりすましているために聞き込み操作も虚しいものになってしまってました。

 セキュリティ会社の社員の浦野は 麻美を助けると見せかけて…

いろんな伏線が最後に回収されて、なるほど!とか え~~~~~っ!!とどんでん返し。

犯人の生い立ちが 髪の長い女性への敵意に。

犯人は 実母から愛されずに育ちました、そして挙句の果てに母は自殺。満たされなさがこじれて 母と同じ長い髪の女性に対して憎悪の念にかられたのです。

そしていつしか 連続殺人に。

一途に麻美を愛する富田の気持ちに熱いものがこみ上げるラスト

【以下 重要なネタバレ 注意】

麻美は鉄道自殺した友人になりすまして生きていました。それが事件を複雑なものにしていました。

気の強い麻美は 憎めないもののどこかのんびりして垢抜けない富田との結婚を迷っていましたが 最後の富田の言葉に泣かされます。

 

あさみん。新しい戸籍で俺と人生をやり直しませんか?

ん~~、裏切られたり いいように使われたりしていた富田のどこまでも一筋な麻美への愛に温かい気持ちになりました。

 

2018年 北川景子主演で映画化  

2017年に刊行され 2018年に北川景子主演で映画化されましたが 続編・スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼が出て こちらは2020年に映画が公開されるようです。

 

 

次は 伊坂幸太郎著「シーソーモンスター」を読む予定です^^