⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

井上真偽著『アリアドネの声』読了|手に汗握る展開で一気読み!ラストは感涙《ネタバレなし》

昨年8月26日の新聞に大きな広告が出ていた『アリアドネの声』。

 

新聞広告のキャッチーな言葉が私の心を鷲掴み!

書店、SNSで話題騒然、全国から絶賛の声!

胸を刺す衝撃の長編ミステリー

二度読み必至の超どんでん返し!

続々重版5刷

『アリアドネの声』新聞広告より

 

その日のうちに、図書館に予約を入れました。

あれから8ヶ月、ようやく回って来た『アリアドネの声』、様々なテーマが織りなす極上のミステリーでした。

 

ラストが感動的なので、今回はネタバレなし、で書きます。

多くの人に読んでもらいたい一冊。

 

 

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アリアドネの声 作品紹介

巨大地震発生。地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。光も音も届かない絶対的迷宮。生還不能まで6時間想像の限界を超えるどんでん返し。救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。

引用元:幻冬舎ホームページ

 

  1. 賢い街
  2. 第一接触
  3. 誘導
  4. 疑惑
  5. 迷宮
  6. アリアドネの声

の6章からなっています。

 

アリアドネとは

ギリシャ神話に登場するクレタ王・ミノスの娘。

アリアドネは、半人半獣のケンタウロスに捧げる生贄としてアテネからやって来たテセウスに恋をしました。

テセウスがケンタウロスのいる迷宮に入る時に、無事迷宮から出られるように、と糸玉を渡したのでした…。

 

地震により、救助隊の入れない地下の危険な場所に取り残された盲ろうの女性・中川博美。

ドローンから下がったワイヤーの先を博美が握り、ドローンを使って安全なシェルターへと誘導する、という案を実行することになりました。

 

博美を地下都市という迷宮から脱出させる任務を任された主人公のハルオは、現代版アリアドネなのです。

 

プロローグに作品の肝あり

主人公の高木は、小学生の時に兄と行った海辺の立入禁止の洞窟でのトラウマがありました。

 

自分が見張りをしている時に兄は満ちてきた潮に溺れて亡くなってしまったのです。

 

洞窟が怖くて離れていたけれど、もっと近くにいれば兄が助けを呼ぶのが聞こえたかもしれない、もっと早くに気づいてあげられたかも知れないと後悔し続けていました。

 

兄の口癖でもあった「無理と思ったら、そこが限界」、というのが高木の信条になっています。

 

地下都市からの脱出に様々な困難が立ちふさがるっ!!

5層の最下層を走る地下鉄で介護者の伝田とはぐれてしまい取り残された博美を

 

地下5階 地下鉄の駅

地下4階 発電施設・スパリゾート

地下3階 工場・倉庫・水耕栽培施設

地下2階 企業オフィス

地下1階 ショッピングセンター

 

目の見えない博美は、水の中に落ちたり…

 

次から次へと降りかかる難題をクリアしていくゲームのよう。

 

無理と思ったらそこが限界、と自分に言い聞かせて、全神経を集中してドローンを操作してました。

 

高校時代の同級生・韮沢との再開

高木が講師を務めるドローン教室に参加していた高校時代の同級生・韮沢と再開します。

陸上の選手だった彼女は、交通事故で足を傷め、競技を断念しました。

その時も、高木は彼女に「無理と思ったらそこが限界」とアドバイスしたつもりでしたが、実際彼女は傷つきました。

「無理なものは無理なんだよ」と。

 

彼女の妹も事故により失声症で、声を出せなくなっていました。

そして、地震の混乱の中、行方不明に…

 

畳み掛ける困難、手に汗握る展開、面白い!

ドローンの情報が詳細に描かれていることで、リアルに想像できます。

ドローンのことは何も知らなかったので、興味深く読みました。

 

目も耳も利かない人をどう誘導するのか、最初から難しい条件の上、

現場は危険がいっぱい。

 

詳しく書かないほうが、構えながら読めて面白いのであえて伏せておきます。

 

 

中川博美は、盲目なのに動きがスムーズなので、嘘をついているのではないかとネットで叩かれ始めたり、と別方向からの攻撃もあり、

 

ハラハラ、ドキドキで一気読み必至の作品です!

ラストは感涙

すべてがラストにうまくつながって、

読み手も、緊張から解き放たれた安堵と、こうきたか、な感動場面でもう涙。

 

緻密なプロットで読ませ、感動に導く手法に脱帽!

 

井上真偽さんの作品をもっと読んでみたくなりました。

 

おすすめです!!