柚木麻子さんの著書は、4冊読みました。
あっこちゃんが出てくる ランチのアッコちゃん、幹事のあっこちゃん、とてもサバサバして憧れてしまう あっこちゃんの生き方。
さて、そんな作品の中でも寿司職人との交流を描いた本、「その手をにぎりたい」は、お寿司を食べたときの描写が素晴らしく、今すぐお寿司屋さんに飛び込みたくなるような表現に唸らされました。
今回はBUTTER
BUTTERを口に含んだときの表現が、とろりと口の中でとろけるときの感触、鼻に抜ける香り‥リアルに想像できる筆致です。
首都圏連続不審死事件をモチーフに
世間を騒がせた「平成の毒婦」とも呼ばれている木嶋佳苗被告の首都圏連続不審死事件を題材にしている、と何かで読みました。
主人公町田里佳は、出版社で「週間秀明」の記者として働いています。
編集部で首都圏連続不審死事件の被告・梶井真奈子(木嶋佳苗被告がモデル)を扱うことになり、カジマナ(梶井真奈子)と合うため何度も東京拘置所に足を運んでいるうちに、彼女のペースに巻き込まれ、彼女のいいなりになっていく自分…
言われたとおりにジョエル・ロブションでディナーを食べ、新宿のラーメン店では「バターましましの 麺はハリガネで」と言われたとおりに注文をして、感想を面会のときにカジマナに伝える…
いつしか崇拝者と神のような関係に…
前半は、タイトルのバターを使った料理や、バターの感触を思い出させる文章は面白いのですが スリリングなことが起きるわけでもなく話自体に興味を持てなくて読みづらかったです。
が、友人の伶子が、独自に動き始めて 里佳に内緒で1人でカジマナに面会に行ってカジマナの嘘を探ろうとしていました。
後半はミステリー色が出て面白く、さらに、伶子、里佳も父親との間に苦い思い出があり、拘置所のカジマナもまた 母親との間に確執があったりと 家族のあり方や関係性も描かれていきます。
途中から、面白さがぐっと増します。
最初は、文字を追って理解して…という脳内作業でしたが 途中からは読む速度もスピードアップ!
首都圏連続不審死事件の被疑者を扱ったお話ですが、主人公・町田里佳が自分と向き合って 再生していく物語でもあるのだな、と思いました。
今まで呼んだ柚木麻子作品とは趣の違う、すこし読みにくいテーマでしたが、なんとか読み終えた、という感じです。
首都圏連続不審死事件の被疑者、木嶋佳苗被告に興味を持ち、ググってみると木嶋佳苗は、「かなえキッチン」というクックパッドや アメブロに料理記事などを書いていたようです。
とてもセレブを気取った内容だったそうですが そんな生活ができたのも騙して男性から巻き上げたお金があればこそ、ですよね・・・
木嶋佳苗は、この本を読んで激怒したそうです。
これは、私ではない、と。
まぁ あくまでもモデル、ですけどね^^
なんと木嶋佳苗を題材にした本は「毒婦」や「別海から来た女」も出版されてます。
が、一番驚いたのは、木嶋佳苗自身が「礼讃」という本を獄中で執筆したこと。
今度、読んでみようと思います。
木嶋佳苗は、今でも支援者を頼って、ブログは続けているようです。
そして、なんと!! 男を手玉にとっていただけあってか??
人の心を掌握するのが上手いのか?
獄中で! 3回も結婚しているのです!!
普通に生活してても 1度も結婚しない人もたくさんいるというのに、「獄中」というありえないくらい高いハードルを 3人もの男性が越えて 結婚されたんですね?
そこに愛はあるのんか?
獄中の女性と結婚するメリットは? 先の希望は? 一緒に暮らせないのに?
と疑問符がいっぱい着いてしまいます。
不思議な「契約」で結ばれた結婚なのでしょうか?
木嶋佳苗は死刑が確定しています。
もう、1食6万円もする恵比寿のジョエル・ロブションのディナーも、新宿パークハイアットのニューヨークグリルのお肉も食べられず、東京拘置所の中で過去の美味しかったものを思い出しながら生きているのでしょうか。
身の丈にあった生活をして、つつましやかに暮らしていたほうがどれほど幸せか。