happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

塩野七生著 聖マルコ殺人事件 読了

塩野七生さんのルネサンス歴史絵巻三部作とは?

私が借りた本は「聖マルコ殺人事件」というタイトルですが、Amazonで検索したら、

「緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件」が出てきます。

当初のタイトルは「緋色のヴェネツィア」がタイトルで、聖マルコ殺人事件はサブタイトルだったようです。

 

銀色のフィレンツェ メディチ家殺人事件

黄金のローマ 法王庁殺人事件

 

緋色、銀色、黄金(色)を合わせて三部作と呼ばれているのですね。

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1970年からイタリア在住の塩野七生さんに関する記事は新聞で読んだことがありましたが、著作を読むのはこれが初めてです。

 

16世紀前半、海の都ヴェネツィアはトルコ、スペイン、神聖ローマ帝国の3強大国に挾撃され国家存亡の危機に瀕していた。国難にあたる若きヴェネツィア貴族と謎のローマの遊女、貴婦人との秘めた愛を胸に野望を抱く元首の庶子…。権謀術数が渦巻く地中海世界を描いた、ルネサンス歴史絵巻第1部。

BOOKデータベースより

 
「聖マルコ殺人事件」というタイトルですが…

 冒頭、聖マルコ寺院の鐘楼から身を投げた男が運び出されるところに遭遇する主人公・マルコ・ダンドロ。

亡くなった男は、いい噂がひとつもない男で自殺ではなく他殺と思われたが…というところから この話には触れられること無く話は進んでいきます。

 

本編364ページのうち、343ページ目でようやく 「7年前の聖マルコの鐘楼からの身投げ」についてが出てきます。

だれが犯人で、だれがそれを指示したのかも、さらさらと書かれて、サブタイトルと内容の重さがアンバランスでした。

なぜ、このタイトルになったのか。「殺人事件」のほうがキャッチーで、ほんの売上fに貢献するのか?とか 深読みw

塩野七生さんらしい、詳細なヴェネツィアの歴史的記述

 ヴェネツィアと言えば、水の都ベニス。

それぐらいの認識しか無い私に、ヴェネツィアの政治や制度、人々の暮らしぶりまで書かれているので、想像しながら読むのがとても楽しいです。

物語のバックグラウンドがしっかりしていればしいているだけ、その物語が骨太になっていきます。

いくつものキーワードが、読んでいてワクワクさせてくれるのでした。

主人公 マルコ・ダンドロは名門貴族出身。それ故に若くして元老院会議に参加できる議員でもあります。

ここで、貴族の嫡子は20歳で元老院の議席が与えられ、30歳以上にならないと元老院議員に選ばれる資格がない…などと、塩野七生さんらしい記述がたくさん。

名門貴族のマルコと元首の庶子アルヴィーゼの物語

マルコとアルヴィーゼは、幼馴染。

マルコは名門貴族、アルヴィーゼはヴェネツィアの元首アンドレア・グリッティの庶子。母はギリシャ出身でオリエンタルな雰囲気のある少年でした。

いつも一緒にいて同じ大学に進み、同じ家に住むほどに仲が良かった二人は、20歳の時に…

貴族のマルコには元老院が待っていたけれど、アルヴィーゼは庶子、ということで運命は分かれました。

アルヴィーゼの父で貴族のアンドレア・グリッティの詳細を書いた「元首グリッティ」なる章もあります。細かいエピソードを盛り込みながら話は進みます。

 

この、アンドレア・グリッティもアルヴィーゼ・グリッティも実在の人物なんですね!

ヴェネツィアに居場所のないアルヴィーゼはトルコに移り住み、オスマン・トルコのスルタン、スレイマンや、スレイマンの右腕、宰相イブラヒムらと親交を深め、信頼を得ていくところも興味深く読みました。

ハンガリーへの侵攻などもアルヴィーゼが先頭に立って攻め入るも、農民らによって、無念の死がもたらされたのでした。

心はヴェネツィア~でトルコを飛び回る

交通機関の発達していない当時でも、マルコは、何度もヴェネツィアからコンスタンティノープルへと船で往復しています。

コンスタンティノープルでの市場の賑わい、奴隷市場のことまで、塩野七生さんは、今観てきたかのように詳細に書かれています。

豪華なアルヴィーゼの邸宅の様子や、スレイマンの宮殿を訪問したときの様子など、想像する楽しみを存分に味わいました。

塩野七生さんが描くヴェネツィアやコンスタンティノープルを読んで、とても勉強になりました!

今、自分が2021年の日本にいるのを忘れるぐらい、16世紀のヴェネツィアやトルコで心が遊びました。

唯一の残念ぽいんとは、ドラマ度が低いこと

胸が熱くなるようなドラマがないです。

会話も淡々としていています。

二人が仲が良かったのに、生まれの違いで運命が変わってしまったことや、心に秘めた身分違いの女性との恋など ドラマティックな出来事はたくさん登場するのに、さらりと事実が述べられている、と言った印象。

心に残るような、感動を呼ぶような、書き留めておきたいようなセリフはなかったです。

鎖国していた日本と違い、東ヨーロッパを駆け巡るロマンあふれるお話なので、もったいないな、と感じました。

 

でも、読み応えのある一冊。

脳内旅行を楽しみました!