happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

今回は内容が薄い気がした親王殿下のパティシエール3、それでもラストは胸熱♪

混血のパティシエールの数奇な運命に引き込まれて・・・

友人にこの本を紹介してもらって 第一巻を読みました。

フランス革命のさなか、フランスを訪問中の清の乾隆帝の第十七皇子の永璘が、革命で孤児になってしまった華人とフランス人の混血の少女マリー・趙・ブランシュを北京の王府に連れ帰りました。

 

1巻と2巻では、慣れない中国の暮らし、王宮の厨房での奮闘ぶりが面白く、あっという間に読み進めました。

第3巻も発刊を楽しみにしていました。

f:id:kokoro-aozora:20210110154237j:plain

実話も絡めてあるので展開が興味深い

マリーの主人の第十七皇子永璘は、父から、絵を描いて中国人に見られてはならない、との命で子供の頃から絵を描くことを禁止されていました。

マリーが西園の小屋・杏花庵でお菓子を焼くことを許されていましたが。ある時、杏花庵の奥の間でこっそりと描いた永璘の絵を見てしまいます。永璘は、その場で火に投じてしまったのでした・・・というのが第2巻まで。

今回は、なぜ、永璘は絵を描くことを禁じられたのかを探るマリー。

主日のミサに南堂に行った時に懇意のフランス人宣教師・アミヨーから宮廷お抱え画家のジュゼッペ・カスティリオーネの話を聞きます。

永璘の父・乾隆帝とジュゼッペ・カスティリオーネのエピソードも実話なので、ストーリーに深みを与えています。

 

かねてからフランスから連れ帰った糕點厨師見習のマリーを母に紹介しようと思っていた永璘。
妹君の和孝公主と共に永璘の母の住まう紫禁城へ上がる時に持っていくお菓子をピエスモンテ(工芸菓子)に決めました。

飴細工で作る杏の花咲く庭園と杏花庵。かわいい箱庭のお菓子は、マリーの工夫がいっぱい詰まったものでした。

 

お菓子の製作工程を読むのが楽しいです!

どんな作業なのか、どんな形に仕上がっていくのかを読むのが。

 

マリーは、マカロンも作りますが、メレンゲを作るための卵白を泡立てる、泡立て器をツゲの木で作るところから。

え~昔の泡立ての道具のことも考えたことがなくて、なるほど~!

いろんな発見の詰まった「親王殿下のパティシエール」。

読むのが楽しいのは、マリーの波乱万丈の人生もさることながら、点心師や糕點厨師の作業やお菓子やお料理の描写が想像力を掻き立ててくれるのが楽しいのです~♪

 

飴細工の温度についてや、加工の仕方も様々で興味深いです。

杏の花の蕊を、糸のように細い引き飴で作るマリー。

中国にも、龍鬚糖(ロンシュータン)という龍の髭という名の飴がある、と教えられました。その件を読んで、食べたことある…と古い記憶を引っ張り出してきたら、

韓国の仁寺洞で、クルタレという細い糸上の飴でナッツを巻いたものを店頭で実演販売していたのを思い出しました。

飴細工のピエスモンテやさくさくのマカロンを食べる人たちの感想を読むのも楽しいです。

マリーを目の敵にする王厨師相手に胸の溜飲が下がる

王府の後院の側に新しい厨房が完成し、永璘は母を呼んで歓待し、厨房落成に皆に褒美として、新しいチャンパオ(長袍)を下賜されました。

そのチャンパオには、ひとりひとりの名前が刺繍されていたのです。

騒ぎを起こして厨房から追い出されていたマリーにも、趙瑪麗の名が縫いとられたチャンパオが皆の目の前で渡されました。

王厨師が、マリーを認めなくても、仲間たちはもちろん、王府の主である永璘とその母から下賜されたことで、マリーは公に許されたのでした。

ここ、胸熱~♪

歴史的な裏付けがストーリーを骨太にしているが、ページ数に対してちょっと…

2019年12月16日 第1巻 280ページ

2020年4月15日   第2巻 264ページ

2020年11月16日 第3巻 208ページ

 

今回、明らかに薄い!って、本を見た瞬間に思いました。

第1巻より72ページも少ないので本も軽くて薄い。

 

そして、マリーの下女仲間の小菊の話す中国後宮の内緒話が…後宮や、中国の系譜を知ると話のベースがしっかりして面白みも深まるのでいいのですが ちょっと長い気がして。

 

マリーはチャンパオを賜ったけれど 当時の中国では、女性が職業を持って独り立ちするなど前代未聞で、しかも マリーはフランス人の血も引く中国人。

キリスト教を信仰していることもよくないのです。(中国では一番偉いのは皇帝であり、信仰の対象でないといけないため)

帰国を示唆される場面もあり、まだまだ目を離せない 親王殿下のパティシエールでした。

 

 どこまで続くんでしょう? どうなる?? マリー!!