happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

本屋大賞「天地明察」読了♪

天地明察、読みました    
さすが本屋大賞第一位!
納得の面白さです                   


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読書を中断しても、ページを開けた瞬間、心は江戸時代にタイムスリップしてしまいます!

冲方丁さん 素晴らしいです!!

渾身の作?・・・力強い筆致に 物語にぐいぐい引き込まれて行く~!!!
登場人物が 命を吹き込まれて 生き生きと動いて
頭の中で リアルにドラマ再現!

歴史の大きなうねりの中で 改暦に挑んだ主人公は
囲碁の四家の1つ安井家に生まれ
12歳で江戸城に上がった天才棋士にして算術、天文学に長けた渋川春海 
後の安井算哲。
その波乱万丈の人生の物語。
何度目頭を熱くし、胸に迫る感動に酔ったことか・・・。

からん、ころん
序章から 本編まで 何度も このキーワードとも言うべき
オノマトペ(=擬音語)が繰り返し登場します

これは 春海が若き日に
金王八幡宮で見た 算術の問題が記されたたくさんの絵馬(=算額)が
風に吹かれて 擦れあう音

この音が頭の中で響いたとき
春海は 自分の来し方を想い 自分の行くべき道を思う
からん ころん、の音は運命に導かれた始まりの音。


神社で多数の算術の問題が書かれた絵馬を見た時から
春海の運命が 囲碁の世界から 暦学へと大きく動き出すのでした。

絵馬に書かれた算額はこの絵馬を見た人に対する挑戦状。
算術には少しばかり自信があった春海にも歯が立たない難問を
「関」という人物が 一瞥即解で正解を書き込んでいる事を知る春海。
この日から 関は春海のライバルとなる
この関こそあの算学の関孝和! 
颯爽と登場する クールでかっこよすぎる関孝和に 感動!
関孝和・・・あの、あの、あの歴史の時間に習った関さんですねっ?
それだけで なんか胸にグッときた!
渋川春海がすごく身近に感じた瞬間です。

後年 春海と関はよきライバルであり 理解者・協力者となっていきます。

春海は北極星を観測し 緯度を割り出す観測隊員に任命され
日本各地で天体観測を行った・・
測定器具を設置するようすなど
見てきたかのように 細かく描かれていて
それを組み立てる人たちの動きなども躍動感に溢れていて
ありありと目に浮かぶのです 冲方丁さん、うまい!


そして 春海が計算ではじき出した数字と
実際の天体観測での緯度の数字がぴったりと一致! またまた感動!
この功績により 改暦事業の旗頭に、と春海に白羽の矢が立ちました!

春海は世話になっていた会津藩主・保科正之から直々に
「そなたが総大将だ 安井算哲。そなたのもとで人が尽力するのだ」
と、言い渡される
その時 算哲の耳の奥にまた からん ころん、と始まりのあの音が・・・

今日が何月何日であるか。その決定権を持つということは
宗教、政治、文化、経済-------全てにおいて君臨するということなのである

(本文より)
そんな大事業である 春海の改暦が目前に迫っていた時、
春海が支持していた 授時暦が蝕(日蝕・月蝕)の予想を外し 改暦の機運が地に落ちた
あぁ~
全身全霊を傾けて 改暦事業に打ち込んできただけに
抜け殻のようになってしまった春海だったけれど
あの関孝和に ヒントをもらい 間違いに気づいたその時、
心の中に からん、ころんとあの音が響いたっ!

春海は また一から出直すことを決意します。

なんという不撓不屈の精神!
大きな事を成し遂げる人はやはり意思の強さが違うのですね。

結局4度めの正直で 大和暦とよばれる 春海の暦が採用され
改暦を成し遂げるに至ったけれど、それまでの政治的取引、地道な努力、
春海の素晴らしい働きが記されています。

天の理と地の理がぴたりと符合するとき
一分の狂いもない暦ができあがる、
天地、明察!

読み応えあったーーー!
心に残る1冊です


最後まで読んでいただき ありがとうございます

【追記 2012.8.20】
天地明察が 映画化され 2012.9.15公開です!

主演:岡田准一、宮崎あおい

 
映画のURL リンク切れにつき削除しました(2024.1.19)