happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

辻村深月著 「島はぼくらと」 読了♪

辻村深月著 「島はぼくらと」を読みました♪

2014年 本屋大賞3位の作品です。
(ちなみに 1位は 村上海賊の娘、2位は昨夜のカレー 明日のパン)

       島はぼくらと

本の表紙画が いかにも青春群像、って感じで
オバサンが読んでも面白いのかしら?と心配だったのですが
面白かった~!

舞台は 瀬戸内海に浮かぶ火山島 冴島。
本土とは フェリーで20分の距離にあるという設定の
架空の島です。

主人公は 17歳の朱里 源樹 新 衣花の4人。
島に高校が無いので、毎日フェリーで本土の高校に通っています。

表紙絵の4人、よく特徴をとらえているな~と感心します。

本は4つの章に分かれていて、4人のそれぞれの視点から
島のあれこれが描かれています。

島では高齢化 医療の過疎化、人口の流出、
様々な問題を抱えています。
一人の「地域活性デザイナー」 谷川ヨシノが島を訪れ
島民と関わりながら 
島の将来に希望を見出せるように奔走しています。

高校生の4人の今風な会話と島の日常と
ほのかな恋バナをうまく絡めて こちらのハートを掴んできます。


島のお母さんたちは皆
子供が、高校入学と同時に 島を離れてしまうので
子育ては15年と割り切って
母子手帳に 我が子への思いを綴っているという件が
じーんと来ました。

源樹は、2歳の時に両親に連れられ
島に越してきた「よそ者」

幼い頃、父と母が別れてしまい 心細い毎日、
迎えの遅い父を待つ 保育園で 
朱里から言われた 「兄弟になろう!」の言葉に
どれほど救われ、勇気づけられたことか。

兄弟になる、とは、他人同士でも兄弟同然に助け合う
島ならではの契りのことでした。
それだけに 源樹は受け入れられた思いがして嬉しかったのでしょう♪
ここも泣けます。

衣花は、網元の娘。
網元は、島の網子を束ね、時としてかなりの権力も持っていた様子。
そして 網元は絶対に島から離れない。

そう、育てられた衣花がフェリーを見送ります。

「いってらっしゃい」
「行ってきます」
いつもそんな挨拶が交わされるフェリー乗り場。

いつも自分は島に残って行ってらっしゃいなんだ・・・

衣花の目から ふいに涙が止まらなくなった時
朱里がぎゅーっと衣花を抱きしめました。

私はここで生きていく。   そっと衣花は誓いました。

数年後、
フェリー乗り場で朱里の乗ったフェリーを迎えに出る衣花。

朱里は島にたったひとつの病院に看護婦として戻ってきたのです。

そしてなんと 衣花が若くして村長にっ!

衣花は一生ここで
人に行ってらっしゃいを言い、
行ってきますを言われて暮らすのだと思っていたけれど

こういう人になりたかった、

「おかえりなさい」
「ただいま!」

その願いがかなったところで 完

ただいまの言葉が 海と空に、そして 衣花の心に
染みていくのでした。

感動で目頭が熱くなる箇所多数!
温かいものが胸にじわ~とひろがって
読後感は爽快!

2014年 本屋大賞 3位 納得のクオリティ!

オススメです!!