happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

元ジェンヌのカミングアウト本「なかったことにしたくない」読了♪

元タカラジェンヌでLGBT活動家の東小雪さんの本

なかったことにしたくない」を読みました。

 

      nakatta.jpg

 

 

こんな本があるよ、とヅカ友が教えてくれました。

 

実父からの性的虐待と

自身のLGBT(レズ・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの総称)をカミングアウト。

 

ショッキングな内容です。

 

幼いころから 著者に生理が訪れるまで

子供を守ってくれるべきはずの実父から受けた性的虐待。

 

彼女自身も、彼女の母や祖母も

それを、無かった事にして生きてきたのです。

 

自分が一番安心できるはずの家庭で行われ、

他の家族も誰も助けてくれず

一番安全なはずの家庭でこのような事が行われてたなんて…

気の毒でなりません。

 

自分の居場所がなくなる、両親から見捨てられたくない

さまざまな思いが 助けてと声をあげることを諦めさせ

著者は、辛い過去を封印してしまったのでした。

 

大人になってから 

カウンセリングを受けてその過去への重い扉を開き

苦しいけれど 忌まわしい思い出と向き合って

ようやく乗り越えることができたのです。

 

 

以前 テレビで、つらい体験を封印したら、乗り越えることはできない。

苦しみと向き合って 受け入れて初めて乗り越えられる、

というようなことを言ってました。

 

彼女が、事実を本にまとめることで 

ようやく自分の過去を受け入れ乗り越えられたのだと、思いました。

 

これからの人生は、自分らしく生き、幸せになって欲しいです!

 

 

彼女の辛い過去のひとつに、

宝塚音楽学校 予科生時代のお話が載っています。

 

ここからが、興味津々!!

著者の生々しい体験談に ここまでか!と

空恐ろしくなりました。

 

 

よくOGさんが 宝塚の思い出の一つにあげておられる

予科生時代の苦しかった思い出話。

同期が結束した話。

 

それは、上級生からの「指導」と言う名の「暴力」があったから

同期が支えあった結果なんですね。

 

驚くべきことに「指導」で締め上げるやり方を

代々一番委員が下級生に引き継いでいくらしいのです。

 

怖~~~い!

 

 

普通の学校だと イジメの芽は摘もうとするものですが

音楽学校では、今年の予科はなってない、と学校の先生が考えると

予科に直接注意するのではなく、

 

本科生に「指導(という名の暴力)」しろ、と命令が降りてくるそうです。

 

もう、何をかいわんや、呆れてあいた口がふさがらない!!

 

 

 

お風呂場のお掃除担当だと

髪の毛一本落ちていても叱られ

シャワーヘッドの水切りが悪いと叱責される。

 

一般人からすれば、瑣末事を大袈裟に騒ぎたて

謝罪を要求するなんて 

チンピラみたいだわ、と思ってしまいます。

 

驚くべきは、この悪しき慣習

100年の歴史と共に受け継がれているということ。

 

劇団、音楽学校では当たり前の通過儀礼として

まかり通っているところが恐ろしいです。

 音楽学校が容認していることは、社会通念としてありえないことだけど 

もう感覚麻痺して 世間と乖離していることがわからないんでしょうね。

 

あれだけ苦しかった日々を乗り越えたのだから

今のこの苦しみだって乗り越えられるはず、と

メンタルを鍛えているつもりなのかもしれません。

 

 

 

だから 音楽学校主導とは言わないまでも

本科生が 予科生を締めるのは黙認されていたのですね。

 

こういう土壌があるからこそ

96期いじめ&万引き捏造事件が起こったのだな、と

納得がいきました。

 

もし原告が先生に相談したところで

いつものことじゃないの、と一蹴されたかも知れません。

 

学校という場所で 学校公認の「締め」が行われている事実に

愕然! 

 

昨年華々しく100年の歴史を称える式典で賑わった宝塚ですが

こんな 負の「黒歴史」も綿々と続いているのです。

 

何が「清く正しく美しく」なのか?? 笑わせるわ。

 

多感な年頃の少女たちが 

親元を離れて共同生活を送る、という特殊な環境の中で

このようなことが起きても

ホッとする一時も 相談できる大人もいない状態。

 

慢性の睡眠不足(睡眠時間2時間程度)で

満足に食事もできず シャワーを浴びる時間もない状態に

入学から半年で 同期が、次々と生理が止まった、とのこと。

精神的にも 肉体的にも極限に追い込まれる予科生。

 

 

理不尽な指導でも軍隊のような絶対服従が支配している世界。 

 

シメの一例

予科生全員の前で 指名された予科生が「自分の失敗」を言わされる。

 

晒し者にされ、本科生から 

聞くに堪えない罵詈雑言の集中砲火を浴びせられる・・・

 

このようなことが代々続いており

予科は被害者、 本科になったら加害者。

 

私が好きな 生徒さんも こんなことをしてきたのか。 orz

ちえ様(柚希礼音)は、寮外生なので違いますよ♪

 

驚くべき音楽学校の真実。

勉強になりました。

 

林真理子さんの「野ばら」でも 裏話は出てきますが

こちらは実際に劇団員として在団されてた経験談、

生々しい~!

 

 

東さんは、過去の辛い体験

性的虐待、宝塚時代の苦い体験を

 

 

 

今改めて 見つめなおし 語ることで

心の安定を取り戻されたのですね。

 

語って、認めて、乗り越える。

 

誰しも 辛い過去や 苦い思い出はあるけれど

その程度は 様々です。

 

著者である 東小雪さんの場合かなり特殊で

心に深い傷を負われ、

閉鎖病棟入院まで体験されたとのこと。

 

後半の人生が お幸せであることを願わずにはいられません。

 

東小雪さん=元宝塚 花組男役あうら真輝 2005年入団 91期生