著者は元宝塚歌劇団雪組、88期生の早花まこさん。
宝塚歌劇在団中から、文章がお上手で、機関誌『歌劇』のコーナーを担当されていました。
2020年に退団後は、特技を生かして、文章を書くお仕事に進まれるだろう、と私も思っていました。
まず始められたのがインタビューをまとめるお仕事ですね。
もちろん、インタビューのお相手は、全員元タカラジェンヌです!
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目次:
9人の宝塚OGさんが登場します
新潮社のWebマガジン「考える人」で連載されていたので、宝塚ファンは内容をご存知の方も多いと思います。
9人のインタビュー記事を収録。
⚠️ 「考える人」の連載は終了しましたがまだ、Webマガジンの「考える人」で「私、元タカラジェンヌです」という直球のタイトルのコーナーで読めます。
ご興味のある方はどぞ。
*太字はWebマガジンで公開中
- 早霧せいな 雪組87期
- 仙名彩世 花組94期
- 香綾しずる 雪組90期
- 鳳真由 花組91期
- 風馬翔 宙組94期
- 美城れん 星組84期
- 中原由貴 月組92期
- 夢乃聖夏 雪組87期
- 咲妃みゆ 雪組96期
インタビューする方は…新潮社が選ばれたのかしら?
今後書籍化をすることも視野に入れて…。
早花まこさんが元雪組だったせいか、雪組のOGさんが多いですね。
Web公開中(前半のみ)の5名のOGさん
第1回 早霧せいな 「元宝塚」の肩書から逃げない →俳優
2023年7月にこの章を読んで…
早霧せいなさんが、2023年6月1日をもって「早霧せいな」としての活動にピリオドを打つことをインスタで報告され、ファンの間に大きな反響を生みました。
表現の世界に入って良かったと今は思う。ゴールのない仕事は、きっとどこまでも進んで行ける。それが私には何より楽しい
引用元:『すみれの花、また咲く頃』35ページ
今、この早花まこさんの文章を早霧せいなさんが読んだら…どのような感慨を持たれるのでしょうか。
第6回 美城れん ”宝塚のおじさん”を極めて → ハワイへ移住
宝塚のおじさん道を極めたことで有名な? 『こう見えて元タカラジェンヌです』の著者天真みちるさんもいらっしゃいますが…
美城れんさんも、深い演技で素晴らしいおじさん役者さんでした。
最後のお役は西郷隆盛。
退団後に「まだ芸名にすがっているんですか?」と言われたことがあったそうです。
失礼なことを言う人、いるんですね…
すがってるんじゃなくて名乗っているだけ、ほとんどのOGさんはそのまま名乗ってらっしゃいますよね?
「美城れん」は自分の大事な一部だ、と美城れんの名前でSNSを発信されてます。
早霧せいなさんが、「早霧せいな」の名での活動にピリオドを打ったのとは対照的。
今はハワイで暮らしておられます。
第7回 中原由貴(煌月爽矢) 台湾での新たな挑戦 → 俳優・モデル
退団後のオーディションで、「あなた、コーヒーとか淹れたことないでしょう」と指摘されたとか。
コーヒーショップで1年半もアルバイトをして、「タカラジェンヌ」だった自分を知らない人たちの職場で働いて、たくさんの気づきがあったようです。
「日本人モデルとして海外でオーディションを受け、活動する」という企画を見つけ、参加。
シンガポール、タイ、そして台湾では2社からオファー。
コロナ禍の中で高い語学力を必要とするため、退団後から学んでいた中国語をさらにレベルアップするため大学へ。
すごいチャレンジですね、頑張って欲しい!
月組で同期だった千海華蘭さんが退団後に台湾旅行に行って、煌月爽矢さんと写っているお写真をインスタで見てオドロキました。
こういう経緯で台湾に行かれてたんですね。
第8回 夢乃聖夏 パワフル母ちゃん、おなかいっぱいの幸せ → 3児の母
子育てはテキサス! 自由、広い、なんとかなる!(笑)と元気いっぱいにお母さんされて…子守唄を歌うと、一番にご主人が眠っちゃうそう^^
夢乃聖夏さんは、観客と一緒に楽しみたくて積極的にアドリブを取り入れていたそう。
お客様のためでもあり、自分の人生を盛り上げるためでもある、と。
「プロだから、舞台に私情は持ち込まない」
感情的になってしまう日でも
「踏みとどまっていつも通り舞台に立つ、それが夢乃さんの心の強さだった。」(P206)
ここ最近、舞台に私情を持ち込むスターを見て不快な思いをすることもありました。
そっか、あのひとたちは、心が弱いんだ…
最終回 咲妃みゆ 自分自身でいるよりも、「誰か」を演じていたい → 俳優
宝塚は、教師であるお父様の勧めで受験したそうです。
咲妃みゆちゃんといえば『星逢一夜』。
演出家・上田久美子先生の厳しい指導で否定されればされるほど心が燃えた、という何クソ精神?
憑依型の演者なので、無意識に声のトーンを落としたりしていたそう。
トップ娘役を務めた彼女ですが、セリフのない役が好きだった、と。
セリフがなければ、いくらでも表情や動きを自由に付けられるから。
なるほど。
驚いたのは、芝居巧者で憑依型役者の咲妃みゆさん、自分でこう演じたい、と思ったことは一度もないそうです。
演出家の思い描く人物になるために台本を読み込み、アドバイスや知識を溜め込んで舞台に立ち、「ロボットみたいに演じていた」??
天才肌の役者だと思っていたけれど、ほほう…
宝塚在団中は、言動の自由もままならなかったので、今、思うままに生きたい。
タカラジェンヌさんは大変だ…
本『すみれの花、また咲く頃』で読みました
仙名彩世 「なにができるか」を探し続ける → 俳優
成績優秀で、ハキハキと答える優等生…でも。
下級生の頃に「守ってあげたくなるような娘役の方がいいんだよ」と言われ、悩んだそうです。
彼女の目指していたのは質の高い歌やダンスで実力を発揮できる舞台人。
悪役やキーパーソンの役は来ても、お姫様役は回ってこなかった…
宝塚のヒロインは可憐な雰囲気の娘役なのだ。
2016年、『For the People』で轟悠さんの相手役で、トップ娘役というより、1人の立派な舞台人になろう、と決意したそうです。
その直後にトップ娘役就任、夢が叶いました。
仙名彩世さんと言えば、手先が器用で、公演に使うアクセサリー作りもお上手と定評ありましたが、今はミニチュアフード作りされてますね。
なんと、最近では、器も手作り。ミニミニろくろを使っておられます。^^
香綾しずる 海外で人の役に立つ仕事がしたい → 会社員
7月に退団し、ベトナムで日本語講師をしないか、と声をかけてもらって
10月に現地を見に行き、翌月からベトナムで一人暮らし。
すごい…
香綾しずるさんが勤務したのは、日本での就職が決まった技能実習生のための日本語学校。
1年間講師を務め、今は帰国して、日本アジア青年交流協会の職員として、日本で働く実習生を見守っています。
もう一度舞台に立ちたい、という思いは微塵もないようです。
きっと今の仕事に誇りと充実感を感じておられるからなのでしょうね。
鳳真由 宝塚から医療大学へ → 大学生
鳳真由さんが大学合格された、というニュースを聞いた時はオドロキました。
短いお勉強期間で、医療大学に合格されるとは!!
地頭がいいのね…と思ったものです。
2014年の『エリザベート』のオーディションで、演りたい役を貰えなかったのだそう。
ルドルフをしたかったのかな?
もう辞めようか…と本心を吐露した時に、ひとつ上の先輩・瀬戸かずやから辞めないで…と引き止められ
逃げるように辞めるのではなく、前向きに辞めようと思ったのだそう。
鳳真由さんの将来の夢は…「なし」。
あえて決めてしまわないで、何者にでもなれる自由さがいいですね。
風馬翔 この人生で、踊りを愛し抜きたい → 振付師
宙組のダンサーだった風馬翔さん。
研2という若さで博多座公演の『ApasionadoII』の黒燕尾の場面に入りました。
それが…全然うまくできない。
「全然できない。だから面白い!これこそが人生だ」
…とこんなに若くして悟っちゃったんですね^^
風馬翔さんが多大な影響を受けたのが元花組トップスター蘭寿とむさん、
星組トップスターの柚希礼音さんのパッションに圧倒され、月
組の宇月颯さんからは正統派男役の踊り方を学んだそうです。
ダンサーと言われるジェンヌさんも多いですが、納得♪
2018年の『WEST SIDE STORY』で、退団の鐘がなったのだとか。
『白鷺の城』『異人たちのルネサンス』で退団。
最近は、宝塚の振り付けもされている風馬翔さん。
ダンスに熱い熱い思いがあるから、これからも走り続けられそうですね^^
宝塚ファン必読の書
著書はAmazonでも高評価ですが、読者層は宝塚ファンでしょうね。
すでに退団されたOGさんのお話なので、あの時はそんなふうに悩んでたのか、とか
ファンの知らないところでそんなことが…的な話が面白いです。
宝塚ファン以外の方が読まれても、ファンとは温度差があると思います。
宝塚歌劇は、ニッチで深いところなので、一般ピープルには魅力を理解できない方の方が多いのかも知れません。
だからこそ、1人の人間として、タカラジェンヌとして生きた人たちの、厳しかった在団中のお話を、その後の人生を読んで頂きたいです。
元雪組のトップスター水夏希さんは、「宝塚を卒業することは、一度死ぬことだと思う」とおっしゃったとか。
ひとたび卒業してしまえば、たとえトップの地位に上り詰めたスターであろうと、芸能界では「新人」。
世間では、トップスターの名前を知らない人がほとんどです。
宝塚に努力と情熱を注いだジェンヌさん、それぞれ進む道は違っても、第二の人生をひたむきに進むOGさんを応援したい、いち宝塚ファンの感想でした。
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