⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

河﨑秋子著『絞め殺しの樹』|読むのがヘビーな希望を見い出せない小説

『ともぐい』で直木賞を受賞した河﨑秋子さんの著書『絞め殺しの樹』

タイトルが強すぎる…ホラーかと思いました。

Amazon★4.2 ★5=50%

 

今年1月17日に発表された第170回直木賞に選ばれたのは、河﨑秋子さんの『ともぐい』でした。 

 

己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには
明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!

引用元:新潮社HP

 

直木賞ノミネート作品が発表された時点で図書館に予約を入れているのですが、

『ともぐい』は、その当時Amazonのサイトで ★5=45%と半数に足りて無くて(今は49%にUPしてます)パスしてたら、

直木賞受賞ですって??

 

第170回直木三十五賞 候補作(出版社)6作

加藤シゲアキ『なれのはて』(講談社)
河﨑秋子『ともぐい』(新潮社)受賞
嶋津輝『襷がけの二人』(文藝春秋)
万城目学『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)受賞
宮内悠介『ラウリ・クースクを探して』(朝日新聞出版)
村木嵐『まいまいつぶろ』(幻冬舎)

 

で、直木賞作家になられた河﨑秋子さんとはどんな本を書かれる方?と、別の著書を読んでみることにしました。

それが『絞め殺しの樹』です。

 

読むのが苦しい親子2代の物語、前半は母・ミサエの苦労話

 

ネタバレあります、未読の方はご注意ください。

 

 

2月も半ばを過ぎてしまいましたが、この本、1月中に読み終わっています。

 

忙しいのもありましたが(9泊10日で出かけてました)、内容が重すぎてなかなか書く気になれず orz

 

グズグズしているうちに、他に2冊も読み終えて、どーすんねん…な状態に。

 

意を決して…書きます…

 

河﨑秋子さんは北海道で生まれ育ち、今も別海(道東)にお住まいです。

『ともぐい』もですが、『絞め殺しの樹』も北海道を舞台にした作品です。

土着の人の土臭い物語です。

 

本のページの6割強が母・ミサエの生涯を描くことに当てられています。

残りが、生き別れた息子・雄介の人生。

 

全430ページの内容は全編通して辛く重苦しく全く救いがないです…

 

辛くても苦しくても、最後に希望の光が見えたり、苦労のかいがあった、とか救われる最後ならいいのですが、これでもか、これでもか、と苦労の連続、ひたすら耐え続けるミサエ。

ストレスたまりまくり!

 

ミサエが生まれたのが1925年(大正14年)という設定にしても、いじめがひどいです。

早くに両親を失くしたミサエがもらわれて行った先が根室の屯田兵をルーツに持つ吉岡家。

我が子との差をつけ、朝から晩まで牛舎の掃除、家事をさせられ暴言を吐かれ、部屋も与えられず廊下の端に寝るスペースを与えられています。

生かさず、殺さず、奴隷のような扱い。

難癖をつけては怒鳴り散らす養父母…もう、読むのが辛いです…

 

屯田兵=武家の家の子が学校に通っていなかったら恥、という大婆様の鶴の一声で学校に通えることになりました。

女郎屋に売り飛ばされる寸前に、札幌の薬問屋で働く話が舞い込んで15歳からようやく吉岡家から解放されたのでした。

 

物語の後半に繋がる林家、置き薬販売の小山田など登場人物も多彩ですが長くなるので割愛します。

 

ここで小休止、すこしホッとできる部分です。

 

保健婦となり、御恩返しに、と勤務地を根室に…

なんでまた!!と読んでいて歯がゆい。

自ら不幸へと歩みを進めてしまうミサエにハラハライライラ…

 

ミサエは北大出身で銀行に勤める木田と結婚しますが、これが良縁かと思えば、またモラハラ夫で読んでいてムカムカ!

 

夫婦仲は冷え切り、娘は小学生なのに自殺してしまい(設定にやや無理があるような…)

責められて離婚を申し出たミサエ。

 

別れた直後に夫との子を身ごもっていることがわかります。

堕胎希望でしたが、保健婦という立場でそれはだめ、と周囲に説得されて男の子を出産し雄介と名付けました。

あの吉岡家に跡取りとなる男子がいないので養子にと請われ、絶対に母親であることを明かさないと約束させられて雄介は吉岡家にもらわれていきました。

 

第二章は雄介の物語、こちらも過酷な運命

とにかく吉岡家の人間はサイコパスなので、雄介もまた苦労します。

息をひそめるようにして、養父母の逆鱗に触れないように生きていました。

勉強ができるのでとにかく北大に行く、家を出る!と頑張ったかいがあり合格。

 

母・ミサエの知り合いの坊守さんから、預かっていたと言う母の遺してくれたお金を受け取って未来に少し希望が持てて少しホッ…としました。

 

札幌にいる雄介の元に、根室の生母の知り合いが下心あって訪ねてきたり、いくら離れていても「根室の地」の呪縛から離れられない運命なのです。

 

何故こんなに不幸や嫌な目にあうの?というぐらい 母・ミサエのように雄介もまた苦労の多い人生。

 

養母・ハナもまた吉岡家に嫁いだばかりに人生を搾取され、土地に縛り付けられている、と雄介は北海道から去るよう背中を押しました。

 

何ものにも脅かされることがない静かで暖かい光差す場所をつくるんだ、という雄介の決意が締めの一文。

 

主人公の苦労が報われない人生、読むのが辛い一冊でした。

 

昭和初期から現代に至る道東の開拓に携わった人たちの暮らしは興味深かったです。

 

絞め殺しの樹はミサエ親子と吉岡家の喩え

絞め殺しの樹って何? 怖いんですけど〜、食虫植物の仲間??とか思っていました。

 

調べてみると、シメコロシノキって存在するんですね。

絞め殺しの木の一例 ↓

2023.6.9 タイ・アユタヤ遺跡にて撮影

 

絞め殺しの木の代表的なものにガジュマルがあります。

他にも蔓性植物やイチジク属の植物も絞め殺しの木の仲間です。

 

絞め殺しの木は、宿主に巻き付いて成長し、やがて芯になる木(宿主)を枯らして(殺して)しまうのでこんなオソロシイ名前が着いているんですね。

 

この物語の中で、宿主は真面目で働き者のミサエ、絞め殺しの木は吉岡家の人たちなんですね。

 

両者の関係性を表わすにふさわしい植物「絞め殺しの木」、著者のナイスネーミング。

 

それにしても時間かけて読んだ割に、苦しいだけだったわ orz