happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

長江俊和著 「出版禁止」読了♪

今年の9月7日の新聞広告。

あの「放送禁止」の監督は、小説書いてもすごかった。
こんなに何度も「驚愕」出来る本、滅多にないです。

このキャッチコピーにやられて「出版禁止」 図書館に予約してました。

        shuppankinsi.jpg


私は知らなかったのですが、フジテレビ系列で放送された
放送禁止」という番組の監督の作品です。

「放送禁止」は、映画にもなって、放送禁止ファン、マニアもいらっしゃるようです。

長江俊和さんの作品のスタイルは、フェイク・ドキュメンタリー

一見ドキュメンタリー、実はフィクション。
騙されそうになるっ!

『放送禁止』の手法を小説の世界に応用した、
フェイク・ルポルタージュみたいなものを書いてみたいと考えていました。   (Shincho Live インタビューより 引用)
と 長江さん。

フェイクなんだけど、実話かしら?と思うほどに 
出版禁止の世界に引き込まれました。


社会の暗部を暴き続ける、カリスマ・ドキュメンタリー作家の「心中事件」。
相手は、有名女優の妻ではなく、不倫中の女だった。そして、女だけが生き残る。
本当は、誰かに殺されたのではないか?
「心中」の一部始終を記録したビデオが存在する。
不穏な噂があったが、女は一切の取材に応じなかった。
7年が経った。ひとりのルポライター
彼女のインタビューに成功し、記事を書き上げる。
月刊誌での掲載予告。タイトルは「カミュの刺客」。
しかし、そのルポは封印された―。いったい、なぜ?
                              (BOOK データベースより)


ネタバレあります、ご注意ください。

7年前の心中事件の真相と謎に迫ろうと、
ルポライターペンネーム 若橋呉成 わかはしくれなり)は、
生き残りの女性の取材許可を取り付けます。

あの事件、心中未遂ではなく、殺人事件だったのではないかとの
大胆な仮説を立てて 生き残った女性、新藤七緒に迫ります。
心中で亡くなった熊切監督、その周辺での謎、また謎をとくために。

謎を明かしたくて ページを繰る手が止まらないっ!!

ルポライター若橋は、取材対象者である七緒を愛してしまいます。
プロとしてあってはならないこと。
でも、感情を抑えることはできなかったのです。

心中未遂で負った 心の傷で 不安定な体調に苦しむ七緒にせがまれ
同居生活をしながら ルポを書き続ける若橋。

そしていつしか 七緒のかつての愛人で心中で亡くなった熊切に
激しい嫉妬を覚えるまでに七緒を愛してしまいます。

自分も熊切同様、死を以って愛を昇華させようと決意したのです。

熊切が 死の直前に言い残した言葉。

人を狂おしいほど愛し、その愛に堕ちてしまったら、
その先には「死」しか残されていないことを・・・
 (作品より)

その言葉の意味を若橋もまた確信し、七緒を殺めてしまうのです。

・・・最初、読んでいて、七緒との生活の描写だと思っていたところは

最終章「カミュの刺客」の謎解きで、
殺害の様子だったとわかり、ぞ~~~~~~~っ
いや、読んでて まるで絞め殺してるみたい、って思ったんですけどっ
コワ~


ここから、惨たらしい内容が嫌いな方は Uターンしてください。


自撮りビデオが残されていて、
ルポライター若橋、おもむろにバッグのファスナーを開けると
七緒の顔出現!!切り取った頭部をバッグに入れて持ち歩き neko_ぶっとび

テーブルの上に死んだ七緒の頭を載せて 語りかけながら酒を飲む・・・

ぎゃ~~~~!buruburu.gif

ここ、一緒におでかけしたり、お話したりしてることになってる箇所です。

挙句の果てに・・・
胸肉 もも肉(愛する七緒の)、お鍋にして食べちゃってます・・・
ゲー 

最後、エグ過ぎます! 

完全なるイヤミス

あ~~~後味悪っ!

若橋はその後、刑務所で首を吊って自殺。
ノートには 「早く会いたいのだ、新藤七緒に―」と認められてあり
愛を全うした若橋本人は、何の未練もなくこの世に別れを告げたのです。

若橋のルポが「出版禁止」になったのは、
ライターが、取材対象者を殺めてしまったこと、そしてその後の猟奇的な出来事から
出版社が 世に出すのは適切で無い、と判断したのでした。 


最後の章を読むのが苦しすぎました。panda_がっくり


でも、この本、王様のブランチで紹介され
一時、書店の店頭から姿を消したほどの売れ行きだったようです。

読まされる文章力で ぐいぐい引きこまれたけど、
謎解きの面白さもあるのだけど、
(著者が文中にいろんな仕掛けをして ヒントを出してます)

最後がちょっとシンドくて 読後感の悪い作品でした。