happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【町田そのこ】クスッと笑えて温かい気持ちになる『コンビニ兄弟』

大好きな町田そのこさんの『コンビニ兄弟』を読みました。

 

Amazon ★4.2 ★5=50%

 

プロローグが安ぽいドラマみたいで、読むのをためらいました ^^;

九州にだけ展開するコンビニ、その名も「テンダネス」。

 

門司港こがね村店には、フェロモンだだ漏れイケメン店長がいて、彼=志波三彦を目当てで通う女性(特に中高年の…)たちが売上に貢献しています。

 

プロローグでは、彼女たちがレジ前で志波三彦に取り入ろうと小競り合いをしている場面が描かれていて、安っぽいドラマみたいだわ、と引いてしまって、そこから読み進められず、しばらく積ん読になってました。

 

でも。大好きな町田そのこさんの著作。

これでは終わらないに決まっている、やっぱりほっこりするいいお話でした〜♪

 

⚠️ネタバレあります、ご注意ください

 

 

6話が収められていて、ゆるく繋がっている連作短編集です

  1. あなたの、わたしのコンビニ
  2. 希望のコンビニコーヒー
  3. メランコリックないちごパフェ
  4. 偏屈じじいのやわらか玉子雑炊
  5. 愛と恋のアドベントカレンダークッキー
  6. クリスマス狂想曲

プロローグで、フェロモン店長 志波三彦が紹介され、

エピローグで、志波三彦目線の語りが入っています。

 

ここにやってくる常連客の悩みを解決する店長…とお兄さん

常連さんは皆さん、キャラが立ってますね〜♪

フェロモンぷんぷんのイケメン店長、その容姿におごることなく、みんなに優しく親切。

非の打ち所がないわ^^

そして、イケメン店長三彦の兄の二彦、通称、ツギ。

こちらは、お顔の下半分がひげで顔がよくわからないけれど、背中に「なんでも野郎」の刺繍が入った薄緑のつなぎを着て…何でも請け負ってくれる頼もしい人。

この兄弟がナイスなフォローとリレーでみんなの悩みを解決していくのです。

 

登場人物とそれぞれの悩み…そして緩やかに繋がっていく

アルバイトの野宮(レスリング部)と近所のがんこ爺さん・浦田の話。

 

漫画家になりたい夢を諦めて、塾講師をしている桐山良郎、自分がスケッチブックに描いた絵を馬鹿にされたと思い…

 

中学校のクラスのリーダー美月と梓は、母親同士が親友ということで、いつもグループでつるんでいるけれど、梓は美月に精神的に支配されていました。

周囲のことは我関せずを貫いている那由多を美月はからかって馬鹿にしていたのに…

梓が美月と決別するところは、胸の溜飲が下がります!

 

コンビニエンスストア「テンダネス」門司港こがね村店は、4階から上が高齢者用のマンションになっていました。

終の棲家、と思って越してきた大塚多喜二は、妻が以前とはガラリと態度を変え、殆ど家に居ないことが不満でした。

 

妻に何の落ち度もないのはわかっているのに面白くない多喜二。

会社人間で、運動会などの行事にも参加してくれなかった、と父に不満をもつ一人娘の多喜二への言葉が辛辣!

 

でも、主婦層は、よく言ってくれた!と気分爽快です。

 

たまたま、多喜二がイートインスペースで同級生にいじめられているひとり親家庭のヒカルを庇ったことにより、運動会に参加することに…

 

テンダネスのパート主婦、中尾光莉の一人息子・恒星は悩んでいました。

母がこそこそと電話をしたり、男の人と二人で会っていたりするから。

 

理由を聞いてな〜んだ、と胸をなでおろす恒星。

 

パート主婦の光莉さんも、人助けに一役買っていて…

 

テンダネス門司港こがね村店はどこまでも、

「人にやさしい、あなたにやさしい、テンダネス!」

 

胸のすく言葉、勇気の出る言葉がたくさん出てきます

クラスで孤立している那由多の言葉

人の顔色を気にするより、もっと大事なことがある。

後であの時、あんなくだらないことのために大事なものを蔑ろにしたんだ、って後悔したくない

「コンビニ兄弟」文中より

 

本当にかっこいい!! 信念を持って生きています^^

 

古いタイプでエラソーにしている父親に一人娘がチクリ

大きな会社がすごいの? 出世したから偉いの?

それはプライド。

退職した今、意味のないもの。

コンビニ兄弟」文中より

 

自治会の能瀬さんご夫妻の言葉に納得

夫を育てるのは妻。そう言うふうに育てたのは私。

「コンビニ兄弟」文中より

そのとおり!! 

逆もまたしかり。

能瀬さんのご主人が、奥さんを自由にさせてあげていたのは、「自由な君」が好きだったから。

互いに話し合い、認め合いながら、夫婦の形が出来ていくものだから。

パンの生地が、最初はべちゃべちゃして形になってないけれど、こねているうちに形になっていくように…

夫婦でも、友人関係でも、互いに「相手を育て」ていくものだな、と。

 

どれも心温まるお話ばかりでほっこり♨️

6話(+プロローグ、エピローグ)が収められていますが、どれも心温まるお話で、さすが、テンダネス♪

 

門司港こがね村店…大分、熊本…など、九州の地名や、方言なども出来てきます。

そっか、町田そのこさん、福岡ご出身で、今も福岡在住なんですね。

 

リアルに描き出されているのはそのためだったのか…。

 

すでに2巻が出版されているので読んでみます。

 

その前に、『ヒカリ文集』読まないと!