happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

湊かなえ著 往復書簡 読了♪

湊かなえ著「往復書簡」 読みました
往復書簡


↓ ネタバレあります ご注意ください

短編が3編収められています

どの作品も 往復書簡を交わすうちに 
霧が晴れるように
過去の事件の全容が現れてきます
その プロセスがすごく面白いです

湊かなえさんの「告白」も読みましたが
あちらは それぞれの立場の「告白」から
事件の全体が浮かび上がってくるという仕掛けでした
==== 同じものを見ても 事件を体験しても
人それぞれの立場や そのときの精神状況などで
感じ方や見方が変わってくるところが面白いし
ひとつの事件においても 告白者の言い分が微妙に違うのも興味深い

往復書簡も 手紙という形を取った「告白」ですね

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3つの事件、あとになるほど恐ろしく複雑な事件です

一作目は
高校の放送部仲間で 山の祠へ願掛け登山をした、
その下山中に起きた事故
10年後に 放送部の女子4人の間で
あれは事故だったのか 事件だったのか?
新たな告白を交えつつ
手紙をやりとりするうちに 真実があきらかになります

勝手な思い込みをしていたり
実はこうだったんだ、という告白があったり
一人ひとり 立場が違ったりすることにより
真実というのは お互いに 知っていると思っていても
知らないことがあったり
見る角度によって 印象が変わったりする物なのですね

二作目 
退職する、小学校の女性教諭が
在職中に起こった、ある事件にかかわった子供たちの
その後を調べるうちに
当事者たちにも いろんな事情があり
いろんな思いを抱えていたことがわかり
ちょっと 辛くなるようなお話でした

三作目
結婚を約束している2人の往復書簡

2人は中学時代に 大きな事件を体験しており、
今までその悲惨な思いでを話題にすることを封印していた
ひょんなことから 話題になり
自分が知らないことを相手が知っていたり
また その逆もあったりして 
少しずつ 恐ろしい事件の全容が見えてくる。

息が詰まるような 展開、
手紙のやりとりが薄いヴェールを1枚ずつはがしていき
予想だにしない展開に!


やっぱり 湊かなえさんの作品は恐ろしい

連続殺人などの 事件そのものの怖さではなく
人が持つ 心の襞の奥の感情をえぐりだして見せる、
そんな恐ろしさ


いやはや すごい才能の持ち主ですね
湊かなえさんの作品を読んだ後は
ずしんと重たいボールを胸で受け止めたような気分

ふぅ~