第8巻 残月を読みました♪
表紙絵の澪も、かわいい女の子から、お姉さんに変わりました。

澪は、子供の頃、大阪の洪水で両親と死に別れ、
料亭・天満一兆庵の主夫婦に助けられ、我が子のように育てられた。
一兆庵の一人息子が江戸店を出したが行方しれずとなり
江戸へ探しに出た天満一丁庵主夫婦と澪。
主は他界し、生計を立てるため、
澪は料理人となって、「つる家」で腕を振るう日々を送っていた。
いよいよ第8巻、澪の人生に転機が訪れます。
澪には、今は吉原の「翁屋」で花魁・あさひ太夫として生きている
幼なじみの野江を身請けしたい、という
堅い決意があった…
江戸は夏を迎えていた
吉原の大火事で亡くなった「翁屋」の料理人・又次の初盆が来る。
又次は、幼なじみの野江(あさひ太夫)と澪の間を取り持ってくれた人、
そして、大事な料理のあれこれを教えてくれた人。
彼は、吉原の火事の時に野江を助け、亡くなる今わの際に、
野江の身請けを頼むと澪に告げて息を引き取った。
澪は、又次への思いを込めて、精進料理を作る。
ついに、天満一丁庵の跡取り、芳の一人息子の消息がつかめた!
もう、料理人の道には戻らない、と宣言した息子・佐兵衛に
絶望する母・芳だったが…
「親の一念で子の生き方を変えたとしてもいいことはない」、
と、諭され、息子の生き方を受け入れた。苦渋の決断!
天満一兆庵再建の夢はついえてしまった…
医師・源斉先生の口利きで
あさひ太夫とつる家の料理人という立場で会えることになった澪。
火事以来 食が進まずやつれていく太夫を見かねての医師・源斉の案だった。
幼なじみとわかっていても、
相手が太夫だけに、親しく語ることもできないけれど、
味醂粕=こぼれ梅は、
幼いころ一緒に食べた二人だけの思い出のおやつだった。
「又次のお供えに」、と渡す太夫の胸中が切ないです。
言葉にすることは許されないけれど
精一杯の澪への思いがこもっています。
早く、澪と野江、手を取り合って昔話ができるようになればいいのに!
季節は、秋へと移ろい、朝霜が白く下りる頃、
戯作の版元・坂村堂の父、柳吾が倒れた。
元天満一丁庵のおかみ・芳に白羽の矢が立った。
既に老いの影が忍び寄る柳吾と芳だけれど愛が芽生えたみたい♪
苦労の絶えなかった芳に
幸せになって欲しいと、願う澪だった。
そんな澪が、あさひ太夫がいる「翁屋」の料理人に、と請われた!
つる家の主・種市は、断腸の思いで、澪を出すことを決意したのだった。
いよいよ、吉原の翁屋で料理人として、働ける!
幼なじみで、大坂(←当時はこんな字)の洪水で天蓋孤独になった二人が、
ひとつ屋根の下で暮らせるという 不思議な巡り合わせに!!
波瀾万丈の澪のことだから、まだまだ試練が待っていそうですが
きっと アイデアたっぷりの料理を作って
持ち前の粘り強さと 温かい心で乗り越えていくことでしょう。
多くの読者は、それを楽しみに、続刊を待っています!
今回も、楽しいネーミングの美味しそうなお料理が4つ紹介されていました。
プロセスを読んで 作り方を想像するのも、
江戸時代の、自然や風習や人々の暮らしが
細かく描写されていて、それを頭に思い描きながら読むのも、楽しいです!!
しかも!知識欲が満たされます!
澪の周囲の人達は皆人情味にあふれ、ほのぼのと温かい気持ちになります。
江戸っ子でぃ!の種市やおりょうさんの 気風の良い江戸訛りも耳に心地よく、
大坂天満一兆庵の女将、芳のはんなりとした中にも毅然とした物言いも素敵。
登場人物が活き活きとしていて、会話が聞こえてくるようです。
この先、どんな展開が待っているのか??
みをつくし料理帖ワールドから目が離せません!