みをつくし料理帖シリーズも いよいよ第7巻になりました。
みをつくし料理帖 第7巻 夏天の虹を読みました。
ネタばれあります、ご注意ください [emoji:e-1]
第6巻で、主人公の女料理人の澪は、
想い人、御膳奉行の小松原との縁組まで進んだ。
武家の妻になれば、自分で包丁を握ることはなくなってしまう。
自分が本当に進みたいのは料理の道だ、
料理人として生きていきたい、と
小松原に打ち明けたのだった。
そして 第7巻。
澪を想う小松原は、澪の意思を尊重し
澪が一番、輝いていられるのは料理人として生きていくことと悟った。
「後は 私に任せておけ」と言い、
自分が悪者になってまでも、澪が今までどおりつる家の料理人として
生きていけるように計らい
自らは、武家の娘を娶ることにしたのだった。
そんな時、料理人として一番大切な 鼻と舌が利かなくなった澪。
心に重い負担があるために 一時的に 匂わず、味を感じなくなっているのだという
医師の見立て。
小松原の愛に甘えて 自分の意思を押し通した罰だ、と嘆く澪。
それでも 澪の周囲の人たちの暖かい心遣いで
吉原の料理人・又次が2ヶ月の期間限定で
つる家に手伝いに来てくれることになった。
強面で、どこかやくざな感じの又次が
つる家で寝食を共にするうちに、
生い立ちの悪さから、固く閉ざされていた心が開いていきます。
周囲の皆の人情に触れ 穏やかになっていく様子が 読んでいて心地いいです。
いよいよ、又次がつる家を後にして 吉原に帰る日。
吉原では 大火災が起きていた!
又次は、自分が身を置く 翁屋の太夫・あさひ太夫(澪の幼馴染)を
助け出すべく、猛火の中へ飛び込んで行った。
わが身を呈してあさひ太夫を守り、助けだした又次は
焼けた梁を背中で受けたため、大やけどを負い、息絶えた。
又次の思いがこもった 襷がつる家の下足番のふきに贈られた。
「おまえも良い料理人になるように」との願いが篭った襷が。
皮肉なことに、火事場で嗅覚が戻った澪。
嗅覚が戻って、また 料理人として腕を奮えるようになった事を、
一番伝えたい相手 料理人・又次はもうこの世にはいない。
やるせない気持ちになり うるうるきます。
そして、二ヶ月前に 又次が作って 軒先に干してあった柚子ゆべし。
先だってまでは 味も香りもわからなかったけれど
又次が、澪の嗅覚が戻ったら食べるようにと 一つだけ残しておいてくれていた
最後のゆべしを 薄く切って口に含むと やさしい味わいが口に広がった。
料理人・又次は亡くなったけれど
また 嗅覚の戻った澪がつる家をきりもりすることができる。
恵まれた人生ではなかった又次の遺骨がわりの灰を
調理場におくから、 皆と一緒にいておくれ・・・と 呼びかける
つる家の主人・種市の心遣いが なんともやさしく 胸が熱くなります。
今回は、澪の破談と その心労から嗅覚を失うというお話がメインです。
いつも 幼馴染の野江=吉原のあさひ太夫との間を取り持っていた
翁屋の又次が亡くなり、 野江も大火事でその後の消息が心配です。
が、この先 この物語に どんな展開が待っているのでしょうか?
終わりに近づいてる気もするのですが、まだまだ事件などで
二転三転するのでしょうか?
少し わくわく感が薄れてきました・・・・・