とりあえず読んでみました、舞台の原作本
宝塚歌劇で、「ほんものの魔法使」を舞台化するというので読んでみようと思っていました。
公演は 宝塚バウホールで2021年5月21日(金)~6月1日(火)、KAAT神奈川芸術劇場で2021年6月8日(火)~6月16日(水)で行われました。
公演が発表になった時、すごく古い文庫本しか出てなかったのに、問い合わせが多かったのか、売れると踏んだのか、版元が再版されて 5月10日に発売になりました。
端から買う気がなかったので、図書館で借りて読みました。
微妙 for me! 対象年齢は大人、子供?
「魔法使」が出てくるお話って、童話や児童書の類だろうから、すぐ読めるのかな、って思ってたんです。
借りてみてびっくり、文字がぎっしり。
子供が読むには難しすぎる漢字や熟語がいっぱい!
しかも訳者の矢川澄子さんは1930年生まれ。もし生きておられたら90歳ですね。
古臭い言い回しも多いですし、メディアでは自主規制している差別語も出てきます。
もっと売れる本なら、新訳で出したりもあるのでしょうけど。
読んでから観るか、観てから読むか…。
読んでから観る派ですが、先に観劇の日が来てしまったので 観てから読みました。
子供向けのような、大人向けのような微妙さが苦手でした。
宝塚ファンは感動しているのか?
この本を読んで、よかった、とおっしゃってる意見も見かけましたけど、私には、大した感動もなく、時間がもったいなかったです。
この作品の一番の肝は、誰もが頭の中にある「できる」っていう仕切りと「やってみせる」っていう仕切りがあって
その鍵を開けるコツをつかむこと。
できない、と悩むんじゃなく、要するに…
Where there's a will, there's a way.
意思あるところに道は開ける、と 主人公の魔法使 アダムが、マジェイア市長の娘・ジェインに諭すところだと思います。
そして、目を閉じて念じれば、どこへだって行ける。空想の力でね。
これは魔法ですか?
アダムは世の中には魔法が溢れている、と言います。
草を食べた牛が、ミルクを出してそれがバターになることも、
小さな種が育って花が咲き、実をつけることも魔法だというのです。
しかし、それはあくまでも自然の摂理ではないですか?
アダムがバスケットの中にピクニック用のランチが2人分しか入ってないのに魔法で次から次へとごちそうを出したり、
なにもないところから 金貨を降らせたり…
最初のころに見せた、割れた卵を元に戻したり、枯れ枝に薔薇の花を咲かせたりする、意図的にかける魔法と
種が育って実をつける自然なことを「魔法」といって一緒にしているのが違和感ありすぎます。
全く納得がいきません。
登場人物は子供向き、でも文体は大人向き
個性的で面白い登場人物たちは魅力ですが、普段、書店員が選ぶベストセラーの「本屋大賞」受賞作はじめ 原田マハさん、伊吹有喜さん他の著作で感動慣れしてると 子供っぽい内容(ポール・ギャリコ作)と、難しい熟語が出てくる訳(矢川澄子訳)のアンバランスさ、文章の読みにくさにイライラします。
宝塚で上演する作品を選ぶのに、なぜよりによってこの作品だったのか?と納得できないです。
世の中には心震わす作品がごまんとあるのに。
漫画原作でも、一大スペクタクルにすることもできるのに。
なんだか時間を損した気分でもやもやしてます。
感動された方が羨ましい。