⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

【宮部みゆき】「火車」読了♪

山本周五郎賞受賞、 
宮部みゆき著 火車 読みました。

 

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↓ ネタバレあり

休職中の本間刑事が 遠縁の男から 失踪した恋人探しを依頼されます。
探してみると 探していた恋人は 別人の名前を語って生きていたことが判明します。


そして その別人は 亡き人に・・・失踪した恋人も 亡くなった女性も不幸な過去を背負っていました。



文庫本の裏表紙には 
「カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生」云々・・
と 書かれてるけれど

私は 人の人生を乗っ取り 別人の名前を語って違う人生を生きようとする
失踪した「恋人」新城喬子と
人生を乗っ取られなければならなかった関根彰子の
過去をあばいていく 本間刑事の執念深く 緻密な調査のプロセスが
読んでいてとても面白かったです♪

それと 失踪した喬子の逃亡劇と その過去の洗い出しが
ハラハラドキドキで ページを繰る手が止まりません! 


不幸な少女時代を過ごし 苦労を背負って生きてきた 喬子と彰子
一人は 殺されて 名前を使われ
一人は ターゲットを殺してでも その人になり切ろうとした。
哀しい生い立ちの二人に 他の生き方はなかったの?と切なくなります。


この小説 時代は1980年代。
今と世の中の状況も サラ金やクレジットカードに対する 法律の整備などが整った現代とは
隔世の感がありますねー

実際には 他人の人生を乗っ取るなんてことは 起こりえないと思うけど
ほんの少しの 油断から
すこしずつ軌道が外れて行き 借金の蟻地獄から抜け出せなくなる事例を
ワイドショーなどで紹介してますね。

自分の存在を消すしか 逃げおおせる道はないのでしょうか
それくらい 借金の取立ては厳しいのでしょうか・・・

借金の取立てから逃れるために オウム真理教のサティアンに多重債務者が多数いた、と
佐高信さんがあとがきに 書いておられました。



さっ、次は 角田光代著「八日目の蝉」です

図書館には 日曜日に湊かなえ著「夜行観覧車」を予約しました
33冊所蔵で 705人待ちですって!
いつ回ってくることやら・・・