happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【横山秀夫】一気読み!!横山秀夫著「ノースライト」読了♪

本屋大賞ノミネート作品だけあって、面白い!読まされました!

毎年、本屋大賞ノミネート作品の中から、興味のある作品を何点か読むことにしています。

今回読んだのは、横山秀夫著「ノースライト」。

こちらも何の予習もなしに読み始めたのですが、面白かった~!!

1日半で読み終えました。

久しぶりに、寝食忘れて読みたくなる本でした。426ページ、あっという間!

本を手にした時、分厚い、字が細かい、と一瞬怯んだのが嘘のようです。

いくつもの謎が 絡み合って深まっていく…そして ブルーノ・タウトの椅子がキーワードになって…ラストへとなだれ込んでいきました。

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 面白いのは謎解きだけじゃない。

横山ミステリー史上最も美しい謎。
熱く込み上げる感動。

一家はどこへ消えたのか?
空虚な家になぜ一脚の椅子だけが残されていたのか?
『64』から六年。待望の長編ミステリー。

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに……。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた古ぼけた「タウトの椅子」を除けば……。このY邸でいったい何が起きたのか?

「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位
「このミステリーがすごい! 2020年版」国内編(宝島社) 第2位
「ミステリが読みたい! 2020年版」国内篇 第2位

 Amazon 紹介ページより

 ミステリーと言っても殺人事件ではないのです、失踪事件。

その真相を探るのは主人公の青瀬稔、一級建築士。

長野に建てた家に誰も住んでいない? あれほど楽しみにしていた施主が行方不明、家には住んだ形跡すらない。

…施主はどこへ行ってしまったのか、という謎。

 

その家には唯一 ブルーノ・タウトの物と酷似した椅子が一脚残されていた…

青瀬はブルーノ・タウトの椅子の謎を負います。

 

腕の立つ建築士としてのプライド、雇われの建築士であることへの自嘲、建築事務所のコンペ参入で汚職疑惑、夫婦の気持ちの行き違い、学生時代の恋のライバルへの疑心暗鬼…さまざまな謎や問題が、次々に現れて、物語に厚みをもたせて行きます。

 

そして、終盤での見事な回収。

 

泣かされました。

 

青瀬という主人公の持つ温かさがじわり。

 

九官鳥が居てくれてよかった…

 

ブルーノ・タウト、読まされました

一脚の椅子が謎解きの鍵になっています。

主人公・青瀬が その椅子の来歴をたどるうちに、ブルーノ・タウトというドイツ出身の建築家の日本での足跡をたどることになるのですが、とても興味深かく読みました。

熱海の旧日向邸の内装デザインをしたタウト。内装の様子が活写されています。

旧日向邸のHPを見て納得でした。

 

この本を書くにあたり、横山秀夫さんは、建築やブルーノ・タウトの本を35冊も読んで参考にされています。

それらが著者の血となり肉となって、小説の中でも息づいていました。

横山秀夫さんの待望の新作♪

警察小説の第一人者の横山秀夫さん。

2003年にクライマーズ・ハイ、「64(ロクヨン)」を読みました。

 

緻密に練られたプロットも魅力ですが、登場人物が生き生きと動いていて、会話も読んでいて楽しいのであっという間に読めました。

 

最近の警察小説は、柚月裕子さんが、次々と作品を出しておられて、こちらも読み応えありますね!

 

「ノースライト」は、2013年の「64」以来 6年ぶりの刊行で、ファン待望の一冊。

その期待に応える、読み応えのある本でした。

以前「半落ち」のゴタゴタで「直木賞」と決別宣言をされた横山秀夫さん。惜しいな…

 

タイトルの「ノースライト」

 …は、「北側からの明かり」の事。

北側からの明かりをどう取り入れるか、建築家の工夫と腕が試されるところです。

今回、作品の中心にある「Y邸」は、青瀬の思いが詰まった「作品」とも言うべき建物でした。

Y邸は、青瀬の建築家としての矜持、家族との接点、生い立ちをも内蔵していて、ブルーノ・タウトの椅子や、所属事務所の 美術館建設コンペなどと複雑に絡み合って 重厚な織物に仕上がっていました。

 

おすすめです!