happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【本屋大賞グランプリ】恩田陸著「蜜蜂と遠雷」を読みました♪

恩田陸著 蜜蜂と遠雷を読みました。

蜜蜂と遠雷



直木賞と本屋大賞ダブル受賞の作品です。

 

映画化も決まった話題の本です。

2017年に図書館に予約していてようやく回ってきました。

手に取った瞬間 思いの外分厚くて 
1ページに 二段組で読めるだろうかと心配になりましたが
読み始めたら 物語の世界に引き込まれ まさに「読まされ」ました。

 

この本の紹介に使われるフレーズ 「4人のコンテスタントの成長物語」です。

 

ちゃんとした音楽教育を受けてないにもかかわらず、超人的テクニックを披露する
風間塵の存在がストーリーを面白くしていました。

彼は、弟子を取らないことで有名な演奏家・ユウジ・フォン・ホフマンの
推薦状をもって コンテストに乗り込んできました。

推薦状 
皆さんに、カザマ・ジンをお贈りする。彼は『ギフト』である。恐らくは、天から我々への。勘違いしてはいけない。
試されているのは彼ではなく、私であり、審査員の皆さんなのだ。 (中略) 
彼を本物の『ギフト』とするか、それとも『災厄』にしてしまうのかは、皆さん、いや我々にかかっている。
ユウジ・フォン・ホフマン 
              (蜜蜂と遠雷 文中より引用)

風間塵の稀有な才能が ほかのコンテスタントや審査員に刺激を与えていきます。

コンテストのレベルが上がったのも 審査員の捉え方に変化を与えたのも 風間塵がいたからこそ。
超人的とも言えるテクニックと 耳の良さをもちながら 飄々として気負いのない風間塵が魅力的に描かれています。

タイトルの蜜蜂と遠雷の 蜜蜂、というのは 風間塵の一家が養蜂家であることから来てるんですね。
各地を回って蜜を集める養蜂家故に ピアノすら持っていなかった、という設定が突拍子もないけど
それすら納得させられる 演奏の描写が読み応えあります。


恩田陸さんの圧倒的な言葉の力、どこかにメモしておきたいような素敵な言葉がいっぱい詰まった作品です。

・コンテスタントの演奏のテクニックの描写
・演奏によって見えてくる心象風景
・登場人物たちの葛藤と成長

どれも素晴らしく ここまで言葉の力を堪能したのは初めてか?…久しぶりです。

音楽家のこと、作品のこと テクニック さまざまな知識がこの一冊に詰め込まれていて
読めば読むほどに 奥深い 音楽の深淵を覗けそうな一冊です。


コンテストの課題曲とそれを演奏するシーンが 詳しく書かれているので
いつか You Tubeで 演奏を観ながら なるほど~と納得しながら読みたい本です。

年間に10冊以上読みますので 本はあまり買いたくないのですが
この本は手元に置いておきたく、文庫本が出たら買いたいと思いました。

久しぶりに 言葉でここまで表現できるのだ、と唸らされました。

4人のコンテスタントのきらめく才能、個性、
胸熱で 何度も涙を流しながら読了。

おすすめです!