⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

【中山七里】どんでん返しの帝王、そう来たか、な『さよならドビュッシー』

中山七里さんの作品を読むのは4作品目です。

 

どんでん返しの帝王、の異名をとる中山七里さん。

 

中山七里さんのデビュー作が『さよならドビュッシー』です。

Amazon★4.2 ★5=49%

 

デビュー作にして、第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作されています。

 

選考委員が大絶賛したという話題の感動作、というので読んでみました。

 

種明かしで完全に騙されていた〜!!が面白いのでネタバレなしで。

 

ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女の人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する――。

引用元:宝島社HP

 

いや〜、作者に騙されました!!

 

なるほどね、と設定のあれやこれやも、後になってから

「読者を騙すための伏線だったのね」と気づきます。

 

それにしても中山七里さん、この小説がデビュー作で、いきなりの「このミス大賞」受賞とは!

 

文庫本で411ページ、ボリュームありました。

 

巻末の解説に音楽+スポ根+ミステリのハイブリッド、と

評論家の大森望さんが書かれた書評のタイトル「音楽+スポ根+ミステリ」、その通りです!

 

主人公の遥はピアニストを目指している高校生。

音楽科の特待生。

自宅の火事で急死に一生を得たものの全身大火傷で杖なしで歩くこともままならず、

大切な指も火傷の治療で移植した皮膚の拘縮でうまく動かす事ができず…

 

そんな中、学校を代表してコンクールに出場することが決まりました。

 

遥には長時間の演奏は無理なので、曲選びも重要ポイント。

 

遥のピアノの先生の知人で著名ピアニストの岬が指導を買って出てくれて…

これがスポーツで言う、選手とコーチの関係。

 

祖父が火事で亡くなり、莫大な遺産が遺されました。

受取人の一人が遥でした。

 

遥は両親と、叔父、住み込みで遥の面倒を見てくれる介護士のみち子さんと暮らしていましたが、

身辺で不可解な出来事が続き、誰かが遥の命を狙っているようでした。

 

一番安全であるはずの家の中に敵がいる??と疑心暗鬼になるのでハラハラ・ドキドキの展開です。

 

そんな時に、お母さんまでもが神社の階段から転落死。

 

ざわざわする内容でラストまで読まされますが、何と言っても

 

ピアノの演奏シーンが秀逸!!

2017年本屋大賞、直木賞ダブル受賞の恩田陸さんの小説『蜜蜂と遠雷』もピアノの演奏シーンが素晴らしく、

どうやったらこんな文章が書けるのだろう、と脳裏に演奏風景をはっきりと結べるぐらい細かい描写に魅了されました。

 

『蜜蜂と遠雷』は2016年に出版された本ですが、『さよならドビュッシー』は、遡ること5年、2011年に書かれた本です。

 

恩田陸さんより前に、このような本が出ていたとは…

 

『蜜蜂と遠雷』を読んでいる時も、You Tubeで曲を流しながら(できれば運指が見られれるものを見ながら)読むと、もっと楽しめただろうと思いましたし、

 

コンクールで弾く曲を演奏したことがある方ならより深く楽しめたのでしょう。

 

『さよならドビュッシー』も同じく、演奏方法や運指も詳しく書かれていますが、

この物語の主人公は、手を火傷していて上手く弾けない、という設定もあって、更に想像力を要求され、引き込まれました。

 

読むのがつらい場面もありました

火事で祖父と従姉妹が炭化するほどの大火事。

火事の様子やその後の大火傷の症状など

文字を読んで想像するのがつらい場面が続き、ちょっと読むペースがダウン。

 

そう言えば、中山七里さんの『夜がどれほど暗くても』も、主人公が燃え盛る家の中に飛び込んで大火傷を負うシーンがあり、

読むのが辛かった…

 

中山七里さん、火事と火傷について、取材されたことがあるのでしょうか。

 

ピアノの講師・岬洋介は出来杉くん♪

設定が王子様すぎる〜〜

 

めちゃくちゃイケメンピアニスト♪

父は、法曹界で誰もが知る検事、自身も司法修習生というサラブレッド。

 

愛ある指導と、時に突き放し、遠くから見守っている。

 

理想的や〜ん。

 

遥の身に危険が及んだら、お姫様抱っこもしてくれる^^

 

そして、父親譲りの頭脳で謎も解明、警察もモヤモヤ。

 

ラストの謎解きは、あえて触れませんが、ええっ???となること間違いなし!

 

この、かっこいい岬洋介、シリーズ化されています!

さよならドビュッシー(2010年)

おやすみラフマニノフ(2010年)

いつまでもショパン(2013年)

どこかでベートーヴェン(2016年)

もういちどベートーヴェン(2019年)

合唱 岬洋介の帰還(2020年)

おわかれはモーツァルト(2021年)

いまこそガーシュウィン(2023年)

 

『さよならドビュッシー』は2016年に黒島結菜が遥に、かっこいい岬洋介は東出昌大でドラマ化。

 

『さよならドビュッシー』に登場する、遥の祖父・玄太郎と、家政婦兼介護士のみち子を描いた前日譚、『さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿』も2011年に出版されています。

 

たまたま、既読の3冊は社会派の作品でしたから、違う作風も楽しく読みました。