⚠️ 基本ネタバレしております。ご注意ください。

高田郁(かおる)著 みをつくし料理帖 八朔の雪、読了

去年の11月8日に 図書館で予約した本がようやく回ってきました。
朝日新聞に 面白い、と記事に出てたので予約した、
高田郁(たかだ かおる)著 みをつくし料理帖 

お料理の描写が秀逸!!

舞台は江戸
8歳の時に大阪で水害に遭い、
両親や親友を失った18歳の澪(みお)が主人公。

天涯孤独になった澪を引き取った
大阪の料亭のおかみ芳は 夫を亡くし、
料亭の支店を出す、と江戸へ行ったきり行方不明の
息子を探す為に 澪と共に江戸に下ります。

体の弱い芳を支えながら 澪は蕎麦屋の種市の「つる家」を手伝ううちに
料理の腕をあげていき やがて料理番付の上位にランクイン!
同業の老舗料亭の妨害にもめげず 自分を信じて精進していくのでした・・・


興味深いのは 
江戸と上方の食文化の違いが細かく書かれているところ。


東西で お出汁の味が違うのは 広く知られているところですが
冒頭から 牡蠣を甘いお味噌で土手鍋に煮て叱られる澪。

江戸では 牡蠣を殻のまま焼いて 醤油を落として食べる方が好まれると知る。
ところてんを 江戸では酢醤油で 上方では砂糖(黒蜜)で頂くことや
うなぎを腹開きにするか背開きにするか、お出汁の引き方の違いなども。
出汁の引き方を細かく描写されてたり
ところてんの作り方も詳細に・・・(これも昔は東西で違ってたようですが)

江戸の人間は 初物を大事にし 
初鰹を高価でも 見栄を張って買うが
上方の人間は 旬のものを大事にし、
栄養価が高く 安くて美味しい戻り鰹を頂く。
そういう 味覚だけでなく 気風の違いもあるんですねぇ~

舌が敏感な澪は 
江戸と大阪の水の味の違いまで感じ取れるらしい。
う~ん このあたり 韓国ドラマ 「宮廷女官チャングム」のようです!

鰹田麩を試行錯誤で 作り上げていく様子は
読みながら どんな味か想像するのも楽しいです♪

当時の江戸の庶民の暮らしぶりも生き生きと描かれていて
杉浦日向子著 「江戸アルキ帖」に出てくるような
江戸の風習や暮らしが 細かく描かれているから
物語がリアルに感じられるのでしょう。

澪が 吉原の廓から出られない 太夫の為に
お持ち帰りができるように、と 茶碗蒸しを竹筒に入れて蒸したりと
創意工夫で 難局を切り拓いていきます。

最後にあの水害で亡くなったと思ってた親友が 
意外なところで生きていたと分かり、
二人の間でしか分からない言葉、
「雲外蒼天様」「旭日昇天様」と書いた文を取り交わし
お互いの生存を確認しあうのでした、めでたし!


最近新しいレシピが全然増えないけどレシピを読むのが大好きです。
作り方の文章から お料理ができる過程を想像するのが楽しい!!

この本の中で 澪がお料理をする場面がいっぱい出てきますが、
お料理を作るシーンが 私の想像力を掻き立ててくれるのです!