happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

神様のカルテ 読了♪

遅ればせながら、ではありますが
巷で話題の感動作って事で読んでみました
神様のカルテ    

登場人物が善人ばかりで ほっこりします
ぽわっと胸の奥が暖かくなるエピソード満載の物語です
そして 号泣ポイントも!

前半、言うほどの感動は無いわね
と、軽い気持ちでバッグに入れて 移動中に読み始めたら…
あら大変! 涙が盛り上がってきて・・・ ウルウル
後半の 感動の嵐に 電車の中で バッグからハンカチを取り出す始末

不覚にも 泣いてしまいました 女性専用車両でよかった

ネタバレ ありです↓
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主人公・栗原一止(くりはらいちと)は 長野県のとある救急病院で
消化器内科医として 地域医療に携わっている
夏目漱石が好きで 文章を諳んじている ゆえに大仰な台詞回しである
(あら、こっちまで口調が移ってしまってるわ)

フォトグラファーの妻・ハルこと榛名と もと旅館だった御嶽荘に住んでいる
ここには あだ名が「男爵」という売れない絵描きと
「学士殿」という大学院生と思しき男性も住んでいて 飲み仲間でもある

お話は 前半は 一止の周りの人々と 診察にまつわる日々の話が
淡々と綴られていくのだけれど

後半に入って
飲み仲間の「学士殿」が服薬自殺未遂!という
ショッキングな出来事が一止を驚かせます
一命を取り留めた学士殿は 告白します
「私は博士課程どころか 大学さえ行った事がない
ニーチェの研究も 論文の作成も全て嘘なんです・・・・」と。

それを聞いて一止は
「それがどうした、あなたの文学への探究心とは肩書きがなければ
立ち行かないほど脆弱なものなのか?
あなたの博識は事実だ
高卒だろうが 大卒だろうが 古今東西の書籍に通じ
ドイツ哲学に造詣深く ニーチェを語らせれば その弁理と博識は
他を圧して余りある。 
学問を行うのに必要なものは
気概であって 学歴ではない
・・・」

あ~カッコイイ! 泣けてきます なんという正論! 

一止が働く病院に入院している 末期がん患者の安曇さんが語る
彼女の夫の人助けのエピソードがまた泣けます
(紹介したいけど ここでは割愛

最終章 
子供の頃読んだ、寺の山門で仏師が仁王像を彫るという短編を思い出す一止
仏師の見事な槌捌きに感心する見物人に、若者が言った
「木に仁王を彫り込むんじゃない、 最初から木の中に仁王が埋まっているのを
掘り出してるだけだ」
土に埋まった石を掘り出すようなものだ、と

人生というのは 生まれ落ちたその足元の土の下に
最初から埋もれているのだ
迷った時こそ立ち止まり 足元に槌をふるえば大切なものが顔を出す
惑い、苦悩した時こそ 立ち止まるべきなのだ、という
作者のメッセージが熱く語られています

2010.12.2付 天声人語に ミケランジェロのこんな言葉が紹介されていました
「大理石の中に天使が見えたので、自由にしてやろうと彫り続けた」
これって 上の若者の発言にちょっと似てますね・・・ ^o^       (2010.12.2 追記)

人間ってのは 厳然とそこに存在する「幸せ」や「大切」なものに気づかず
どこかにある「幸せ」を捜し求めて 走り回っているのかも知れませんね


安曇さんの容態が急変! 今際の時を迎えた。
医師として 最大限の医療行為を成すべきか否か
今 持ち直したとしても 長くて2日・・・ それならば、と
このまま亡き夫の元へ 旅立せてあげることを選んだ 一止

そして 静かに息をひきとった安曇さんに「お疲れ様」と声をかけ
まだ温かい手を握り締めた・・・こんなドクターに出会いたい

ここも泣きポイント~ (この文章を書いてるだけでも涙がにじむ)

安曇さんから、 生前 死んだら被せて欲しいと頼まれていた
毛糸の帽子を出してきた一止
その帽子の中に いつの間にやら 一止宛ての安曇さんからの手紙が入っていた

家で読んでたら 絶対号泣!な安曇さんの手紙 (今またウルウル)

妻のハル、医者仲間の先生方 男爵 学士殿
皆さん キャラクターがはっきりしてるし
周囲の人たちとの交流も 読んでて楽しいです♪

その反面 現代の医療現場の抱える問題などがちりばめられており
考えさせられます。

常に人の死と向き合っている医師である著者ならでは、ですね。

お勧めの一冊です!
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この作品も映画化されるらしいですね
ハル=宮崎あおいさん ぴったり!
どんな映画になるのか 興味津々!