happyの読書ノート

読書感想を記録していこうと思います。 故に 基本ネタバレしております。ご注意ください。 更新は、忘れた頃に やって来る …五七五(^^)

【森沢明夫】『キッチン風見鶏』|洋食屋が舞台のほのぼのとした人間ドラマ!

昨年、『エミリの小さい包丁』で森沢明夫作品に出会って、森沢明夫さんの温かい作風に触れ、ファンになりました。

 

優しい人達がゆるく繋がってほっこり、癒やされます。

 

更に! ここ大事!! 

心に残る素敵な言葉、人生を生き抜く上で参考にしたい文章が散りばめられていて、書き留めておきたくなります。

 

そして、他の作品のモチーフも忍ばせているのを発見して嬉しくなったり…この作品も森沢節満載でした。

 

図書館で借りて読みました。

 

Amazon★4.4 ★5=58%

 

港町で三代続く老舗洋食屋「キッチン風見鶏」。おすすめは、じっくりと手をかけた熟成肉料理だ。漫画家デビューを夢見るウエイター・坂田翔平は、幽霊が見えてしまうのが悩みのタネ。お客さん一人ひとりに合わせた料理が好評なオーナーシェフ・鳥居絵里は、家族の健康を案じつつ空元気を出して奮闘中!誰しも未来は不安だし、人生は寂しいものだ。でも、だからこそ、自分の心に嘘をつかずに生きていく―。

BOOKデータベースより

 

上記作品紹介は、裏表紙にも書いてあるのですが、作品の魅力を言い当てているとは言い難く、もったいない気がしました。

この文章の内容以上に、素敵な作品です。

⚠️ ネタバレあります、ご注意ください

 

 

善人しか登場しない、癒やしの物語

主な登場人物は、

  • 漫画家を目指す坂田翔平、キッチン風見鶏で働いている
  • キッチン風見鶏のオーナー、鳥居絵里
  • キッチン風見鶏の前オーナー、絵里の母・祐子さん
  • キッチン風見鶏の常連、手島洋一
  • 占い師・宮久保寿々

 

小さな悩みを抱えた5人がキッチン風見鶏を中心に織りなす優しいドラマ。

 

優しい目線で描かれているので、ほっこり癒やしの物語になっていて、それが森沢作品人気の最大の理由ですね。

 

坂田翔平と宮久保寿々は、人の考えが読めてしまう、もっと言うと幽霊や背後霊が見えてしまうことでいじめられた過去があり、生きづらさも感じていました。

 

キッチン風見鶏の現オーナーシェフ、鳥居絵里は素敵なお料理を作るのに、この仕事に向いていないのでは?と悩んでいました。

絵里の母は末期がんを抱えていて、治療のことで意見が分かれるのも悩み。

 

独身の手島洋一はキッチン風見鶏の常連客で絵里に惹かれていますが、事故死した妹夫婦の息子・歩を引き取って暮らしているため、お付き合いにハードルが上がっている、と声をかけられないでいます。

 

雨の日の幽霊と義足の老人のドラマも胸熱

コツ、コツと義足の音を鳴らして今日もあの人がやってくる。

無骨で無口なおじいさん。

素性はわからないけれど、坂の上のキッチン風見鶏のテラス席から遠くの洋上を眺めています。

 

キッチン風見鶏に出る幽霊は、初代オーナーだとわかりました。

そして、義足のおじいさんは初代オーナーの戦友、勉さんでした…

二人の絆とそこにあるドラマも読まされて、

お店の名前「風見鶏」の秘密が…そこに。

 

屋根のてっぺんで動かなかった風見鶏が動き始めるところはもう、ウルウル。

大好きな言葉3選

1️⃣ P105  人生に正解なんてない

亡くなった妹夫婦の一人息子を引き取って育てている洋一が、母親に

「俺の選んだ道、正解だよね?」、肯定されると思って出た洋一の言葉にお母さんは、

人生に『正解』なんてないんだよ。

自分で選んだ道を自分の努力で『正解』にするだけ

くーっ、痺れます!

 

2️⃣ P152 そこに居るだけで尊い

余命宣告を受けている絵里の母・祐子。

生きようとあがいていたときには癌しか見えなくて、死を受け入れた時にすべてのものがキラキラと輝いている、と感じた、と。

命がここに、在る。

それだけですでに尊い。

あなたがそこに、居る。

それだけで、わたしは幸せ。

 

3️⃣ P337 「だからこそ」は魔法の言葉

洋一さんが歩くんに教えた言葉。

人生にマイナスと思われる出来事が降りかかって来たなら、心のなかで

「だからこそ」という魔法の言葉を発してみること。

そうすれば、自然とその先の未来がプラスに開けてくるからね、

同じ出来事を経験したとしても、それをどう捉えるかという見方ひとつで人生は如何様にも変えられるというわけだ。

マイナスをころりとプラスに変えてくれる「だからこそ」という魔法の言葉

出典:『キッチン風見鶏』P337

 

大変共感いたしましたっ!

物事は、捉え方ひとつで変わってきます、ある一面を観て悲観的になるのではなく、多角的に観て、プラスに捉える、または逆手に取ってw 打破する。

 

マイナスな出来事があったときの方がアドレナリンが湧いてくる気がするアテクシです。

 

プロローグとエピローグ

真っ白な状態で読み始めるプロローグ。

 

そして、ラスト、エピローグで気づく、こ…これは!💡

思わず、プロローグを再読。

 

森沢さんたら巧いなぁ…そして胸熱。

 

森沢明夫さんの著作、もっと色々読んでみようと思いました。

 

前回の更新が8月9日、本日9月9日、なんと! 1ヶ月も開いてしまいました orz

 

読書の秋到来、たくさん読めたらいいなぁ…